地方自治法第234条
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条文
[編集](契約の締結)
- 第234条
- 売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。
- 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。
- 普通地方公共団体は、一般競争入札又は指名競争入札(以下この条において「競争入札」という。)に付する場合においては、政令の定めるところにより、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とするものとする。ただし、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、政令の定めるところにより、予定価格の制限の範囲内の価格をもつて申込みをした者のうち最低の価格をもつて申込みをした者以外の者を契約の相手方とすることができる。
- 普通地方公共団体が競争入札につき入札保証金を納付させた場合において、落札者が契約を締結しないときは、その者の納付に係る入札保証金(政令の定めるところによりその納付に代えて提供された担保を含む。)は、当該普通地方公共団体に帰属するものとする。
- 普通地方公共団体が契約につき契約書又は契約内容を記録した電磁的記録を作成する場合においては、当該普通地方公共団体の長又はその委任を受けた者が契約の相手方とともに、契約書に記名押印し、又は契約内容を記録した電磁的記録に当該普通地方公共団体の長若しくはその委任を受けた者及び契約の相手方の作成に係るものであることを示すために講ずる措置であつて、当該電磁的記録が改変されているかどうかを確認することができる等これらの者の作成に係るものであることを確実に示すことができるものとして総務省令で定めるものを講じなければ、当該契約は、確定しないものとする。
- 競争入札に加わろうとする者に必要な資格、競争入札における公告又は指名の方法、随意契約及びせり売りの手続その他契約の締結の方法に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
解説
[編集]- 普通地方公共団体の締結する契約については、その経費が住民の税金で賄われること等にかんがみ、機会均等の理念に最も適合して公正であり、かつ、価格の有利性を確保し得るという観点から、一般競争入札の方法によるべきことを原則とし、それ以外の方法を例外的なものとして位置付けている。
- 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律は、公共工事の入札等について、入札の過程の透明性が確保されること、入札に参加しようとする者の間の公正な競争が促進されること等によりその適正化が図られなければならないとし(同法第3条)、指名競争入札の参加者の資格についての公表や参加者を指名する場合の基準を定めたときの基準の公表を義務付けるなど、地方自治法等の法令は、普通地方公共団体が締結する公共工事等の契約に関する入札につき、機会均等、公正性、透明性、経済性(価格の有利性)を確保することを図ろうとしているものということができる。
関連条文
[編集]- 地方自治法施行令第167条(指名競争入札)
- 地方自治法施行令第167条の2(随意契約)
判例
[編集]- 損害賠償(最高裁判決昭和62年03月20日)地方自治法施行令(昭和49年政令第203号による改正前のもの)167条の2第1項1号
- 地方自治法施行令167条の2第1項1号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当する場合
- 普通地方公共団体が契約を締結するに当たり競争入札の方法によることが不可能又は著しく困難とはいえないとしても、当該契約の目的・内容に相応する資力、信用、技術、経験等を有する相手方を選定してその者との間で契約を締結するという方法をとるのが当該契約の性質に照らし又はその目的を達成する上でより妥当であり、ひいては当該普通地方公共団体の利益の増進につながる場合には、右契約の締結は、地方自治法施行令167条の2第1項1号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当する。
- 地方自治法施行令167条の2第1項1号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当するか否かの判断と普通地方公共団体の契約担当者の裁量
- 地方自治法施行令167条の2第1項1号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当するか否かは、普通地方公共団体の契約担当者が、契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている法令の趣旨を勘案し、個々具体的な契約ごとに、当該契約の種類、内容、性質目的等諸般の事情を考慮して、その合理的な裁量に基づいて判断すべきものと解するのが相当である。
- 地方自治法施行令167条の2第1項1号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当する場合
- 住民訴訟損害賠償(最高裁判決平成6年12月22日) 地方自治法第242条の2第1項4号、地方自治法施行令第167条の2第1項2号、地方自治法施行令第167条の10
- 普通地方公共団体が収入の原因となる契約を締結するため一般競争入札を行う場合に最高制限価格を設定することの許否
- 普通地方公共団体が収入の原因となる契約を締結するため一般競争入札を行う場合、最低制限価格のほか最高制限価格をも設定し、その範囲内で入札した者のうち最高価格の申込者を落札者とする方法を採ることは許されない。(原則)
- 普通地方公共団体が一定額を超えない価格で不動産等を売却する必要がある場合と随意契約
- (上記原則にかかわらず)普通地方公共団体が、合理的な行政巨的達成の必要などのやむを得ない事情があって、一定額を超えない価格で不動産等を売却する必要がある場合、これを一般競争入札に付するならば最高入札価格が右の一定額を超えるおそれがあるときは、その売却は、随意契約の方法により、右の事情につき配慮した上で当該地方公共団体に最も有利な価格を定めて行うことができる。
- 普通地方公共団体が不動産等を売却する場合において、合理的な行政目的達成の必要などやむを得ない事情があって、売却価格が一定の価格を超えないようにする必要があり、これを一般競争入札に付するならば、最高入札価格が右一定の価格を超えるおそれがあるときには、その売却は、「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」(地方自治法施行令167条の2第1項2号)に当たるとして、随意契約によって行うことができるものというべきである。ただ、その場合においても、普通地方公共団体としては、右の事情につき配慮した上で、当該地方公共団体に最も有利な価格で売却すべき義務を負うのであるから、そのような価格を売却価格として売却しなければならない。
- (上記原則にかかわらず)普通地方公共団体が、合理的な行政巨的達成の必要などのやむを得ない事情があって、一定額を超えない価格で不動産等を売却する必要がある場合、これを一般競争入札に付するならば最高入札価格が右の一定額を超えるおそれがあるときは、その売却は、随意契約の方法により、右の事情につき配慮した上で当該地方公共団体に最も有利な価格を定めて行うことができる。
- 普通地方公共団体が収入の原因となる契約を締結するため一般競争入札を行う場合に最高制限価格を設定することの許否
- 損害賠償請求事件(最高裁判決平成18年10月26日)地方自治法施行令第167条、地方自治法施行令第167条の11、地方自治法施行令第167条の12、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第8条1号、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律施行令第7条1項2号、1項3号
- 村の発注する公共工事の指名競争入札に長年指名を受けて継続的に参加していた建設業者を特定年度以降全く指名せず入札に参加させなかった村の措置につき上記業者が村外業者に当たることを理由に違法とはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例
- 村の発注する公共工事の指名競争入札に昭和60年ころから平成10年度まで指名を受けて継続的に参加し工事を受注してきていた建設業者に対し、村が、村外業者に当たること等を理由に、同12年度以降全く指名せず入札に参加させない措置を採った場合において、(1)村内業者で対応できる工事の指名競争入札では村内業者のみを指名するという実際の運用基準は村の要綱等に明定されておらず、村内業者であるか否かの客観的で具体的な判定基準も明らかにされていなかったこと、(2)上記業者は、平成6年に代表者らが同村から県内の他の町へ転居した後も、登記簿上の本店所在地を同村内とし、同所に代表者の母である監査役が居住し、上記業者の看板を掲げるなどしており、平成10年度までは指名を受け、受注した工事において施工上の支障を生じさせたこともうかがわれないことなど判示の事情の下では、指名についての上記運用及び上記業者が村外業者に当たるという判断が合理的であるとし、そのことのみを理由として、村の上記措置が違法であるとはいえないとした原審の判断には違法がある。
- 法令の趣旨に反する運用基準の下で、主たる営業所が村内にないなどの事情から形式的に村外業者に当たると判断し、そのことのみを理由として、他の条件いかんにかかわらず、およそ一切の工事につき平成12年度以降全く上告人を指名せず指名競争入札に参加させない措置を採ったとすれば、それは、考慮すべき事項を十分考慮することなく、一つの考慮要素にとどまる村外業者であることのみを重視している点において、極めて不合理であり、社会通念上著しく妥当性を欠くものといわざるを得ず、そのような措置に裁量権の逸脱又は濫用の可能性はなお存在する。
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