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日本国憲法第22条

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条文

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【居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由】

第22条
  1. 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
  2. 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

解説

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ウィキペディア日本国憲法第22条の記事があります。

第1項関連

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居住・移転の自由

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職業選択の自由

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第2項関連

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国外移住の自由

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国籍離脱の自由

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参照条文

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判例

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第1項関連

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  1. 職業安定法違反(最高裁判決 昭和25年6月21日)
    職業安定法第32条の合憲性
    在来の自由有料職業紹介においては営利の目的のため、条件等の如何に拘わらず、ともかく契約を成立せしめて報酬を得るため、更に進んでは多額の報酬を支払う能力を有する資本家に奉仕するため、労働者の能力、利害、妥当な労働条件の獲得、維持等を顧みることなく、労働者に不利益な契約を成立せしめた事例多く、これに基因する弊害も甚しかつたことは顕著な事実である。職業安定法は公の福祉のためこれ等弊害を除去し、各人にその能力に応じ適当な職業を与え以て職業の安定を図らんとするもので、その目的のために従来弊害の多かつた有料職業紹介を禁じ公の機関によつて無料にそして公正に職業の紹介をすることにしたのであり決して憲法の各条項に違反するものではない。
  2. 公衆浴場法違反(最高裁判決 昭和30年1月26日)憲法第94条
    公衆浴場法第2条第2項後段の規定並びに昭和25年福岡県条例第54号第3条の規定と憲法第22条
    公衆浴場法(昭和25年法律第187号による改正後のもの)第2条第2項後段の、「公衆浴場の設置場所が配置の適正を欠くと認められる場合には、都道府県知事は公衆浴場の経営を許可しないことができる」旨の規定並びに昭和25年福岡県条例第54号3条の、公衆浴場の設置場所の配置の基準等を定めている規定は、いずれも職業選択の自由を保証する憲法第22条に違反しない。
    • 公衆浴場は、多数の国民の日常生活に必要欠くべからざる、多分に公共性を伴う厚生施設である。そして、若しその設立を業者の自由に委せて、何等その偏在及び濫立を防止する等その配置の適正を保つために必要な措置が講ぜられないときは、その偏在により、多数の国民が日常容易に公衆浴場を利用しようとする場合に不便を来たすおそれなきを保し難く、また、その濫立により、浴場経営に無用の競争を生じその経営を経済的に不合理ならしめ、ひいて浴場の衛生設備の低下等好ましからざる影響を来たすおそれなきを保し難い。このようなことは、上記公衆浴場の性質に鑑み、国民保健及び環境衛生の上から、出来る限り防止することが望ましいことであり、従つて、公衆浴場の設置場所が配置の適正を欠き、その偏在乃至濫立を来たすに至るがごときことは、公共の福祉に反するものであつて、この理由により公衆浴場の経営の許可を与えないことができる旨の規定を設けることは、憲法22条に違反するものとは認められない。
  3. あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法違反(最高裁判決 昭和35年1月27日)
    1. あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第12条、第14条第12条、第14条の合憲性
      あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第12条、第14条による医業類似行為の禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記第12条、第14条は憲法第22条に反するものではない。
      • 医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するのは、かかる業務行為が人の健康に害を及ぼす虞があるからである。それ故前記法律が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのも人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならないのであつて、このような禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記法律12条、14条は憲法22条に反するものではない。
    2. あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第12条、第14条により禁止処罰される医業類似行為の範囲
      あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法第12条、第14条が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのは、人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならない。
      • 本件HS式無熱高周波療法はいささかも人体に危害を与えず、また保健衛生上なんら悪影響がないのであるから、これが施行を業とするのは少しも公共の福祉に反せず従つて憲法22条によつて保障された職業選択の自由に属する。
        田中耕太郎裁判官らの反対意見
        • 法律は医業類似行為が一般的に人の健康に害を及ぼす虞れのあるものという想定の下にこの種の行為を画一的に禁止したものである。個々の場合に無害な行為といえども取締の対象になることがあるのは、公共の福祉の要請からして、やむを得ない。かような画一性は法の特色とするところである。
  4. 子の引渡請求(最高裁判決 昭和35年03月15日)民法第820乗
    1. 幼児の引渡を求める訴訟においてその幼児が自由意思に基いて相手方の許に居住しているとはいえない事例
      幼児の引渡を求める訴訟において、その幼児が3歳に満たない頃からひき続き相手方のもとで養育されているというだけでは、右幼児は自由意思に基いて同所に居住しているとはいえない。
    2. 幼児引渡の請求を認容する判決と日本国憲法第22条の居住移転の自由
      いわゆる幼児引渡の請求は、幼児に対し親権を行使するにつきその妨害の排除を求める訴であるから、これを認容する判決は憲法第22条所定の居住移転の自由となんら関係がない。
  5. 道路運送法違反(最高裁判決 昭和38年12月4日)
    道路運送法第101条第1項の合憲性。
    道路運送法第101条第1項[自家用自動車を有償運送の用に供することを禁止するもの]は憲法第22条第1項に違反しない。
    • 道路運送法は道路運送事業の適正な運営及び公正な競争を確保するとともに、道路運送に関する秩序を確立することにより道路運送の総合的な発達を図り、もつて公共の福祉を増進することを目的とするものである。そして同法が自動車運送事業の経営を各人の自由になしうるところとしないで免許制をとり、一定の免許基準の下にこれを免許することにしているのは、わが国の交通及び道路運送の実情に照らしてみて、同法の目的とするところに副うものと認められる。ところで、自家用自動車の有償運送行為は無免許営業に発展する危険性の多いものてあるから、これを放任するときは無免許営業に対する取締の実効を期し難く、免許制度は崩れ去るおそれがある。
  6. 小売商業調整特別措置法違反(最高裁判決 昭和47年11月22日)
    1. 個人の経済活動に対し社会経済政策の実施の一手段としてなされる法的規制措置の合憲性
      国が、積極的に、国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し、社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るため、その社会経済政策の実施の一手段として、立法により、個人の経済活動に対し、一定の規則措置を講ずることは、それが右目的達成のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限り、憲法の禁ずるところではない。
      • 憲法は、国の責務として積極的な社会経済政策の実施を予定しているものということができ、個人の経済活動の自由に関する限り、個人の精神的自由等に関する場合と異なつて、右社会経済政策の実施の一手段として、これに一定の合理的規制措置を講ずることは、もともと、憲法が予定し、かつ、許容するところと解するのが相当であり、国は、積極的に、国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し、もつて社会経済全体の均衡のとれた調和的発展を図るために、立法により、個人の経済活動に対し、一定の規制措置を講ずることも、それが右目的達成のために必要かつ合理的な範囲にとどまる限り、許されるべきであつて、決して、憲法の禁ずるところではない。
    2. 個人の経済活動に対する法的規制措置と違憲判断
      個人の経済活動に対する法的規制措置については、裁判所は、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法的規制措置が著しく不合理であることの明白な場合に限つて、これを違憲とすることができる。
    3. 小売商業調整特別措置法3条1項、同法施行令1条、2条所定の小売市場の許可規制の合憲性
      小売商業調整特別措置法3条1項、同法施行令1条、2条所定の小売市場の許可規制は、憲法22条1項、14条に違反しない。
      • 本法所定の小売市場の許可規制は、国が社会経済の調和的発展を企図するという観点から中小企業保護政策の一方策としてとつた措置ということができ、その目的において、一応の合理性を認めることができないわけではなく、また、その規制の手段・態様においても、それが著しく不合理であることが明白であるとは認められない。
      • 小売商業調整特別措置法3条1項に規定される事項
        政令で指定する市の区域内の建物については、都道府県知事の許可を受けた者でなければ、小売市場(一の建物であつて、十以上の小売商―その全部又は一部が政令で定める物品を販売する場合に限る。―の店舗の用に供されるものをいう。)とするため、その建物の全部又は一部をその店舗の用に供する小売商に貸し付け、又は譲り渡してはならない
      • 同法施行令1条および別表1に規定される事項
        「政令で指定する市」
      • 同法施行令2条および別表2は、に規定される事項
        「政令で定める物品」として、野菜、生鮮魚介類を指定
    4. 違憲の主張が上告適法の理由にあたらないとされた事例
      小売商業調整特別措置法5条1号に基づく大阪府小売市場許可基準内規(一)は、それ自体、法的拘束力を有するものではなく、単に同法3条1項に基づく許可申請にかかる許可行政の運用基準を定めたものにすぎないから、その当否は、具体的な不許可処分の適否を通じて争えば足り、右許可申請をしない者が右内規の一般的合憲性を争うことは許されない。
    5. 憲法25条1項違反の主張が前提を欠くとされた事例
      小売商業調整特別措置法所定の小売市場の許可規制のために、国民の健康で文化的な最低限度の生活に具体的に特段の影響を及ぼしたという事実は、本件記録上もこれを認めることができないから、所論憲法25条1項違反の主張は、その前提を欠き、上告適法の理由にあたらない。
  7. 行政処分取消請求(薬局距離制限事件 最高裁判決 昭和50年4月30日)
    薬事法6条2項、4項(これらを準用する同法26条2項)と憲法22条1項
    薬事法6条2項、4項(これらを準用する同法26条2項)は憲法22条1項に違反する。
    • 職業の許可制は、法定の条件をみたし、許可を与えられた者のみにその職業の遂行を許し、それ以外の者に対してはこれを禁止するものであつて、職業の自由に対する公権力による制限の一態様である。このような許可制が設けられる理由は多種多様で、それが憲法上是認されるかどうかも一律の基準をもつて論じがたい。一般に許可制は、単なる職業活動の内容及び態様に対する規制を超えて、狭義における職業の選択の自由そのものに制約を課するもので、職業の自由に対する強力な制限であるから、その合憲性を肯定しうるためには、原則として、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し、また、それが社会政策ないしは経済政策上の積極的な目的のための措置ではなく、自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的、警察的措置である場合には、許可制に比べて職業の自由に対するよりゆるやかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によつては右の目的を十分に達成することができないと認められることを要する。
    • 薬局等の設置場所の地域的制限の必要性と合理性を裏づける理由として被上告人(政府)の指摘する薬局等の偏在―競争激化―一部薬局等の経営の不安定―不良医薬品の供給の危険又は医薬品乱用の助長の弊害という事由は、いずれもいまだそれによつて必要性と合理性を肯定するに足りず、また、これらの事由を総合しても右の結論を動かすものではない。

第2項関連

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  1. 外国人登録令違反(最高裁判決 昭和32年6月19日)
    1. 憲法第22条は外国人の日本国入国の自由を保障するか
      憲法第22条は外国人の日本国に入国することについてなんら規定していないものというべきである。
      • 憲法22条の右の規定の保障するところは、居住・移転及び外国移住の自由のみに関するものであつて、それ以外に及ばず、しかもその居住・移転とは、外国移住と区別して規定されているところから見れば、日本国内におけるものを指す趣旨であることも明らかである。
      • 憲法22条は外国人の日本国に入国することについてはなにら規定していないものというべきであつて、このことは、国際慣習法上、外国人の入国の許否は当該国家の自由裁量により決定し得るものであつて、特別の条約が存しない限り、国家は外国人の入国を許可する義務を負わない。
    2. 外国人登録令第3条第12条の合憲性
      外国人登録令第3条、第12条は憲法第22条に違反しない。
  2. 出入国管理令違反等(最高裁判決 昭和32年12月25日)刑法第21条
    出入国管理令第25条の合憲性
    出入国管理令第25条は、憲法第22条第2項に違反しない。
    • 憲法22条2項は「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない」と規定しており、ここにいう外国移住の自由は、その権利の性質上外国人に限つて保障しないという理由はない。次に、出入国管理令25条1項は、本邦外の地域におもむく意図をもつて出国しようとする外国人は、その者が出国する出入国港において、入国審査官から旅券に出国の証印を受けなければならないと定め、同2項において、前項の外国人は、旅券に証印を受けなければ出国してはならないと規定している。右は、出国それ自体を法律上制限するものではなく、単に、出国の手続に関する措置を定めたものであり、事実上かゝる手続的措置のために外国移住の自由が制限される結果を招来するような場合があるにしても、同令1条に規定する本邦に入国し、又は本邦から出国するすべての人の出入国の公正な管理を行うという目的を達成する公共の福祉のため設けられたものであつて、合憲性を有するものと解すべき。
  3. 損害賠償並びに慰藉料請求(最高裁判決 昭和33年9月10日)旅券法第13条第1項第5号(現行旅券法第13条第1項第7号),国家賠償法1条1項
    1. 旅券法第13条第1項第5号の合憲性。
      旅券法第13条第1項第5号は、外国旅行の自由に対し、公共の福祉のため合理的な制限を定めたもので、憲法第22条第2項に違反しない。
      • 憲法22条2項の「外国に移住する自由」には外国へ一時旅行する自由をも含むものと解すべき。
      • 外国旅行の自由といえども無制限のままに許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべき。
    2. 旅券法第13条第1項第5号により外務大臣のなした旅券発給拒否の処分が違法でないとされた事例。
      原審認定の事実関係、特に占領治下我国の当面する国際情勢の下において、外務大臣が上告人らのモスコー国際経済会議への参加を旅券法第13条第1項第5号にあたると判断してなした旅券発給拒否の処分は、違法とはいえない。
      • 旅券法第13条第1項第5号は、公共の福祉のために外国旅行の自由を合理的に制限したものと解すべきであることは、既に述べたとおりであつて、日本国の利益又は公安を害する行為を将来行う虞れある場合においても、なおかつその自由を制限する必要のある場合のありうることは明らかであるから、同条をことさら所論のごとく「明白かつ現在の危険がある」場合に限ると解すべき理由はない。
  4. 一般旅券発給拒否処分取消等(最高裁判決 昭和60年01月22日)
    一般旅券発給拒否処分が理由付記の不備のため違法とされた事例
    一般旅券発給拒否処分の通知書に、発給拒否の理由として、「旅券法13条1項5号に該当する。」と記載されているだけで、同号適用の基礎となつた事実関係が具体的に示されていない場合には、理由付記として不備であつて、右処分は違法である。
    • 伊藤正己裁判官補足意見
      • 日本国民が一時的に海外に移動する形で渡航する海外旅行はもとより、勤務や留学などの目的で一定期間外国に居住する場合であつても、日本国の主権による保護を享受しつつその期間を過ごし、再びわが国に帰国することを予定しているような海外渡航については、その自由は、憲法22条2項にいう外国に移住する自由に含まれるものではない。同項は、日本国民が日本国の主権から法律上も事実上も離脱するという国籍離脱の自由と並んで、外国に移住する自由を保障しているが、この自由は、移住という言葉の文理からいつても、その置かれた位置からいつても、日本国の主権の保護を受けながら一時的に日本国外に渡航することの自由ではなく、永久に若しくは少なくとも相当長期にわたつて外国に移住する目的をもつて日本国の主権から事実上半ば離脱することの自由をいうものと解される(最高裁判決昭和33年9月10日と異なる立場)。国籍離脱の自由と右のように解釈された外国移住の自由とは、現代の国際社会において強く保障を受けるものであり、政策的考慮に基づく制約を受けるべきものではない。
      • 一時的な海外渡航の自由は、憲法22条1項中「移転の自由」によつて保障されるものと解するのが妥当である。このような移転の自由は、他の利益と抵触することも少なくなく、そのために公共の福祉を理由とする政策的見地からする制限を受けざるをえないのであり、憲法22条2項が「公共の福祉に反しない限り」と特に明文で規定する趣旨もそこにあるとみることができる。海外渡航の自由に対してもまた、国際関係における日本国の利益などを考慮して合理的な制限を加えることが許される。
      • 「移転の自由」は、元来、職業選択の自由と結び付いた経済的な自由に属するものと考えられていたが、今日では、国の内外を問わず自由に移動することは、単なる経済的自由にとどまらず人身の自由ともつながりを持ち、さらに他の人びととの意見や情報の交流などを通じて人格の形成に役立つという精神的自由の側面をも持つものと考えられている。移動の自由の制約が合理的なものであるかどうかを判断するにあたつては、それがこの自由のどのような面を規制するかを考察すべきものと考えられ、一般に、海外渡航の自由を制限する場合には、精神的自由の制約という面を持つことが多いのであり、それだけにたやすくその制約を合理的なものとして支持することはできない。

前条:
日本国憲法第21条
【集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密】
日本国憲法
第3章 国民の権利及び義務
次条:
日本国憲法第23条
【学問の自由】
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