地方自治法第260条

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条文[編集]

第260条
  1. 市町村長は、政令で特別の定めをする場合を除くほか、市町村の区域内の町若しくは字の区域を新たに画し若しくはこれを廃止し、又は町若しくは字の区域若しくはその名称を変更しようとするときは、当該市町村の議会の議決を経て定めなければならない。
  2. 前項の規定による処分をしたときは、市町村長は、これを告示しなければならない。
  3. 第1項の規定による処分は、政令で特別の定めをする場合を除くほか、前項の規定による告示によりその効力を生ずる。

解説[編集]

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市町村における町若しくは字町丁大字小字)について定めたものである。

以下の行政処分を行う際には市町村議会での議決を経る必要がある。

  • 町若しくは字の区域を新たに画する
  • 町若しくは字の区域を廃止する
  • 町若しくは字の区域又は名称を変更する

また第2項・第3項の規定により上記市町村議会での議決による処分が行われたときは、市町村長はこれを告示する必要がある。2012年3月31日までは当該市町村議会の議決を経て、市町村長は都道府県知事への届出を行い、都道府県知事がこれを告示することにより効力を生ずることとなっていた。

関連条文[編集]

  • 地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)
    • 第179条
      地方自治法第260条第1項の規定による処分で、旧耕地整理法(明治42年法律第30号)による耕地整理、土地改良法(昭和24年法律第195号)による土地改良事業(換地処分を伴うものに限る。)、土地区画整理法による土地区画整理事業又は大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(昭和50年法律第67号)による住宅街区整備事業の施行地区についてするものの効力は、住居表示に関する法律(昭和37年法律第119号)第2条第1号に規定する街区方式により住居を表示する場合を除き、旧耕地整理法第3条第4項の規定による換地処分の認可の告示の日、土地改良法第54条第4項(同法第89条の2第1項、第96条及び第96条の4第1項において準用する場合を含む。)の規定による換地処分の公告があつた日の翌日又は土地区画整理法第13条第4項(大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第83条において準用する場合を含む。)の規定による換地処分の公告があつた日の翌日からそれぞれ生ずるものとする。
  • 住居表示に関する法律(昭和37年法律第119号)
    • 第5条の2
      市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、第2条に規定する方法による住居表示の実施のため、地方自治法第260条第1項の規定により町若しくは字の区域の新設若しくは廃止又は町若しくは字の区域若しくはその名称の変更(以下「町又は字の区域の新設等」という。)について議会の議決を経ようとするときは、あらかじめ、その案を公示しなければならない。
  • 住居表示に関する法律施行令(昭和42年政令第246号)
    • 第4条
      市町村長は、変更の請求に係る地方自治法第260条第1項の規定による処分に関して、そのてん末を公表しなければならない。
  • 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成23年法律第105号)
    • 第14条
      (中略)第260条第1項中「政令で特別の定をする場合を除く外」を「市町村長は、政令で特別の定めをする場合を除くほか」に、「あらたに」を「新たに」に改め、「市町村長が」を削り、「これを定め、都道府県知事に届け出なければならない」を「定めなければならない」に改め、同条第2項中「届出を受理した」を「処分をした」に、「都道府県知事は、直ちに」を「市町村長は、」に改める。

判例[編集]

  1. 昭和41(行ウ)112 住居表示告示取消等請求事件(東京地方裁判所判決昭和44年7月10日)
    1. 特別区の住民が町区域および町名の変更に関する特別区長の都知事に対する届出および都知事の告示の各取消しを求めて提起した訴えが不適法とされた事例
    2. 特別区の住民が特別区長に対して,町区域および町名の変更に関する区議会の議決を再議に付することを求めて提起した訴えが不適法とされた事例
    3. 特別区長による町区域および町名の変更の決定は行政事件訴訟法第3条第2項にいう「行政庁の処分」に当たるか
      市町村や特別区内の町の区域や町の名称は,地理的区画の単位であるのみならず,多かれ少なかれ歴史的経緯をもち,なかには文化史的意義をもつものも少なくないのであって,当該町の名称を冠せられた町の区域の住民の感情と密接に結合しているばかりでなく,当該住民の生活はもとより,その財産権や取引関係等の法律関係にも深いかかわりを有するから,住居表示に関する法律第3条第4項,第5条の趣旨に照らしても,特別区長による町区域および町名の変更の決定は,当該区域の住民の生活ないしは法律関係に影響を及ぼすものとして,行政事件訴訟法第3条第2項にいう「行政庁の処分」に当たると解するのが相当である。
    4. 特別区の住民は,特別区長のした町区域および町名の変更の決定の取消しを求める法律上の利益を有するとした事例
  2. 昭和52(行ウ)343 町区域の設定及び変更告示処分取消等請求事件(東京地方裁判所判決昭和53年12月22日)
    地方自治法260条1項に基づいて市長のした町区域の設定及び変更決定の対象区域内にある土地の所有権者は,同条2項に基づいて知事のした右決定の告示の取消しを求める訴えの利益を有するか
    地方自治法260条1項に基づいて市長のした町区域の設定及び変更決定の対象区域内にある土地の所有権者は,同条2項に基づいて知事のした右決定の告示の取消しを求める訴えの利益を有しない。
    • 本件告示は、町区域を廃止、新設、変更した本件決定の効力を生じさせたものであるところ(同条三項)、町区域は地理的区画単位であるにとどまり、個人の所有地等が特定の町区域内にあることによる利益不利益は、通常、当該土地を含む区域が特定の町区域に画されていることから生じる事実上のものであるにすぎないのであつて、当該区域内の土地に所有権等を有する者であるからといつて、直ちに現在の町区域をみだりに変更されないという利益が法的に保障されているものと解すべき根拠は存しない。
  3. 平成20(行コ)128 公文書非公開決定処分取消請求控訴事件(大阪高等裁判所判決平成20年12月18日)
    住居表示の新旧対照表に記録された情報が,堺市情報公開条例(平成14年堺市条例第37号)7条1号所定の「個人に関する情報」に該当するものの,同号ただし書ア所定の「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報」に該当するとされた事例
    住居表示実施前後の新旧住所の対応関係を一覧化した住居表示の新旧対照表に記録された情報につき,同情報は,旧住所と新住所との対応関係に関する情報であって,個人の氏名を記録した部分を含まないから,それ自体から特定の個人を識別することはできないものの,誰もが交付を受けることができる不動産登記記録の登記事項証明書及び地図等の写し等に記録された他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができるから,堺市情報公開条例(平成14年堺市条例第37号)7条1号に規定する「個人に関する情報」に該当するところ,前記情報のうち新住所表示欄の記載は,住居表示に関する法律3条3項及び同法8条によりいずれも表示等を義務づけられており法令等の規定により公にされているということができ,旧住所表示欄の記載は,不動産登記法119条ないし121条により,誰もが交付を受けることができる登記事項証明書の表示の登記及び建物所在図などに表示がされていることから,法令等の規定により公にされているなどとして,前記情報は前記条例1条1号ただし書ア所定の「法令若しくは他の条例の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報」に該当するとした事例

前条:
地方自治法第259条
地方自治法
第14章 補則 (第253条~第263条の3)
次条:
地方自治法第260条の2
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