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民法第970条

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民法第1070条 から転送)

法学民事法コンメンタール民法第5編 相続 (コンメンタール民法)

条文

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(秘密証書遺言)

第970条
  1. 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
    1. 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
    2. 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
    3. 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
    4. 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
  2. 第968条第3項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

改正経緯

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2018年改正により、第2項で準用する民法第968条の項番が第2項から第3項に繰り下がったことに伴い改正。

解説

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参照条文

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判例

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  • 遺言無効確認請求事件(最高裁判決 平成14年09月24日)
    ワープロを操作して秘密証書遺言の遺言書の表題及び本文を入力し印字した者が民法970条1項3号にいう筆者であるとされた事例
    秘密証書によって遺言をするに当たり,遺言者以外の者が,市販の遺言書の書き方の文例を参照し,ワープロを操作して,文例にある遺言者等の氏名を当該遺言の遺言者等の氏名に置き換え,そのほかは文例のまま遺言書の表題及び本文を入力して印字し,遺言者が氏名等を自筆で記載したなど判示の事実関係の下においては,ワープロを操作して遺言書の表題及び本文を入力し印字した者が民法970条1項3号にいう筆者である。

参考

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  1. 明治民法において、本条には家督相続に関する以下の規定があった。家制度廃止に伴い継承なく廃止された。
    1. 被相続人ノ家族タル直系卑属ハ左ノ規定ニ従ヒ家督相続人ト為ル
      1. 親等ノ異ナリタル者ノ間ニ在リテハ其近キ者ヲ先ニス
      2. 親等ノ同シキ者ノ間ニ在リテハ男ヲ先ニス
      3. 親等ノ同シキ男又ハ女ノ間ニ在リテハ嫡出子ヲ先ニス
      4. 親等ノ同シキ嫡出子、庶子及ヒ私生子ノ間ニ在リテハ嫡出子及ヒ庶子ハ女ト雖モ之ヲ私生子ヨリ先ニス
      5. 前四号ニ掲ケタル事項ニ付キ相同シキ者ノ間ニ在リテハ年長者ヲ先ニス
    2. 第八百三十六条ノ規定ニ依リ又ハ養子縁組ニ因リテ嫡出子タル身分ヲ取得シタル者ハ家督相続ニ付テハ其嫡出子タル身分ヲ取得シタル時ニ生マレタルモノト看做ス
  2. 明治民法第1070条
    1. 秘密証書ニ依リテ遺言ヲ為スニハ左ノ方式ニ従フコトヲ要ス
      1. 遺言者カ其証書ニ署名、捺印スルコト
      2. 遺言者カ其証書ヲ封シ証書ニ用ヰタル印章ヲ以テ之ニ封印スルコト
      3. 遺言者カ公証人一人及ヒ証人二人以上ノ前ニ封書ヲ提出シテ自己ノ遺言書ナル旨及ヒ其筆者ノ氏名、住所ヲ申述スルコト
      4. 公証人カ其証書提出ノ日附及ヒ遺言者ノ申述ヲ封紙ニ記載シタル後遺言者及ヒ証人ト共ニ之ニ署名、捺印スルコト
    2. 第千六十八条第二項ノ規定ハ秘密証書ニ依ル遺言ニ之ヲ準用ス

前条:
民法第969条の2
(公正証書遺言の方式の特則)
民法
第3編 債権

第7章 遺言

第2節 遺言の方式
次条:
民法第971条
(方式に欠ける秘密証書遺言の効力)
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