教育基本法第16条
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条文
[編集](教育行政)
- 第16条
- 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。
- 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
- 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。
- 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。
旧教育基本法
[編集]- 第10条(教育行政)
- 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。
- 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。
解説
[編集]本条は、教育行政の在り方に関し、教育は不当な支配に服してはならないことなどを規定している。「不当な支配」とは、政党や財界などの国民全体とはならない一部の勢力のことを指し、理論的には国・地方公共団体のような行政機関も不当な支配になりうるとされる。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 懲戒免職処分取消請求事件(最高裁判所大法廷判決、昭和51年5月21日、昭和43年(あ)第1614号、最高裁判所刑事判例集30巻5号615頁)
- 地方教育行政の組織及び運営に関する法律54条2項と昭和36年度全国中学校一せい学力調査の手続上の適法性
- 地方教育行政の組織及び運営に関する法律54条2項は、文部大臣に対し、昭和36年度全国中学生一せい学力調査のような調査の実施を教育委員会に要求する権限を与えるものではないが、右規定を根拠とする文部大臣の右学力調査の実施の要求に応じて教育委員会がした実施行為は、そのために手続上違法となるものではない。
- 憲法と子どもに対する教育内容の決定権能の帰属
- 憲法上、親は一定範囲においてその子女の教育の自由をもち、また、私学教育の自由及び教師の教授の自由も限られた範囲において認められるが、それ以外の領域においては、国は、子ども自身の利益の擁護のため、又は子どもの成長に対する社会公共の利益と関心にこたえるため、必要かつ相当と認められる範囲において、子どもの教育内容を決定する権能を有する。
- 教育行政機関の法令に基づく教育の内容及び方法の規制と(旧)教育基本法10条
- 教育行政機関が法令に基づき教育の内容及び方法に関して許容される目的のために必要かつ合理的と認められる規制を施すことは、必ずしも(旧)教育基本法10条の禁止するところではない。
- 昭和36年当時の中学校学習指導要領(昭和33年文部省告示第81号)の効力
- 昭和36年当時の中学校学習指導要領(昭和33年文部省告示第81号)は、全体としてみた場合、中学校における教育課程に関し、教育の機会均等の確保及び全国的な一定水準の維持の目的のために必要かつ合理的と認められる大綱的な遵守基準を設定したものとして、有効である。
- 昭和36年度全国中学校一せい学力調査と(旧)教育基本法10条
- 昭和36年度全国中学校一せい学力調査は、(旧)教育基本法10条1項にいう教育に対する「不当な支配」として同条に違反するものではない。
- 教育の地方自治と昭和36年度全国中学校一せい学力調査の適法性
- 文部大臣が地方教育行政の組織及び運営に関する法律54条2項の規定を根拠として教育委員会に対してした昭和36年度全国中学校一せい学力調査の実施の要求は、教育の地方自治の原則に違反するが、右要求に応じてした教育委員会の調査実施行為自体は、そのために右原則に違反して違法となるものではない。
- 地方教育行政の組織及び運営に関する法律54条2項と昭和36年度全国中学校一せい学力調査の手続上の適法性
- 懲戒免職処分取消請求事件(最高裁判所第三小法廷判決、昭和53年11月14日、昭和49年(行ツ)第79号、最高裁判所裁判集民事125号565頁)
- 教職員の勤務評定書の提出を拒否したことを理由とする東京都の区立小学校の校長に対する懲戒免職処分が有効とされた事例
- 暴行被告事件(最高裁判所第三小法廷判決、昭和54年10月9日、昭和51年(あ)第1140号、最高裁判所刑事判例集33巻6号503頁)
- 昭和36年度全国高等学校抽出学力調査の実施と(旧)教育基本法10条
- 昭和36年度全国高等学校抽出学力調査の実施は、教育に対する不当な支配として(旧)教育基本法10条に違反するものではない。
- 損害賠償請求事件(最高裁判所第三小法廷判決、平成5年3月16日、昭和61年(オ)第1428号、最高裁判所民事判例集47巻5号3483頁)
- 引用元における「学校教育法21条1項(昭和45年法律第48号による改正前のもの)、51条(昭和49年法律第70号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和23年文部省令第4号)、旧教科用図書検定基準(昭和33年文部省告示第86号)に基づく」の表記は「改正前学校教育法21条1項等に基づく」と略す。
- 改正前学校教育法21条1項等に基づく高等学校用の教科用図書の検定と憲法26条、教育基本法10条(旧法)
- 改正前学校教育法21条1項等に基づく高等学校用の教科用図書の検定と憲法26条、教育基本法10条(旧法)に違反しない。
- 改正前学校教育法21条1項等に基づく高等学校用の教科用図書の検定と憲法21条2項前段
- 改正前学校教育法21条1項等に基づく高等学校用の教科用図書の検定は、憲法21条2項前段に違反しない。
- 改正前学校教育法21条1項等に基づく高等学校用の教科用図書の検定と憲法21条1項
- 改正前学校教育法21条1項等に基づく高等学校用の教科用図書の検定は、憲法21条1項に違反しない。
- 改正前学校教育法21条1項等に基づく高等学校用の教科用図書の検定と憲法23条
- 改正前学校教育法21条1項等に基づく高等学校用の教科用図書の検定は、憲法23条に違反しない。
- 改正前学校教育法21条1項等に基づく高等学校用の教科用図書の検定における文部大臣の裁量的判断と国家賠償法上の違法
- 改正前学校教育法21条1項等に基づく高等学校用の教科用図書の検定における合否の判定等の判断は、文部大臣の合理的な裁量にゆだねられているが、文部大臣の諮問機関である教科用図書検定調査審議会の判断の過程に、申請原稿の記述内容又は欠陥の指摘の根拠となるべき検定当時の学説状況等についての認識や、検定基準に違反するとの評価等に関して看過し難い過誤があり、文部大臣の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、右判断は、裁量権の範囲を逸脱したものとして、国家賠償法上違法となる。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 浪本勝年・三上昭彦編著 『「改正」教育基本法を考える ――逐条解説―― [改訂版]』 北樹出版、2008年10月15日。ISBN 9784779301346。
- 曽我雅比児著 『公教育と教育行政 改訂版 ――教職のための教育行政入門――』 大学教育出版、2015年4月20日。ISBN 9784864293006。
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