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民法第363条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民法第2編 物権 (コンメンタール民法)

条文

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削除(2017年改正)

改正経緯

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2017年改正前の条文は以下のとおり。

(債権質の設定)

債権であってこれを譲り渡すにはその証書を交付することを要するものを質権の目的とするときは、質権の設定は、その証書を交付することによって、その効力を生ずる。

さらに、2003年改正(翌年4月1日施行)以前の条文は以下のとおり(『担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部を改正する法律(平成15年法律第134号)』による改正)。

債権ヲ以テ質権ノ目的ト為ス場合ニ於テ其債権ノ証書アルトキハ質権ノ設定ハ其証書ノ交付ヲ為スニ因リテ其効力ヲ生ス

解説

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2017年改正において、有価証券概念が整理、民法第520条の2以下に「第3編第7節有価証券」として規定されたことにより、「債権であってこれを譲り渡すにはその証書を交付することを要するもの」は「指図証券」と定義され、同節に集約されたことに伴って、本条は削除された。なお、旧規定の趣旨は、第520条の7に定められている。

なお、2017年改正前は、譲渡に証書の交付を要する債権を目的とする質権について、要物性を定める規定であった。さらに、2003年改正前は、質権の要物性の徹底の観点から、証書のある権利質全てについて、その効力要件を証書の交付(占有改定を含まない占有の移転)としていたところ、電子取引等においては質権の目的となる債権について証書が存在しない局面も無視できなくなるなどの状況により、要物性を「譲り渡すにはその証書を交付することを要するもの」いわゆる有価証券に限定し、反対解釈として、証書の交付を質権設定の効力要件とはしないことし、権利質の諾成性を認めたものであった。

参照条文

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前条:
民法第362条
(権利質の目的等)
民法
第2編 物権

第9章 質権

第4節 権利質
次条:
民法第364条
(債権を目的とする質権の対抗要件)