民法第100条
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第1編 総則 (コンメンタール民法)
条文
[編集](本人のためにすることを示さない意思表示)
- 第100条
- 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を準用する。
解説
[編集]- 代理意思(効果意思)と表示とが一致しないことを理由に、代理人が錯誤無効を主張することを禁止した規定である。代理人が「本人のためにすることを示して」意思表示をした場合(顕名)については、民法第99条を参照。商行為は、商法第504条により、顕名がなくとも効果は本人に帰属する。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 所有権移転登記手続等本訴並びに反訴請求(最高裁判決 昭和39年10月27日)
- 代理人が「本人ノ為メニスルコト」を表示して意思表示をしたと認められた事例。
- 代理人が本人のためにする意思をもつて買受契約を締結する当時は、本人のためにすることを明示しなかつたが、後に代金を支払うときには、買主が本人であることを明らかにする等判示のような事情があるときは、「本人ノ為メニスルコト」を表示して契約をしたものと解するのが相当である。
- 建物収去土地明渡請求(最高裁判決 昭和40年3月5日)
- 民法第100条但書、商法第504条の主張責任。
- 民法第100条但書、商法第504条の適用を主張する当事者は、その要件事実につき主張責任がある。
- 売掛代金請求(最高裁判決 昭和43年04月24日)
- 商法第504条本文の法意
- 商法第504条本文は、本人のための商行為の代理については、代理人が本人のためにすることを示さなくても、その行為は本人に対して効力を生ずるものとして、いわゆる顕名主義に対する例外を認めたものである。
- 商法第504条但書にいう「履行ノ請求」に伴う法律関係
- 相手方において、代理人が本人のためにすることを知らなかつたときは、商法第504条但書によつて、相手方と代理人との間にも本人相手方間におけると同一の法律関係が生じ、相手方が、その選択に従い、本人との法律関係を否定し、代理人との法律関係を主張したときは、本人は、もはや相手方に対し、右本人粗手方間の法律関係を主張することができない。
- 商法第504条本文の法意
- 建物収去土地明渡請求(最高裁判決 昭和50年11月20日)
- 本人のためにすることを示さないでした代理人による弁済供託と民法100条但書の適用
- 供託者が、債務者の代理人としてする意思で、本人のためにすることを表示することなく、債権者を被供託者として弁済供託をした場合、被供託者において本人のためにされたものであることを知り又は知りうべきであつたときは、右弁済供託は債務者より債権者に対するものとしての効力を有する。
- 家屋明渡等請求(最高裁判決 昭和51年12月16日)
- 所有者から財産の管理・処分を受任した者が自己の名においてした財産処分の効力
- 所有者から財産の管理・処分を受任した者がみずからの名においてした財産処分の効力は所有者に及ぶ。
- 財産の所有権のうち管理・処分権のみを抽出・分離して他に譲渡することは、特別の場合を除いて許されないが、財産の所有者がその管理・処分を他の者に委任することは自由であり、右委任を受けた者が財産を処分した場合、その効力が所有者に及ぶことはいうまでもなく、このことは、その処分が代理形式をとつてされたか、受任者みずからの名によつてされたかを問わないのである。
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