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売春防止法第12条

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条文

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(売春をさせる業)

第12条
人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者は、10年以下の拘禁刑及び30万円以下の罰金に処する。
(令和4年6月17日法律第68号[1]改正)

改正経緯

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昭和31年5月24日法律第118号[2]

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(売春をさせる業)

第12条
人を自己の占有し、若しくは管理する場所又は自己の指定する場所に居住させ、これに売春をさせることを業とした者は、10年以下の懲役及び30万円以下の罰金に処する。

解説

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本条は、他人を自己の支配下において売春させることを業とした者を処罰する規定である。

自己の占有(する場所)」とは、所有権、賃借権その他の権利に基づいて占有する場所をいう。

管理する場所」とは、その場所を占有する権限を有していないが、本来の所有者などと特殊な関係であることなどにより、事実上、その場所を管理・支配している場所をいう。

自己の指定する場所」とは、他人に売春させることを業とした者の指定した場所で、売春をする者と容易に連絡が取れる状況下にしたものをいう。

居住させ」とは、売春をする者がいつでも売春に応じられるように一定期間にわたってその所在場所を拘束することをいう。

売春をさせる」とは、売春を勧誘し、または援助するなどの方法で、売春行為に介入することをいう。

参照条文

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判例

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  1. 売春防止法違反(最高裁判所第二小法廷判決、昭和36年7月14日、昭和36年(あ)第637号、最高裁判所刑事判例集15巻7号1097頁)日本国憲法第22条
    売春防止法第12条の合憲性。
    売春防止法第12条の規定は、憲法第22条に違反しない。
    • 憲法22条にいわゆる職業の選択の自由は無制限に認められるものではなく、公共の福祉の要請がある限りその自由は制限されることは、当裁判所大法廷の判例とするところである(昭和24年新(れ)第7号同25年6月21日大法廷判決、刑集4巻6号1049頁参照)。そして、売春を助長する行為を刑罰をもつて禁止することは、結局人の尊厳を保ち、性道徳を維持し、社会を健全ならしめるために必要なことであつて、公共の福祉に適うことは、言を俟たないところである。それ故所論は採用することができない。
  2. 児童福祉法違反(最高裁判所第一小法廷判決、昭和37年4月26日、昭和35年(あ)第1671号、最高裁判所刑事判例集16巻4号449頁)児童福祉法第60条刑事訴訟法第411条
    児童福祉法第60条第1項の罪と売春防止法第12条の罪とが想像的競合となる事例
    児童をして多数の婦女とともに自己の占有もしくは管理する場所に居住させ、売春させることを業としたときは、一個の行為にして児童福祉法第60条第1項の罪(同法第34条第1項第6号に定める禁止事項「児童に淫行をさせる行為」違反の罪)と売春防止法第12条の罪との二個の罪名に触れる場合にあたる。
    • 児童を含む多数の婦女に売春をさせた者について、①数回に及ぶ売春をさせた行為を包括一罪として売春防止法12条を適用し被告人を懲役10月及び罰金5万円に処し、ただし1年間右懲役刑の執行を猶予する旨言い渡し、該判決は昭和35年1月9日確定した後、児童に淫行をさせる行為をなしたとして、昭和35年1月18日に児童福祉法60条1項の包括一罪として被告人を懲役4月に処した案件。
    • その犯罪事実は、婦女の年齢を異にするだけであつて、その実質は、すべて、被告人が、婦女をして対価を得て不特定の男性と性交せしめる行為をなしたことを内容とし、その犯行の期間は重複しており、犯行の場所も同一であるから、児童福祉法60条1項の罪と売春防止法12条の罪との法益の差異から見て、被告人の所為は、一個の行為にして数個の罪名に触れるものと解するを相当とする。果たして然らば、後の犯罪につき確定判決があるのに、さらに前の犯罪につき本件判決をすることは、いわゆる確定判決を経たときに当る場合であつて、原判決並びにその維持した第一審判決には刑訴411条1号の事由があつて、これを破棄しなければ著しく正義に反するものといわなければならない。
  3. 売春防止法違反(最高裁判所第三小法廷決定、昭和39年6月16日、昭和37年(あ)第273号、最高裁判所裁判集刑事151号439頁)
    売春防止法第12条と憲法第14条。
    弁護人の上告趣意は、憲法第14条違反をいうが、売春防止法第12条の規定は、同条に該当する行為をした者は何人であつてもその罪責を問う趣旨であつて、その行為者の人種、信条、性別、社会的身分又は門地によつて差別的な取扱いをしているものではないから、右違憲の主張は前提を欠き、採るをえない。
  4. 売春防止法違反(最高裁判所第二小法廷決定、昭和40年8月2日、昭和39年(あ)第2033号、最高裁判所裁判集刑事156号297頁)
    売春防止法第12条違反罪において反復された同種行為が別罪を構成するものとされた事例。
    本件のようないわゆる営業犯において、反復された同種行為が一罪として評価されるか否かは、その行為の時間的、場所的関係その他諸般の事情を目的論的見地に立つて考察し、社会通念上同一の営業活動と認められる限度内にあるか否かによつて決するのが相当である。しかるところ、原審の確定した事実によれば、被告人が昭和37年1月17日に宇都宮地裁において有罪判決を受けた事実は、被告人が昭和36年3月初めごろから同年4月28日までの間に、栃木県塩谷郡a町大字bc番地のdアパートに、AことBという婦女を居住させて、いわゆる管理売春をしたというのであるのに対し、本件事実は、被告人が昭和37年1月2日ごろから同年5月上旬ごろまでの間に、福島市e町字fg番地のhヌードスタヂオに、Cという婦女を居住させて、いわゆる管理売春をしたというのであつて、両者間には、時間的にも場所的にも相当の隔たりがあり、また売春をさせた婦女も異なつており、社会通念上とうてい同一の営業活動とは認められないから、これを別罪に当るものとした原判断は相当である。
  5. 売春防止法違反(最高裁判所第三小法廷決定、昭和42年9月19日、昭和42年(あ)第605号、最高裁判所刑事判例集21巻7号985頁)
    売春防止法第12条のいわゆる管理売春の罪が成立するとされた事例
    居住場所で旅館を経営する者が、売春婦らとの契約に基づいて、同女らを毎夕ほぼ定刻にその旅館に出勤集合させ、いつでも客の求めに応じうるような態勢で、翌朝3時ごろまで同旅館1階のたまり場において待機させ、その間無断で外出することを許さず、客があれば、みずからこれを売春婦にあてがい、対価の半額を取得して、同旅館2階の客室か又は同所が満員の場合自己の指示する旅館において客に売春をさせていたときは、売春婦らを自己の占有する場所に居住させて売春をさせることを業としたものとして、売春防止法第12条のいわゆる管理売春の罪が成立する。
  6. 売春防止法違反(最高裁判所第三小法廷決定、昭和42年11月28日、昭和41年(あ)第1967号、最高裁判所裁判集刑事165号261頁)
    売春防止法第12条にいう「居住させ」の意義
    売春防止法第12条にいう「居住させ」たとは、居住場所に対する事実上の支配関係を有することをもつて足り、居住自体について人を束縛強制し、その居所を転ずることを困難ならしめることを要しないものと解するのが正当である。

脚注

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  1. ^ 法律第六十八号(令四・六・一七)”. 衆議院. 2025年6月29日閲覧。
  2. ^ 法律第百十八号(昭三一・五・二四)”. 衆議院. 2025年3月29日閲覧。

前条:
売春防止法第11条
(場所の提供)
売春防止法
第2章 刑事処分
次条:
売春防止法第13条
(資金等の提供)
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