コンテンツにスキップ

民法第911条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール民法第5編 相続 (コンメンタール民法)

条文

[編集]

(共同相続人間の担保責任)

第911条
各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。

解説

[編集]
共同相続人間においては、相互に、相続分に応じて、第3編 債権・第2章 契約・第3章 売買・第2款 売買の効力に定める売主同等の担保責任を負う(明治民法第1013条を継承)。相続人の間の平等を期すことを目的とする。
売主同等の担保責任とは、いわゆる契約不適合責任など(2017年改正前までは瑕疵担保責任など)を言い、これを適用すると、遺産分割の目的物等が、遺産分割において共同相続人間で合意した、相続物等の種類や品質、数量に関して、合意内容に適合しない引き渡しが行われた時などは、各相続人は相続分に応じて担保責任を負うこととなる。
(適用例)
  1. X男は、妻Aと子B,Cを残し亡くなった。A,B,Cの他には相続人はいない。遺産は現金6000万円、各々4000万円、2000万円相当と見積もられている居住家屋と貸家である。
  2. 分割によって、Aは居住する家と現金2000万円、Bは現金3000万円、Cは貸家と現金1000万円を譲り受けた。分割後、Cが譲り受けた貸家に欠陥が発見され、その修繕には600万円かかることがわかった。
  3. この時、CはA,Bに対して、①600万円で修繕し、A,Bに応分の負担である300万円と150万円を請求する(第562条追完請求権のアナロジー)、②修繕せず建物価値が1400万円であったと解し、A,Bが超過して受領している相続額各300万円と150万円をCに支払う(第563条減額請求権のアナロジー)、③貸家を相続人の共有に戻し、売却・現金化などして遺産分割の一部又は全部をやり直す(第563条解除権行使のアナロジー)、などの対応が可能である。

参照条文

[編集]

参考

[編集]

明治民法において、本条には後見監督人の選任に関する以下の規定があった。趣旨は、民法第894条に継承された。

  1. 前条ノ規定ニ依リテ指定シタル後見監督人ナキトキハ法定後見人又ハ指定後見人ハ其事務ニ著手スル前親族会ノ招集ヲ裁判所ニ請求シ後見監督人ヲ選任セシムルコトヲ要ス若シ之ニ違反シタルトキハ親族会ハ其後見人ヲ免黜スルコトヲ得
  2. 親族会ニ於テ後見人ヲ選任シタルトキハ直チニ後見監督人ヲ選任スルコトヲ要ス

前条:
民法第910条
(相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)
民法
第5編 相続

第3章 相続の効力

第3節 遺産の分割
次条:
民法第912条
(遺産の分割によって受けた債権についての担保責任)
このページ「民法第911条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。