行政事件訴訟法第14条
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条文
[編集](出訴期間)
- 第14条
- 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日から6箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
- 取消訴訟は、処分又は裁決の日から1年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
- 処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があつたことを知つた日から6箇月を経過したとき又は当該裁決の日から1年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
解説
[編集]本条は出訴期間について定めたものであり、行政不服審査法第82条と同じく本法は行政事件訴訟法第46条で処分または裁決においてこれを教示する義務および救済規定を定めているが、本法ではこれを誤った場合についての救済規定はない。
出訴期間をどう定めるかはあくまで立法政策の問題であり、「その期間が著しく不合理で実質上裁判の拒否と認められるような場合でない限り[判例1]」、日本国憲法第32条に定める国民の裁判を受ける権利を侵害しないと解されている[1]。
講学上、第1項に定める出訴期間を主観的出訴期間、第2項に定める出訴期間を客観的出訴期間と称する。
- 処分又は裁決があつたことを知つた日
- 出訴期間の起算日としての、「処分または裁決があったことを知った日」について、具体例をあげるならば、通知などの書面が送達される場合は、その送達が届いたことを知ったことをもって足りる。
- もっとも、その処分が告示、または公示の方法による場合については、通説または判例[判例2],[判例4],[判例5],[判例6],[判例7]によれば、それが適法になされた時をもって起算日となる[2]。しかしながら、これには異説がある[3]。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 農地委員会の裁決取消請求(最高裁判決昭和24年5月18日 民集 第3巻6号199頁)
- 自作農創設特別措置法第7条第1項にいう「農地買収計画に定められた農地につき所有権を有する者」の意義。
- 農地買収計画に定められた農地につき、所有権を主張する者は、買収計画に所有者と記載されていなくても、自作農創設特別措置法第7条によつて行政上の救済を求めることができる。
- 土地買収取消請求事件(最高裁判決昭和27年11月28日 民集 6 (10): 1073)
- 自作農創設特別措置法第9条第1項但書による公告と同法第47条の2前段の出訴期間
- 自作農創設特別措置法第9条第1項但書の公告が適法になされたときは、同法第47条の2前段所定の出訴期間は、右公告の日から起算すべきである。
- 自作農創設特別措置法第9条第1項但書にいう「令書の交付をすることができないとき」の一事例
- 農地委員会が買収令書の受領方を土地所有者に通知し、かつ、その後、委員会のおかれている村役場内で委員会の書記が右買収令書の受領方を促したにかかわらず、右土地所有者が係争中であるという理由でその受領方を拒絶した場合は、同法第9条第1項但書にいう「令書の交付をすることができないとき」にあたるものと解すべきである。
- 自作農創設特別措置法第9条第1項但書による公告と同法第47条の2前段の出訴期間
- 転任処分取消(最高裁判決昭和56年02月24日)地方公務員法第8条7項,不利益処分についての不服申立てに関する規則(昭和26年名古屋市人事委員会規則第7号)15条
- 不利益処分についての不服申立てに関する規則15条の定める再審の請求と行政事件訴訟法14条4項(現第3項)にいう審査請求
- 不利益処分についての不服申立てに関する規則15条の定める再審の請求は、行政事件訴訟法14条4項(現第3項)にいう審査請求にあたる。
- 不利益処分についての審査請求又は異議申立てに対する同市人事委員会の判定に対して再審の請求があつたときは、当該不利益処分についてその請求人から提起する取消訴訟の出訴期間は、右再審の請求に対する同人事委員会の決定があつたことを知つた日から起算すべきものである。
- しかしながら、再審の請求自体が不適法であつて、再審事由の存否についての実体的判断がされることなく再審の請求が却下されたときは、行政事件訴訟法14条3項(現第3項)の規定を適用する余地はないのであつて、この場合には当該不利益処分の取消訴訟の出訴期間は右処分についての審査請求又は異議申立てに対する同人事委員会の判定があつたことを知つた日から起算すべきものと解するのが相当である。
- 壁面線指定処分取消等事件(最高裁判決昭和61年6月19日 集民 第148号239頁 判例時報 (1206): 21. (1986(昭和61)-11-01).)
- 建築基準法46条1項に基づく壁面線の指定と行政不服審査法57条1項の適用の有無
- 建築基準法46条1項に基づく壁面線の指定については、行政不服審査法57条1項の適用はない。
- 行政不服審査法57条1項は、同項所定の処分を書面でする場合に、その処分の相手方に対して不服申立に関する教示をしなければならないとしているものであるから、特定の個人又は団体を名あて人とするものでない処分についてはその適用がないものと解するのが相当である。建築基準法46条1項に基づく壁面線の指定は、特定の街区を対象として行ういわば対物的な処分であり、特定の個人又は団体を名あて人として行うものではないから、右指定については行政不服審査法57条1項の適用はないものといわなければならない(利害関係人は、同条2項により教示を求めることができるものとされている。)。
- 市道廃止処分取消請求控訴事件(福岡高裁那覇支部平成2年5月29日判決(判時1376号66頁)
- 不特定多数の者を対象として一般的に適用される行為であるというだけでは行政処分該当性を否定されるものではない[4]。
- 「昭和61年9月29日市役所内の掲示板に、『道路法第10条第1項の規定に基づき、本件市道の路線を廃止する。その関係図面は、石川市役所において一般の縦覧に供する。』との公示」がなされたことにより、同日に道路供用廃止処分がなされ、さらに同日が「処分があったことを知った日」とみなされる。
- 「路線の廃止がなされると、道路としての供用関係も消滅するので、路線の廃止処分には供用廃止処分が包含されており、改めて供用廃止の手続をとる必要はない。
- 不特定多数の者を対象として一般的に適用される行為であるというだけでは行政処分該当性を否定されるものではない[4]。
- 裁決取消請求事件 (最高裁判決平成14年10月24日 民集 第56巻8号1903頁)行政不服審査法第14条
- 行政処分が通知ではなく告示をもって画一的に告知される場合における行政不服審査法14条1項にいう「処分があったことを知った日」の意義
- 行政処分が個別の通知ではなく告示をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には,行政不服審査法14条1項にいう「処分があったことを知った日」とは,告示があった日をいう。
- 事件名不詳(東京地裁判決平成20年11月11日 判例時報 (2015): 24. (2008(平成20)-11-11).)
引用文献
[編集]- ^ 深沢, 卓也 「出訴期間」『条解行政事件訴訟法』 弘文堂、東京、2014年、第4版、387頁。ISBN 978-4-335-35603-2。}
- ^ 深沢, 卓也 「出訴期間」『条解行政事件訴訟法』 弘文堂、東京、2014年、第4版、392頁。ISBN 978-4-335-35603-2。
- ^ 稲葉, 馨、人見, 剛、村上, 裕章、前田, 雅子 『行政法』 有斐閣、東京、2018年、第4版、251 - 252頁。ISBN 978-4-641-17940-0。「告示があったことを関係権利者が現実に知るとは限らないこと、告示によって処分の効果が生じるとしても、それを出訴期間の起算点とする必然性はないこと、いずれにしても1年間の出訴期間はかかること、告示による場合に一般的に早期解決の必要性が高いとは必ずしもいえないこと等からすれば、このような解釈には疑問もある。」
- ^ 要指導医薬品指定差止請求事件(東京地方裁判所判決平成29年7月18日)における引用。
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