日本国憲法第77条
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条文
[編集]【最高裁判所の規則制定権】
- 第77条
- 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。
- 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
- 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
解説
[編集]裁判所における訴訟手続等の事務処理については、裁判所の自律事項であるから、法律の範囲内で最高裁判所が規則を定める権限を有している。
最高裁判所及び最高裁判所が委任する下級裁判所の定める規則は、国民一般はもとより、行政府である検察官も羈束する。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 窃盗(最高裁判決昭和25年10月25日)
- 刑訴規則施行規則第3条第3号と憲法第77条及び刑訴施行法第13条との関係
- 論旨は刑訴規則施行規則第3条第3号と憲法第77条との関係を問題にするのであるが、憲法第77条は「最高裁判所は訴訟に関する手続………について規則を定める権限を有する。」とあつて、規則施行規則第3条第3号は右権限の範囲内に属するものと認められるのみならず、右条項は直接には刑訴施行法第13条に基くものであり、すなわち法律によつて委任されたものであるから、所論のごとく「国民の関与なしに裁判所のみによつて制定され」たものでなく、従つて「法律と規則とが競合する場合」でない。すなわち本件原判決は憲法第77条に反せず、従つて同第31条にも違背せず。
- 刑事訴訟施行法第13条
- この法律に定めるものを除く外、新法施行の際現に裁判所に係属している事件の処理に関し必要な事項は、裁判所の規則の定めるところによる。
- 刑事訴訟施行法第13条
- 恐喝、銃砲等所持禁止令(最高裁判決昭和26年2月23日)
- 法律が一定の規定の制定を最高裁判所に委任することの合憲性
- 法律が一定の規定の制定を最高裁判所の規則に委任することは何ら憲法の禁ずるところでないことは、判決(最判昭和25年10月25日)の趣旨から容易にうかがわれるところである。
- 刑訴施行法第13条にいわゆる「裁判所の規則」の意議
- 又論旨は刑訴施行法第13条は規則の制定方を最高裁判所だけに委任せず下級裁判所にも委任しているのは憲法第77条第3項に違反すると主張する。しかし前記刑訴規則施行規則第3条第3号は最高裁判所の制定した規則であつて下級裁判所の制定したものではないのであるから所論は本件規則の効力に無関係であるのみならず刑訴施行法第13条に「裁判所の規則の定めるところによる」とあるいわゆる「裁判所の規則」とは憲法により司法裁判所に制定権を認められた規則の意であつて最高裁判所が憲法第77条第1項により自ら設定する規則及び最高裁判所の委任に基き下級裁判所の制定する規則を指すことは右刑訴施行法第13条の解釈上当然である。
- 法律が一定の規定の制定を最高裁判所に委任することの合憲性
- 公務執行妨害、傷害(最高裁判決昭和30年4月22日)
- 刑事訴訟に関する手続を法律で定めることと憲法第77条
- 法律により刑事に関する訴訟手続を規定することは憲法第77条に違反しない。
- 「訴訟に関する手続は、憲法第77条によりすべて最高裁判所規則で定めるべきものであつて、法律で定めるべきものではないのであるから、法律をもつて規定した刑事訴訟法は憲法に適合しないものであり、原判決がこの法律を適用したことを以て違憲である」との主張に対し、「法律が一定の訴訟手続に関する規則の制定を最高裁判所規則に委任しても何等憲法の禁ずるものでないことは当裁判所の判例の示すところである(最判昭和25年10月25日、最判昭和26年2月23日参照)。そして右判例が、法律により刑事手続を定めることができるものであることを前提としていることはいうまでもない」として退けた。
- 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反(石油価格カルテル刑事事件 最高裁判決昭和59年02月24日)
- 独禁法85条3号の規定と憲法77条1項
- 独禁法89条から91条までの罪に係る訴訟の第一審の裁判権を東京高等裁判所に専属させた同法85条3号の規定は、憲法77条1項に違反しない。
- 「独禁法85条3号の規定は、本来裁判所の自主的な規則によつて定められるべき刑事訴訟の管轄等の定めを法律によつて規定したものであるから、最高裁判所の規則制定権を定めた憲法77条1項に違反する」と言う主張に対して、「法律が一定の訴訟手続に関する規則の制定を最高裁判所規則に委任してもなんら憲法に違反するものでないことは、当裁判所の判例(最判昭和25年10月25日)の示すところであり、右判例が、法律により刑事訴訟の管轄等を定めることができるものであることを前提としていることはいうまでもない(最判昭和30年4月22日)。そうすると、独禁法89条から91条までの罪に係る訴訟の第一審の裁判権が東京高等裁判所に属することを定めた同法85条3号の規定が憲法77条1項に違反するものでないことは、当裁判所の前記大法廷判例の趣旨に徴して明らかである。」として退けた。
脚注
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