料理本/文昌鶏
文昌鶏（ウェンチャンジー）は、中国海南省の文昌市で育まれ、鶏肉としても料理としても名高い一品です。
文昌鶏という鶏
[編集]文昌鶏は、地面を自由に歩き回る地鶏の一種で、小柄ながらも肉付きが良く、ココナッツや落花生ブランを餌としています。出荷前の2ヶ月間は、地面から離れた専用の小屋で飼育されるのが特徴です。こうした飼育方法により、文昌鶏は驚くほど柔らかな肉質を持つことで知られています。
文昌鶏料理
[編集]文昌鶏は海南省全域で親しまれている郷土料理です。伝統的な調理法は「白切（パイチェ）」と呼ばれるもので、沸騰直前の湯に鶏肉をつけ込み、じっくり火を通すことで、柔らかさを最大限に引き出します。
出来上がった文昌鶏は、刻んだ生姜、にんにく、塩などを合わせた特製のタレにつけながらいただきます。文昌鶏の皮は黄色く、見た目は油分が豊富そうですが、肉自体は比較的あっさりとしていて、ブロイラーチキンとは異なる歯ごたえが楽しめます。
文昌鶏は、中国本土や香港、台湾、そして東南アジア諸国でも人気があります。
19世紀から20世紀にかけて、多くの海南省出身者が南洋（ナンヤン）と呼ばれる、現在の東南アジアへと移住しました。彼らは故郷の食文化を持ち込み、現地の食材と融合させたり、全く新しい料理を生み出したりしました。
文昌鶏と深い関わりがあるのが、シンガポールの名物料理「海南鶏飯」です。なんと、この海南鶏飯は、文昌鶏がルーツになっているのです。シンガポールでは、この海南鶏飯が国民食として愛され、東南アジアを代表する料理の一つにもなっています。
海南鶏飯の誕生は1920年代頃とされており、シンガポール在住だった海南省出身の料理人、王逸元（ワンイーユエン）によって考案されました。その後、20世紀半ばには、シンガポール人の海南系華僑である莫利達（モーリーター）氏が経営していた「瑞記鶏飯（スウィーキーチキンライス）レストラン」によって、さらに人気を広めたのです。
レシピ
[編集]材料
[編集]タレ
[編集]作り方
[編集]- 鶏肉の準備
- 鶏肉を洗い、内臓を取り除きます。
- 塩を鶏の内側と外側にまんべんなくすり込み、10分ほど置きます。
- 鍋にたっぷりの水を入れ、生姜とネギを加えて沸騰させます。
- 茹でる
- 鍋が沸騰したら、鶏を入れて再び沸騰させ、中火にして20-30分茹でます。
- 鶏肉が茹で上がったら、冷水に浸けて冷まし、ジューシーさを保ちます。
- タレの準備
- 小鍋にごま油を熱し、生姜、ニンニク、ネギを香りが出るまで炒めます。
- 火を止め、醤油と塩を加えて混ぜます。
- 仕上げ
- 冷めた鶏肉を取り出し、適当な大きさに切ります。
- タレをかけて、盛り付けます。
文昌鶏はそのシンプルで風味豊かな味わいが特徴で、特製のタレがさらに美味しさを引き立てます。
