税理士法第1条
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条文
[編集](税理士の使命)
- 第1条
- 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
- (昭和55年4月14日法律第26号改正)
改正前
[編集]昭和26年6月15日法律第237号
[編集](税理士の職責)
- 第1条
- 税理士は、中正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務を適正に実現し、納税に関する道義を高めるように努力しなければならない。
解説
[編集]本条は、申告納税制度の下における、税理士の果たすべき役割や、その社会的地位を明確にし、税理士法全体の精神を示したものであり、税理士法の基本となる規定である。
「独立した公正な立場において」とは、税理士業務の社会的・公共的性格に照らし、税理士は、委嘱者である納税義務者・税務当局のいずれにも偏しない立場を堅持すべきことが要求され、税務に関する専門家として、自己の信念に基づく公正な判断と良識に基づき行動しなければならないことを表している。「申告納税制度の理念にそつて」とは、税理士が納税義務者を援助することを通じて納税義務者がその納税義務を適正に実現し、これにより申告納税制度の円滑・適正な運営に資することを期待する趣旨をいう。「納税義務の適正な実現を図る」とは、租税法に規定される通りに過大でも過小でもなく納税することであり、これにより納税義務者はその租税債務の履行について不利益を被らず、結果として納税義務者の権利が保護されることになる。
この規定は、税理士のみならず、税理士法人や税理士業務を行う弁護士についても準用される。
参照条文
[編集]- 税理士法第48条の16(税理士の権利及び義務等に関する規定の準用)
- 税理士法第51条(税理士業務を行う弁護士等)
判例
[編集]- 最高裁判所第二小法廷判決、平成7年4月28日、平成6年(行ツ)第215号、『所得税の重加算税賦課決定処分取消請求事件』、最高裁判所民事判例集49巻4号1193頁。
- 最高裁判所第二小法廷判決、平成17年1月17日、平成14年(行ヒ)第103号、『過少申告加算税賦課処分取消等請求事件』、最高裁判所民事判例集59巻1号28頁。
- 最高裁判所第一小法廷判決、平成18年4月20日、平成17年(行ヒ)第9号、『 所得税更正処分等取消、国家賠償請求事件』、最高裁判所民事判例集60巻4号1611頁。
- 最高裁判所第三小法廷判決、平成18年4月25日、平成16年(行ヒ)第86号・平成16年(行ヒ)第87号、『 所得税更正処分等取消請求上告、同附帯上告事件』、最高裁判所民事判例集60巻4号1728頁。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 日本税理士会連合会編 『税理士法逐条解説 7訂版』 日本税理士会連合会、2016年9月30日。
- 日本税理士会連合会編 『新税理士法 5訂版』 税務経理協会、2019年9月1日。ISBN 9784419066338。
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