民法第912条
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法学>民事法>コンメンタール民法>第5編 相続 (コンメンタール民法)
条文
[編集](遺産の分割によって受けた債権についての担保責任)
- 第912条
- 各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、その分割の時における債務者の資力を担保する。
- 弁済期に至らない債権及び停止条件付きの債権については、各共同相続人は、弁済をすべき時における債務者の資力を担保する。
解説
[編集]- 遺産分割により債権を分割したときに、相続人によって資力のない債務者の債権が割り当てられると回収不能となり不平等な相続となるため、前条同様、これを回避するため、共同相続人が相続分に応じてこの債権を担保する。すなわち、相続財産である債権を相互に保証する(明治民法第1014条由来)。分割時に弁済期に至っていない場合などについては、弁済期における資力を担保する。
- (適用例)
- X男は、妻Aと子B,Cを残し亡くなった。A,B,Cの他には相続人はいない。遺産は現金4000万円と、遺産分割の1年後にともに弁済期が到来するX男のYに対する貸金1000万円とZに対する貸金1000万円である。
- 分割によって、Aは現金2000万円、BはYに対する貸金1000万円、CはZに対する貸金1000貸家を譲り受けた。
- 遺産分割から1年後、Yの債務は返済されたが、Zは破産し回収ができなくなった。
- この時、CはA,Bに対して、各々の相続分に応じ、Aに500万円、Bに250万円を請求することができる。。
参照条文
[編集]参考
[編集]明治民法において、本条には後見監督人がかけた際の親族会の対応についての以下の規定があった。家制度廃止に伴い継承なく廃止された。
- 後見人就職ノ後後見監督人ノ欠ケタルトキハ後見人ハ遅滞ナク親族会ヲ招集シ後見監督人ヲ選任セシムルコトヲ要ス此場合ニ於テハ前条第一項ノ規定ヲ準用ス
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