日本国憲法第32条

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条文[編集]

【裁判を受ける権利】

第32条
何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

解説[編集]

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参照条文[編集]

判例[編集]

  1. 町村長選挙罰則違反(最高裁判決 昭和24年3月23日)
    管轄違の裁判と憲法第32条
    憲法第32条の趣旨は凡て国民は憲法又は法律に定められた裁判所においてのみ裁判を受ける権利を有し裁判所以外の機関によつて裁判をされることはないことを保障したものであつて訴訟法で定める管轄権を有する具体的裁判所において裁判を受ける権利を保障したものではない。従つて仮に所論の如く本件公判請求書は昭和22年5月2日に福知山区裁判所において受理したものではなくて同年同月5日京都地方裁判所福知山支部が受理したものであるとしても、その違法はただ管轄違の裁判所のなした第二審判決を原審が是認したという刑事訴訟法上の違背があるということに帰着するだけであつて、そのために原判決を目して憲法違反のものであるとはいい得ない。従つて原判決は憲法に違反することを主張する。論旨は再上告適法の理由とはならない。
  2. 食糧管理法違反(最高裁判決 昭和25年2月1日)憲法第36条
    1. 刑訴応急措置法第13条第2項と憲法第32条
      所論憲法第32条は、何人も裁判所において裁判を受ける権利であることを規定したに過ぎないもので、如何なる裁判所において、裁判を受くべきかの裁判所の組織、権限等については、すべて法律において諸般の事情を勘案して決定すべき立法政策の問題であつて、憲法には第91条を除くの外特にこれを制限する何等の規定も存しない。従つて三審制を採用する裁判制度において、上告審を純然たる法律審すなわち法令違反を理由とするときに限り上告を為すことを得るものとするか、又は法令違反の外に量刑不当乃至事実誤認の上告理由をも認めて事実審理をも行うものとするかは、立法を以て適当に決定すべき事項に属する。されば旧憲法時代の訴訟手続において刑訴法第412条の規定により量刑不当の上告理由を許していたにかかわらず、刑訴応急措置法第13条第2項の規定において右刑訴法の規定を適用しないものと規定しからと云つてその規定を目して右憲法規定の違反なりとする所論は当を得ない。(昭和22年(れ)第56号同23年2月6日宣告大法廷判決参照)。
    2. 憲法第36条にいわゆる「残虐な刑罰」
      憲法第36条にいわゆる「残虐な刑罰」とは刑罰そのものが人道上残酷と認められる刑罰を意味し、法定刑の種類の選択又は範囲の量定の不当を指すものではない(昭和22年(れ)第323号同23年6月23日宣告大法廷判決参照)。
    3. 食糧管理法の目的と国民の生存権
      食糧管理法はその主要な目的手段として国民全体の食生活を安定確保するため、食糧生産者から余剰食糧を供出せしめ一般消費者にでき得る限り多く分配せんとするものであるから、国民食糧生産者は、この法律によつて直接その生命又は生活を害せられることなく、また一般消費者はこの法律によつて寧ろその生命又は生活を保障せられるのであるから、所論のごとく憲法の保障する国民の生存権を否定するものではなく、寧ろこれを保護するものである。また、同法並びにその附属法令は、第二次的手段として、主要食糧の讓渡又は移動等を一般的に禁止又は制限し若しくは配給量につき一定の限度を設け得るものとしたが同時にその讓渡、移動等については許可を認め配給については増配給食等の特別配給の方法をも認めているからこの点からしても所論のごとく同法をもつて合理性を欠き又は社会の現実に合はない国民のひとしく守り得ない。結局国民の生存権を否定する法令であると云うことはできない。(昭和23年(れ)第205号同年9月29日宣告大法廷判決参照)。
  3. 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反(石油価格カルテル刑事事件  最高裁判決 昭和59年02月24日)
    独禁法85条3号の規定と憲法14条1項、31条、32条
    独禁法89条から91条までの罪に係る訴訟につき二審制を定めた同法85条3号の規定は、憲法14条1項、31条、32条に違反しない。

前条:
日本国憲法第31条
【法定手続の補償】
日本国憲法
第3章 国民の権利及び義務
次条:
日本国憲法第33条
【逮捕の要件】
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