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税理士法第1条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

条文

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(税理士の使命)

第1条
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
(昭和55年4月14日法律第26号改正)

改正経緯

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昭和26年6月15日法律第237号

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(税理士の職責)

第1条
税理士は、中正な立場において、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務を適正に実現し、納税に関する道義を高めるように努力しなければならない。

解説

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本条は、申告納税制度の下における、税理士の果たすべき役割や、その社会的地位を明確にし、税理士法全体の精神を示したものであり、税理士法の基本となる規定である。

「独立した公正な立場において」とは、税理士業務の社会的・公共的性格に照らし、税理士は、委嘱者である納税義務者・税務当局のいずれにも偏しない立場を堅持すべきことが要求され、税務に関する専門家として、自己の信念に基づく公正な判断と良識に基づき行動しなければならないことを表している。「申告納税制度の理念にそつて」とは、税理士が納税義務者を援助することを通じて納税義務者がその納税義務を適正に実現し、これにより申告納税制度の円滑・適正な運営に資することを期待する趣旨をいう。「納税義務の適正な実現を図る」とは、租税法に規定される通りに過大でも過小でもなく納税することであり、これにより納税義務者はその租税債務の履行について不利益を被らず、結果として納税義務者の権利が保護されることになる。

この規定は、税理士のみならず、税理士法人や税理士業務を行う弁護士についても準用される。

参照条文

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判例

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  1. 所得税の重加算税賦課決定処分取消請求事件(最高裁判所第二小法廷判決、平成7年4月28日、平成6年(行ツ)第215号、最高裁判所民事判例集49巻4号1193頁)
    確定的な脱税の意思に基づき顧問税理士に株式等の売買による多額の雑所得のあることを秘匿して過少な申告を記載した確定申告書を作成させたことなどにより所得税の確定申告が重加算税の賦課要件を満たすとされた事例
    納税者が、3箇年にわたり、株式等の売買による多額の雑所得を申告すべきことを熟知しながら、確定的な脱税の意思に基づき、顧問税理士の質問に対して右所得のあることを否定し、同税理士に過少な申告を記載した確定申告書を作成させてこれを提出したなど判示の事実関係の下においては、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在しないとしても、右各確定申告は、国税通則法68条1項所定の重加算税の賦課要件を満たす。
  2. 過少申告加算税賦課処分取消等請求事件(最高裁判所第二小法廷判決、平成17年1月17日、平成14年(行ヒ)第103号、最高裁判所民事判例集59巻1号28頁)
    1. 国税の納税者から申告の委任を受けた者が偽りその他不正の行為を行い納税者が税額の全部又は一部を免れた場合における国税通則法70条5項の適用の有無
      国税通則法70条5項は,国税の納税者から申告の委任を受けた者が偽りその他不正の行為を行い,これにより納税者が税額の全部又は一部を免れた場合にも適用される。
    2. 税理士に所得税の申告を委任した納税者が脱税を意図しその意図に基づいて行動したとは認められないとした認定に経験則違反の違法があるとされた事例
      納税者が,土地の譲渡所得を得た年分の所得税の申告を委任した税理士から,委任に先立ち,実際に出費していない土地の買手の紹介料等が経費として記載されたメモを示され,多額の税額を減少させて得をすることができる旨の説明を受けた上で,同税理士に上記の申告を委任したものであり,同税理士が架空経費の計上などの違法な手段により税額を減少させようと企図していることを了知していたとみることができるなど判示の事情の下においては,税理士に申告を委任する者は法律に違反しない方法と範囲で必要最小限の税負担となるように節税することを期待して委任するのが一般的であることなどを理由として,上記納税者が脱税を意図し,その意図に基づいて行動したとは認められないとした原審の認定には,経験則に違反する違法がある。
  3. 所得税更正処分等取消、国家賠償請求事件(最高裁判所第一小法廷判決、平成18年4月20日、平成17年(行ヒ)第9号最高裁判所民事判例集60巻4号1611頁)
    1. 納税申告手続を委任された税理士が隠ぺい仮装行為をした場合と納税者本人に対する重加算税の賦課
      納税申告手続を委任された税理士が隠ぺい,仮装行為をして過少申告をした場合,納税者において当該税理士が上記行為を行うこと若しくは行ったことを認識し,又は容易に認識することができ,法定申告期限までにその是正や過少申告防止の措置を講ずることができたにもかかわらず,納税者においてこれを防止せずに上記行為が行われ,それに基づいて過少申告がされたときには,上記行為を納税者本人の行為と同視することができ,重加算税を賦課することができるが,当該税理士の選任又は監督につき納税者に何らかの落ち度があるというだけでは足りない。
    2. 納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で隠ぺい仮装行為に基づく過少申告をした場合に納税者本人につき国税通則法68条1項所定の重加算税賦課の要件を満たすものということはできないとされた事例
      納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で隠ぺい,仮装行為をして過少申告をした場合において,納税者が同税理士を信頼して適正な申告を依頼し,納税資金を交付したにもかかわらず,同税理士が上記行為をして納税資金を着服したものであり,納税者において同税理士が隠ぺい,仮装行為を行うことを容易に予測し得たということはできず,上記申告後も同税理士による上記行為を認識した事実もなく,容易に認識し得たともいえないという事情の下では,納税者に,税務署職員等から示された税額よりも相当低い税額で済むとの同税理士の言葉を信じ,確定申告書の内容を確認しなかったなどの落ち度があるとしても,同税理士の上記行為を納税者本人の行為と同視することはできず,国税通則法68条1項所定の重加算税賦課の要件を満たすものということはできない。
    3. 国税通則法65条4項にいう「正当な理由があると認められる」場合
      国税通則法65条4項にいう「正当な理由があると認められる」場合とは,真に納税者の責めに帰することのできない客観的事情があり,過少申告加算税の趣旨に照らしてもなお納税者に過少申告加算税を賦課することが不当又は酷になる場合をいう。
    4. 納税申告手続を委任された税理士が虚偽の記載をした確定申告書を提出するなどして過少申告をした場合に納税者本人に対する過少申告加算税の賦課に関し国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認めることはできないとされた事例
      納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で虚偽の記載をした確定申告書を提出するなどして過少申告をした場合において,税務署職員等から示された税額よりも相当低い税額で済むとの同税理士の言葉を信じてそれ以上の調査確認をせず,確定申告書の内容を確認しなかったなど,納税者本人に落ち度があり,他方,上記確定申告書を受理した税務署職員が同税理士による脱税行為に加担した事実は認められないなど判示の事情の下では,納税者本人に対する過少申告加算税の賦課に関し,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認めることはできない。
  4. 所得税更正処分等取消請求上告、同附帯上告事件(最高裁判所第三小法廷判決、平成18年4月25日、平成16年(行ヒ)第86号・平成16年(行ヒ)第87号、最高裁判所民事判例集60巻4号1728頁)
    1. 納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で隠ぺい仮装行為に基づく過少申告をした場合に納税者本人につき国税通則法68条1項所定の重加算税賦課の要件を満たすものということはできないとされた事例
      納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で隠ぺい,仮装行為をして過少申告をした場合において,納税者が同税理士を信頼して適正な申告を依頼し,納税資金を交付したにもかかわらず,同税理士が上記行為をして納税資金を着服したものであり,納税者において同税理士が隠ぺい,仮装行為を行うことを容易に予測し得たということはできず,上記申告後も同税理士による上記行為を認識した事実もなく,容易に認識し得たともいえないという事情の下では,納税者に,税務相談で教示された税額よりも相当低い税額で済むとの同税理士の言葉を安易に信じ,確定申告書の確認をしなかったなどの落ち度があるとしても,同税理士の上記行為を納税者本人の行為と同視することはできず,国税通則法68条1項所定の重加算税賦課の要件を満たすものということはできない。
    2. 偽りその他不正の行為により税額を免れた国税に関し当該行為により免れた税額に相当する部分について修正申告がされたが当該国税になお更正すべき税額がある場合における国税通則法70条5項所定の期間内の更正の可否
      偽りその他不正の行為により税額を免れた国税に関し,当該行為により免れた税額に相当する部分について修正申告がされたとしても,当該国税になお更正すべき税額があるときは,国税通則法70条5項所定の期間内において更正をすることができる。
    3. 納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で税務署職員と共謀した上で虚偽の記載をした確定申告書を提出するなどして過少申告をした場合に納税者本人に対する過少申告加算税の賦課に関し国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認められた事例
      納税申告手続を委任された税理士が納税者に無断で虚偽の記載をした確定申告書を提出するなどして過少申告をした場合において,納税者が同税理士を信頼して適正な申告を依頼し,納税資金を交付していたこと,確定申告書を受理した税務署職員が収賄の上で同税理士の上記不正行為に共謀加担し,それがなければ上記不正行為は不可能であったともいえることなど判示の事情の下では,納税者本人に対する過少申告加算税の賦課に関し,国税通則法65条4項にいう「正当な理由」があると認められる。

脚注

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参考文献

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  • 日本税理士会連合会編 『税理士法逐条解説 7訂版』 日本税理士会連合会、2016年9月30日
  • 日本税理士会連合会編 『新税理士法 5訂版』 税務経理協会、2019年9月1日ISBN 9784419066338

前条:
-
税理士法
第1章 総則
次条:
税理士法第2条
(税理士の業務)
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