料理本/ネギ
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ネギ(葱、Allium fistulosum)は、中国西部および中央アジアを原産地とする植物で、東アジアで広く食用に栽培されています。日本では特に重要な野菜の一つとして扱われています。ネギには「 葉ネギ 」と「 長ネギ 」(根深ネギ)という2つの主要な系統があり、葉ネギは緑の葉の部分を主に食用とし、長ネギは白い葉鞘の部分が食用に適しています。
分類と名称
[編集]かつてはネギはユリ科に分類されていましたが、現在のAPG植物分類体系では、ヒガンバナ科ネギ亜科に属しています。
「ネギ」という名称は、古い日本語の「き」から派生したもので、別名として「一文字」や「比止毛之」などが使われていました。「根葱」という名称もあり、これは茎のように見える白い葉鞘の部分を根に見立てたことに由来します。学名の種小名 "fistulosum" はラテン語で「中空の」という意味を持ち、ネギの中空の葉構造を表しています。
英語ではリーク(Leek)やウェルシュ・オニオン(Welsh onion)と呼ばれますが、"Welsh" はドイツ語の "welsch" に由来し、「外国の」という意味があります。
特徴
[編集]ネギは畑で栽培される多年草で、葉は白い葉鞘と緑色の葉身部から構成されており、茎のように見えることから偽茎と呼ばれます。葉身部は太く、先端が尖り、白っぽい粉を含んだ緑色をしています。冬の低温に感応して花芽が形成され、春には薹(とう)が立ち、花序が開花します。ネギの花は「ネギ坊主」と呼ばれ、小さな白緑色の花が密集して咲きます。
歴史
[編集]ネギの原産地は中国西部、シベリア、中央アジアの乾燥地帯とされ、紀元前200年ごろには中国で既に栽培されていました。日本には奈良時代に伝わり、古くから親しまれてきた野菜です。ヨーロッパへは16世紀に伝わりましたが、普及はあまり進みませんでした。
種類と分布
[編集]ネギは主に「根深ネギ」と「葉ネギ」に大別され、関東地方では根深ネギが、関西地方では葉ネギが好まれる傾向があります。多くの品種が存在し、関東では千住ネギ群、寒地では加賀群、関西では九条ネギ群などが栽培されています。商業的にはF1種が多く栽培されていますが、在来種も多く栽培されており、各地に特有のネギが存在します。
代表的な品種
[編集]- 下仁田ネギ (群馬県):別名「殿様ネギ」とも呼ばれ、太く短い形状が特徴。加熱すると甘みが強くなります。
- 深谷ネギ (埼玉県):鍋物や煮物料理に適しています。
- 曲がりネギ (宮城県、福島県):栽培法により独特の曲がった形状を持ちます。
このように、ネギは地域ごとに異なる特徴や栽培方法があり、日本全国でさまざまな形態で親しまれています。
料理での使用
[編集]ネギはアジア料理、特に東アジアや東南アジアで重要な食材とされています。日本、中国では特に重用されており、英語で「Japanese bunching onion(日本の長ネギ)」と呼ばれることもあります。
中国
[編集]中国では、ネギは葱油餅やさまざまな料理のガーニッシュとしてよく使用されます。また、肉と混ぜ合わせてシューマイや真珠肉団子に使用されることもあります。
日本
[編集]日本語では「ネギ」と呼ばれますが、これはアリウム属の他の植物を指すこともあります。19世紀に一般的なタマネギが東アジアに導入されましたが、ネギは今でも広く栽培され、使われています。味噌汁やネギ巻き(牛肉とネギの巻物)などの料理に使用されるほか、スライスして照り焼きやたこ焼きのガーニッシュとしても使われます。
ロシア
[編集]ネギは春にサラダに緑の葉を加えるために使用されます。
ジャマイカ
[編集]ジャマイカでは「エスカリオン」として知られ、タイム、スコッチボネットペッパー、ガーリック、オールスパイス(ピメント)と組み合わせてジャマイカ料理に使用されます。エスカリオンを使ったレシピでは、サラダにリーキを代用することが推奨されることもあります。
ネギの種類
[編集]日本で一般的なネギの種類には以下があります:
- 長ねぎ :白い部分が長く、葉が濃い緑色の品種です。
- 葉ねぎ :細くて柔らかく、葉の部分を多く利用する品種です。
- ワケギ (Allium × proliferum): ネギ と タマネギ の交雑種で、独特の香りと風味が特徴です。
ネギの栄養
[編集]ネギには以下の栄養素が含まれています:
- ビタミンC :抗酸化作用があり、免疫力の向上に寄与します。
- ビタミンB1 :エネルギー代謝を助けます。
- 食物繊維 :腸内環境を整えます。
- アリシン :抗菌作用や血行促進効果があります。
- カリウム :血圧調整に役立ちます。
ネギの選び方
[編集]ネギを選ぶ際は、以下の点に注意しましょう:
- 葉の色:鮮やかな緑色で、しおれていないものを選びます。
- 白い部分:長ねぎの場合、白い部分が太くてまっすぐなものが良質です。
- 香り:適度な香りがするものを選びます。強すぎる香りは古い場合があります。
ネギの保存方法
[編集]ネギは以下の方法で保存します:
- 新聞紙やキッチンペーパーで包み、冷蔵庫の野菜室で保存します。
- 根元を水に浸して立てて保存すると、長持ちします。
- カットしたネギは、密閉容器に入れて冷凍保存することもできます。
ネギの基本的な調理法
[編集]ネギは様々な調理法で活用できます:
- 薬味:刻んで、麺類やお椀物の薬味として使用します。
- 炒め物:肉や野菜と一緒に炒めて使います。
- 鍋料理:各種鍋料理の具材として欠かせません。
- 焼きネギ:そのまま焼いて、付け合わせやおつまみとして楽しめます。
まとめ
[編集]- ネギは日本の伝統的な「七草」の一つです。
- ネギの白い部分と緑の部分では、栄養成分や香りが異なります。
- 日本では地域によって好まれるネギの太さや長さが異なります。