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高等学校英語 英単語/類義語 4500語レベル サブページ5

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

命令する

order と dictate と command

オーダーとディクテイトとコマンド

強制的な mandatory, compulsory,


匂い関係 smell, scent(セント), odor(オウダ) など。


説明する

describe, explain , illustrate ,


従う obey, conform, (※やや 範囲外)adhere


混乱・無秩序 disorder ,chaos(大混乱)

混雑 congestion, chaos ,crowded(形容詞)

交通渋滞 traffic congestion ,traffic jam


「独裁者」dictator という単語がある(旺文社1900のdictate 項目)。東京書籍や桐原にはdictator は無い。


このように dictate には、どちらかというと「押し付ける」ようなニュアンスがある。

なので、とりあえず普通の場面では、orderを用いるのが安全だろう。

このためか、単語集によっては dictate に「命令する」の意味がない。東京書籍4500にはない。桐原5500にだけ、和訳だけ「命令・指図」と書いてある(例文なし)。

なおdictateには「書き取らせる」「後述する」の意味もある。むしろ、こっちが高校単語集でよく紹介されており、桐原5500および東京書籍4500の両方で紹介されている。

なお、スペルと意味の似た動詞 describe は「説明する」の意味。

「説明する」には、類義語で、

explain 理解させるために「説明する」

describe 単に(言葉で)「説明する」

という類義語があります(東京書籍4500、数研 Leap basic)。

ほか、

show 実際にやってみて、それを見せて説明する(数研 Leap basic)


第二次世界大戦の海軍の司令官の山本五十六(やまもといそろく)は言いました、

「やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 人は動かじ」

だと。


なお、explain とスペルの似ている express は「表現する」である。

アニメとかマンガとかの創作ノウハウとして伝えられている「自己表現はいいから、分かりやすく」というのは、もしかして explain と express をかけたダジャレが伝わってきたものではないかという気がするアレ。

なお、

「自己を表現する」 express oneself (数研リープ basic、グランドセンチュリー)。

である。

なんと「自己表現」は英語由来の言い回しだった。


express は、語源を見ると、ex「外に」 + press「押し出す」 という構造。「人間の 内面の 真実」を外に押し出すというアレ。よく、芸術教育では、自己表現としての芸術が尊重され、自己の内面を表現するように指導されるとか何とか。

もっとも、そう言っているのは一部の人である。実際は、たとえば2024年パリ・オリンピックの芸術ショーを見ると、なにが人間の内面なのか分からないが。パリ・オリンピックの芸術ショーみたいなのを仕事にしたいなら、芸術家を目指せばいいんじゃないかな。このように、実際の芸術は自己の内面を表現するものではなく、時代や社会などから「表明が必要とされている」だろうという気分を、分かりやすく形にするものです。時代の気分を描くのが芸術でしょう。

電車などの「急行」も express です。普通に辞書に書いてあります。

電車の急行を見て、いちいち「内面の真実だー」とか感じないでしょう。語源なんて、そんなもんです。極度の電車マニアでもないかぎり、そんなのは感じない。


意見などを「表明する」も express である。

英語では、「表現」と「表明」が、同じ単語である。


なお、感情表現については、

「感情を表現する」show one's feelings

のように、show で言う場合もある。


さて、describe について。辞書(ジーニアス英和)だとdescribeに「記述する」の意味もあるが、あくまで説明が第一の意味だと考えるべきであり、「記述」の場合でも説明になるように記述しているわけである。だからか、単語集ではdescribeの意味を「記述」で紹介せず、「描写」で紹介している。なお語幹 scribe が「書く」の意味である。

だから東京書籍4500が「(言葉で)描写する」としているのは、scribeにそういう作文的な意味があるから。

ジーニアスおよび旺文社1200によると、describe の第一義は(「説明する」ではなく)「特徴を述べる」である。 たとえば旺文社によれば

Can you describe the contest to me? 「そのコンテストの特徴を私に説明してくれませんか。」

となる。

describeの目的語には、説明相手ではなく話題になっているもののほうが入る。

ただし、和訳として「特徴を述べる」だと日本語として不自然になる場合もあり、その場合は「詳しく説明する」(桐原4500)や「描写する」(東京書籍4500)などの訳にするのが良いだろう。例えば桐腹4500では「私の気持ちを詳しく説明するのは難しい」 It is difficult to describe my feeling. という例文がある。

また、熟語 describe A as B で、「AをBだと説明する」である。


manuscript 「(手書きの)原稿」「手書きの文書」なども(旺文社1900)、覚えたい。

「小説の原稿」a manuscript of the novel (桐原)

単語集によくあるのは、小説家や作家の「未発表の原稿」

the author's unpublished manuscript 「その作家の未発表の原稿」(東京書籍4500巻末)

the novelist's unpublished manuscript 「その小説家の未発表の原稿」(ピナクル decipher)

なお、範囲外だが、「手書き」は handwriting (ハンドライティング)という。

なお、script だけだと、「台本」「筆跡」の意味である(旺文社1900、グランドセンチュリー)。旺文社には例文なし。

ほか、プログラミング言語で、JavaScript(ジャバ・スクリプト)などがある。webブラウザに使われている言語のうち、比較的に入門的な言語が JavaScript である。

現在、プログラミング言語のうち、コンパイルしなくても使える言語や実行環境のことを情報科学の用語でインタープリターといった。最近は、そのようなコンパイル無しで使えるプログラミング言語や開発環境のことを「スクリプト」(script)という。

おそらく背景は、1990年代の後半ごろ(windowsが普及し始めたころ)、新しいプログラミング言語で、VB script (ブイ ビー・スクリプト)とか、JavaScript とか、コンパイル無しで使える言語が出てきた。その影響だろうか、世界的に、コンパイル無しで使える言語、またはそのプログラミング言語で書かれたファイルのことを script というようになった。

なお、VB Script は廃止される予定なので[1]、高校生は VB Script は学ばなくていい。

VB とは、マイクロソフト社の開発したビジュアル・ベーシック Visual Basic という言語。それの簡略版で、VB Script というのがあった。

表計算ソフトのエクセルとかのマクロで、VBAというビジュアル・ベーシック系の文法のマクロ言語を描くので、上記の VB Script の廃止の宣言は、影響が大きい。


なお、グーグルの表計算ソフト「スプレッドシート」では、JavaScript がマクロ言語になっている。

JavaScript のほか、Python などもスクリプトに分類されるのが一般的である。


さて、「説明」の類義語に戻る。

中学英語の explain だと、単なる「説明する」こと。東京書籍4500は「(理解させるために)説明する」と紹介しているが、describeの文章的な説明だって理解を目的にしているだろうし、無理があるだろう。

やはり、語幹のscribeを解説せざるを得ない。

動詞 illustrate には、図解などで「説明する」の意味のほかにも、実例などで「説明する」という意味もある(桐原4500)。

ただ、古い時代の文章を読むならともかく、現代では図やイラストなどでの説明との誤解を避けるためにも、実例での説明で illustrate を使うのは避けるのが安全だろうとは思う。実際、東京書籍3000では illustrate の意味を「(図・イラストなどで)・・・を説明する」と紹介している。東京書籍では「実例」については紹介していない。

ただし、辞書を見るとジーニアス英和にもセンチュリー英和にも、まず実例による説明の意味でilustrateの意味を紹介している。名詞形 illustration にも、「絵画」の意味のほかにも「実例」や「例証」の意味がある。旺文社1400にもillustrationの「挿絵、イラスト:具体例」と紹介しているように「具体例」の意味があるし、桐原4500はillustrationを「図解、実例による説明」と紹介している。

なのに、辞書で illustrator には「画家」の意味しかないので、辞書と実際の用法とに若干の食い違いがあると思われる。


命令の話に戻ると、

子供相手などの言いつけには tell ~ to ~ という表現がある。この場合、tellは「告げる」「指示する」の意味[2]


※ order には熟語がいろいろとあるが、それはまた別の単元で。

order ○○ to ~で、「○○に~を命令する。

order にかぎらず、force「強制する」やask「頼む」などでは、これから相手が何かの動作をするわけだから、to不定詞が続く。

つまり、order(命令する) や tell(指示する) や force(強制する) や ask(頼む) で、相手に何かの動作をさせる用法では、  動詞+目的語+to不定詞  の語順になる[3]

ところで、よくレストランなどの注文を「オーダー」というが、実際に英語でも名詞「注文」および動詞「注文する」も order である[4]

なお、「割り勘」は英語で split the bill である[5]。英語と日本語の表現が近い。費用などの分担・分割は split (割る・切り裂く)である。


command は、指揮して「命令する」ような意味なので、軍隊や警察の命令であり、命令される側が通常は従うのが前提。

センチュリー英和によると、医者が患者に安静を「命じる」のは、command ではなく order だ、というニュアンス。


強制的な mandatory, compulsory,

command の語幹 mand は「命令する」のような意味(鉄緑)。

なので、形容詞 mandatory 「強制的な」「必須の」の意味(鉄緑、旺文社1900)。


受験では mandatory は、旺文社1900 でも巻末の英検準1級の単語。、



compulsory education 「義務教育」(東京書籍4500巻末、旺文社1900、グランドセンチュリー)


高等学校英語_英単語/類義語_4500語レベル_サブページ15』で述べている compel は、compulsory と派生語の関係(グランドセンチュリー)。


混乱・無秩序 disorder ,chaos(大混乱)


なお、disorder の意味は「無秩序」であり、まったく意味が違う。

そしてさらに、「摂食障害」を an eating disorder といい、「精神障害」を a mental disorder という(ジーニアスで確認)。このように disorder には、健康上の~「障害」の意味もある。なお、桐原4500と旺文社1900の例文が、この~障害である。

日本語では「障害」と言うが、しかし摂食障害や精神障害についての英語的な発想では、おそらく英米人は、胃やら脳などの機能が「混乱」しているというイメージなのだろう。なお、disorder には「混乱」という意味もある。

disorder には、そのほか、ジーニアスいわく「暴動」の意味もある(ここまで単語集にある)。単語集にはないが、実際、派生の形容詞 disorderly の意味は、ジーニアスによれば「乱暴な」「無法な」の意味である。


警視庁で運用される防護盾(riot shield)

「暴動」はこのほか riot (ライオット)という単語があるが、旺文社1900しか紹介していない(東京書籍4500、桐原4500・桐原5500には無い)。英検準1級には riot がある。大学入試で英検準1級を出す難関大学(国公立も含む)もあるので、学習すべきか悩ましい。

マジメに例文をあれこれ探すよりも、機動隊のもってる大きな盾(たて)を「ライオットシールド」というと覚えたほうが覚えやすいだろう。なお、ジーニアスにちゃんと riot shield は紹介されており「警察の防護用の盾」と紹介されている。

なんと、数研リープでは、この「機動隊」the riot police を紹介している。

なお、盾 shield も受験英語(旺文社1900)。だが、東京書籍・桐原・鉄緑では、盾 shield の単語が見つからない。旺文社は shield の学習を推奨。


盾は、旺文社1900ではミサイル missile の防御の話の例文。おそらくイージス・システムのような。


なお、旺文社1900の shield の一つ上の単語が「銃弾」bullet (ブリット)で、防弾チョッキの例文。日本語では「チョッキ」と訳されるが、英語では、ああいうのは vest である(旺文社1900)。

この bullet も、東京書籍・桐原・鉄緑では紹介せず。

どうも、こういう火薬とか硝煙(しょうえん)の匂い(におい)のしそうな単語は、桐原らは紹介しない方針らしい。まあ、gun とか、最低限の単語は中学あたりで教えてあるが。

「こんぐらい教養として知っておいてよ」という、旺文社や数研出版の意志のある単語チョイスです。英字新聞とかでも軍事ニュースとかでも出そうですし。


なお、「匂い」もまた類義語が色々とある。smell, scent(セント), odor(オウダ) など。

桐原は odor の紹介を拒否。東京書籍は odor を4500語レベルの巻末で紹介している。

scent は「香り」で、花などの香りに使う(鉄緑、旺文社)。

scent of flowers 「花の香り」(旺文社を改変)


odor は、いやな「匂い」にも使うが、辞書によると必ずしも「いやな匂い」とは限らない。なお、特に嫌な臭いであることを明示する場合は bad odor などと言う(東京書籍の例文)。


「いい香り」も類義語があり、旺文社によると、

scent, incense, fragrance など。

なお、perfume は「香水」。香りではなく「香水」なので注意。

もう説明は省略。入試に出ないでしょ。鉄緑ですら紹介していない。興味ある人は大学合格後あたりに自分で調べて。


さて、riot の話に戻る。

警察の「機動隊」が、a riot police である(数研リープ、ジーニアス、グランドセンチュリー)。なお、もちろん鎮圧する側が「機動隊」「である。

「消防士」の fire fighter だって、消火をする側なのと同様。

入試範囲外だが、色彩・音楽などの豊かさを riot で言う場合もある(ジーニアス、グランドセンチュリー)。a riot of color で「色とりどり」「様々な色の」みたいな意味(ジーニアス、グランドセンチュリー)。芸術的な色彩に限らず、単に庭や花壇などの花が色とりどりなだけでも a riot of color を使う(ジーニアス、グランドセンチュリー)。というか、そもそも英和辞典には。花の例文しか書いてない。

日本でよく「才能の暴力」とか「色彩の暴力」とか言うのは、たぶんこれの翻訳が元ネタだろう。英語を知らない芸術ファンが多いようであり、本来の英語の意味とは違う意味で日本では使われている。


なお、1980年代のアメリカのハードロック音楽バンドで、Quiet Riot 「静かな暴動」というバンドがありました(数研リープ。「ハードロック」と言及)。こんな雑学まで数研リープには書いてあります。さすが数研リープ、他社ができない事を平然とやってのける。

なお、受験範囲外でしょうが、暴動などによる「大混乱」は mayhem (メイヘム)です。これを紹介している大学受験単語集もありますが、しかし、普通の単語集はまったく紹介しておらず、難関大むけの緑鉄単語集ですら紹介しておらず、また古い過去問の桐原5500ですら紹介していません。なお、mayhem は英検1級の単語のようです。

mayhem もロック音楽バンド名として採用されています。 w:メイヘム

なお、音楽の「ロック」rock は、「岩」 rock と同じ単語です(高校受験・関・一般高校)。


mayhem は、古風な言い方です(ジーニアス)。

ジーニアスも紹介していますが、「混乱」confusion でだいたい通じると思います。高校生としては confusion で充分だと思います。

ほか、受験英語で、chaos(ケイオス)というのがあり、「大混乱」という和訳です。

辞書などによくある例文は、大地震のあとの「大混乱」が chaos です。


The earthquake brought chaos. 「その地震は大混乱をもたらした」(鉄緑 「都市に」(大混乱を)がある、ジーニアス「地震」がquake)


辞書のchaos の例文を見る限り、特に暴動や略奪(りゃくだつ)などは確認できません。

どっちかというと「混雑」のような意味合いで使われる例文も、辞書にあります(グランドセンチュリー)。

たとえばグランドセンチュリーでは、『だれかが「火事だ」と叫んだら劇場全体が大混乱におちいった』とあります。(英文は著作権のため省略。)

べつにその劇場で、暴動や略奪が起きたわけではないでしょう。

chaos は、cosmos(カズモズ)「秩序」の対義語です。

そのため、chaos「無秩序」と和訳されることもあります。

chaos「混沌」(こんとん)という和訳もありますが、これは聖書に由来する表現ですので(ジーニアス、グランドセンチュリー)、高校生はこの和訳を覚えなくても良いと思います。


中学範囲で、形容詞で、crowded「混雑した」と言えます。単なる crowd 「群衆」の形容詞形です。


ほぼ範囲外ですが、大混乱ではないですが、社会不安なども含む「混乱」「騒動」turmoil (ターモイル)なんて語もあります(Z速読英単語・上 turmoil「騒ぎ」)。ネット情報だと個人にも使えるらしいですが、辞書では確認できませんでした。

流体力学の「乱流」(英:turbulent flow)などでも使われる turbulent に相当するラテン語またはフランス語が語源のようです。

海や風などが「荒れ狂う」も、同じ形容詞 turbulent という語です。なお、この語を知らなくても violent で、海や風などの「荒れ狂う」を言えます(ジーニアス)。

名詞形の turbulence は「大荒れ」という意味ですが、気象の「乱気流」という意味もあります(ジーニアス、グランドセンチュリー)。こっちは理系の学問を専攻しない人でも使いそうな語です。「乱気流」とは、航空機の飛行に影響を与えるような気流のことです。


congestion (コンジェスチョン)「混雑」という受験英語があります(旺文社1900)。

たぶん、日本語の「混雑」という語の元ネタです。

congestion は、鉄緑単語集にすらなく、東京書籍・桐原にもない、マニアック単語です。

「交通渋滞」も、a traffic congestion とも言えます(旺文社1900、グランドセンチュリー)。

ほか、traffic jam 「交通渋滞」という表現もあります(ジーニアス traffic、グランドセンチュリー traffic)。


さて、単語 command には「能力」の意味もあり、桐原 4500 によるとcommand of the English language で「英語を自由にあやつる能力」のような意味もある。だが東京書籍は「能力」の用法を紹介してない。

まずはcommandは軍隊的な「命令」の意味で理解するのがいいだろう。あとは派生的な用法と解釈すると良いだろう。


ほか、

have a good command of ~ 「~を自由にあやつる」「~を自由に使いこなせる」

の意味(桐原の熟語ページ、旺文社)。

典型的な例文は、

She has a good command of English 「彼女は英語を自由にあやつれる。」

である。


なお、高校範囲外だが、特殊部隊・コマンドーは commando という語尾にoがつく別単語であるので、混同しないように。


なお、命令に従うのは obey である。

obey orders や obey command という。

東京書籍4500 が obey orders を紹介。センチュリー英和辞典が obey commands を紹介。

「 obey teacher's commands . 」で「先生の命令に従う」とセンチュリーが紹介。

commandするのは、かならずしも軍隊や警官でなくてもいい。


なお、発音は「コマンド」。ドーとは伸ばさない。ハリウッド映画の『コマンドー』は 軍隊などの特殊部隊員 commando のことであり、別単語。

指揮官が commander である。(東京書籍4500が紹介。)


conform (コンフォーム)という語にも「従う」の意味がある。conformには「順応する」という意味もあるが、この場合でも慣習や規則などに「順応する」という意味である(ジーニアス、グランドセンチュリー)。

conform は、一定の基準・形式・手本などに合わせる、というニュアンスである(旺文社1400巻末 P.368)。

やや高度な単語のようであり、桐原4500は掲載を拒否。東京書籍4500でも巻末おくり。旺文社1900と鉄緑がconform を本編っぽい箇所で紹介している。なお、旺文社1400の巻末にも conform がある。

温度などの変化に適応するのは、別の単語を使う。『高等学校英語 英単語/類義語 4500語レベル サブページ10』の形容詞「適合する」・「適応する」 adapt とadjust、動詞「慣らす」 orient などを使うことになろう。


温度に一定の形式や手本があるわけではないので、conformではないのは分かりやうしだろう。


さて、conform の語幹の -form は「形」の意味。都合良いことに、日本語の「形式」の「形」の字である。

だから conform は、ニュアンス的には「形を合わせる」→「従う・順応する」のようなニュアンスかと(鉄緑の図が、そんな感じの図)。

「確認する」confirm (コンファーム)とは別単語。『高等学校英語 英単語/類義語 4500語レベル サブページ15』の「確認する」check, confirm , confident などがある。

ともかくconformの話をすると、

conform 「従う」の例文

conform to the rules 「ルールに従う」(鉄緑、グランドセンチュリー)

のように「 conform to(前置詞) ~」の形で使う。


例文は違うが、東京書籍4500巻末、旺文社1900でも紹介している。


conformの「従う」と「順応する」の使いわけは、単に文脈による。

旺文社だと、

conform to the custom 「慣習に順応する」

だが、

しかしジーニアスでは、慣習に「従う」と訳してもいいと言っており、特に使い分けは定まっていない。

「従う」より「順応する」で考えると良いだろう。


ほか、custom 「税関」と言う名詞もある。慣習の custom と同じスペル。


ビジネスなどの業務上の指示は direct が、(コマンドよりかは)望ましいだろう。旺文社1400が、directを「業務上の指示を与える場合で用いる」と紹介している。また東京書籍4500にも

Mark directed the project. 「マークはそのプロジェクトを指揮した。」という例文がある。


やや範囲外だが、adhere 「(接着剤などが)接着する」という単語には、「固守する」という意味もある。ここまではどの辞書にもあるが、さらに「忠実である」「従う」という意味もある(パス単「従う」、グランドセンチュリー「忠実である」)。

※ adhere 自体は受験英語の範囲内。「固守する」の用法も範囲内。「従う」の用法が、やや範囲外。


adhere について、詳しくは

高等学校英語 英単語/類義語 4500語レベル サブページ35

で説明してある。リンク先では、分子生物学のカドヘリンは Ca カルシウム元素がどうこう~ と説明してあり、たぶん『高等学校生物/生物II/タンパク質と生物体の機能#細胞接着』にさらにリンクしてあるはず。


adhere を接着剤のイメージから、「固着」→「固守」と連想するのは覚えやすい。

だが、日本語で「固守」というと、なんか時代遅れの伝統とかを守っているような、悪いイメージになってしまう。

どうも、そういう悪い意味は特に adhere には無いようである。単に「忠実である」「忠実に従う」「遵守(じゅんしゅ)する」くらいのイメージだろう。

細かい用法を覚えるよりも、「接着剤といえば、忠実のイメージでしょ」と考えるのが英米人の言語センスなんだと、理解しよう。日本人からすれば飛躍しすぎな言語センスだが、向こうの国の話者から見れば、日本語の単語だって飛躍ありまくりなんだろう。お互い様、



文字以外で描写する

represent, depict, portray

動詞 represent は、絵や彫刻や音楽などで、なにかを描写する際、それが何を描写・表現しているかという意味を説明している。

芸術に限らず、たとえば「地図にあるこの記号は何を表しているのか?」とか、そういうのも represent である(センチュリー、ジーニアス)。

もっとも、mean 「意味する」で代用できそうではあるが。ジーニアス mean で確認したところ、絵の意味を mean を含む一文で質問する例文がある。

represent には集団などを「代表する」という意味もある(東京書籍4500、速読英単語・上 例文なし)。


動詞 depict は、絵や彫刻などが、「詳細に描写している」または「生き生きと描写している」ことを示す(ジーニアス、旺文社1900)。

言葉で物語を説明する場合でも、対象が生き生きと描写されているなら、depict で表してもよい(東京書籍4500巻末、ジーニアス)。鉄緑だと「その物語は2人の政治家の容赦のない戦いを描いている」と言う例文。

速読英単語上級編では、絵のことまでは紹介しておらず、depict は単に「描写する」という和訳だけを紹介。読めればいいという発想。

名詞形は depiction 「描写」「叙述」である(旺文社1900、ジーニアス、センチュリー)。旺文社だと「描写」としか書いてないが、ジーニアス・センチュリーでは「叙述」の意味も紹介している。

桐原4500には depict は無い。


「肖像画」(しょうぞうが)や肖像の彫刻などを名詞で portrait (ポートレイト)と言う。

ポートレイトとは、人物の顔または上半身の絵や彫刻や写真などのことだが、全身のものでも構わない。

動詞 portray でも、「生き生きと描く」いう意味である。

絵画や彫刻などの形あるものだけなく、文章や言葉や物語や映画などでも良い(ジーニアス。東京書籍4500巻末で映画の例。センチュリーだと自叙伝)。


ポートフォリオとは異なるので混同しないように。

なお、portfolio は、作家の「作品集」や、金融における「有価証券の一覧表」のこと(旺文社1900巻末、ジーニアスで確認)。センチュリー portfolio だと、「有価証券の一覧表」しか書いていない。

桐原4500・5500と東京書籍4500には、ポートフォリオは無し。


「支配」 -クラシー

「貴金属」と「レアメタル」の違い

貴金属 noble metal , precious metal


democracy(民主主義), bureaucracy(官僚政治), aristocracy(貴族政治), meritocracy(能力主義)

demo について、範囲外の単語だが、demographic 「人口統計」なども押さえたい。

なお、demonstration 「説明する」「明示する」は、モンストレーションという語が由来らい。

demography だと「人口統計学」という学問名になってしまう。 anatomy 「解剖学」や astronomy 「手文覚」などと同様。


語幹のdemoは「民衆」のような意味である。

流行病をパンデミック pandemic や エピデミック epidemic などと言うが、この語中の demi も、demo と同じような意味だという説が、数研リープの説。民衆のあいだの流行病、みたいなニュアンスかと。


単語集にはないが、独裁者には dictator という言い方のほかにも、 autocrat (オート・クラート)ともいう。これは単語集に書いてないので暗記しなくていい。

「独裁政治」のことを autocracy (オートクラシー)というが、これ自体は覚えなくていいが、次のことを覚えてほしい。

語尾の -cracy (クラシー)というのは、「支配する」のような意味である。


tyrant (タイラント)「暴君」や、tyranny 「暴政」「専制政治」という語がある(ピナクル単語集、速読英単語・上)。君主の残虐性を強調する場合に、tyrant などを使う。よく、古代ローマのネロ皇帝が、よく tyrant の例として挙げられる(グランドセンチュリー)。tyrant の発音は、タイタントでもタイアラントでも、どちらでも良い(グランドセンチュリー)。


tyrant はときに「独裁者」とも訳されるが、「暴君」のような意味である。恐竜のティラノサウルスという肉食恐竜が、 tyrannosaurus である。

独裁者が必ずしも残虐とは限らないのであって。「名君」なんて語もありますし。これは別に独自見解じゃなくて、ピナクル単語集の紹介している単語 despot 「専制君主」のニュアンスに関わる話。なお、despot は、普通は受験範囲外なので、普通の受験生は覚えなくていい。despot は割と中立的な意味での「専制君主」で、名君にも暴君にも、平凡な君主にも使う。


なお、日本語の問題だが、「独裁者」と言った場合、かならずしも君主とは限らない。まず「君主」とは、王族や皇帝のように、親から国家の統治権を引き継いだ者であって。「独裁者」は、王族とは限らない。ナチスドイツのヒトラーは王族ではないので。

君主の定義について、「それだと『国王』king では?」と思うかもしれないが、しかし三国志の劉備とか曹操や孫権みたいに、国をまだ統一していない状態で長らく広い領地の支配を続けている連中の親玉も「君主」というのであって。なお中国の場合、「王」というのは小国の主くらいの意味合いなので、古代中国の君主は「皇帝」のように言う。

君主の下働きで、居城などを拠点に、群(ぐん)やらを統治しているのは「太守」(たいしゅ)というのであって。w:太守

tyrant は、実際の国家の君主のほかにも、比喩的に「父親が家族に対して暴君」のようにも使える(グランドセンチュリー)。

むかし、中高の国語の現代文の作品の一節で、「父親が暴君だった」みたいな文章があったのだが、なんと英語が元ネタだった。日本文学は英文学の影響を受けているのだなあ。


「民主主義」 democracy は、語幹を分析すると、民衆が支配する、のような意味の構成である。

よく政治学の用語で、何とかクラシー、あるいは何とかクラート、というのがある。


ほか、単語集には無いが、「権威」authority の派生語を使って、独裁政治のことを言う場合もある。

たとえば under authoritarian rule「独裁政権下で」

authoritarian government 「独裁政権」

のような語がある。ロシアや北朝鮮や中国を「権威主義的」政治などという日本のマスメディアは、このような英語を日本語訳していると思われる。


なお、企業などによる市場の「独占」を言いたい場合、monopoly (モノポリー)という別の単語である。動詞形(市場を)「独占する」は monopolize である(旺文社1900)。mono- 「モノ」というのは「単一の」という意味(桐原4500巻末)。白黒写真のことを日本ではモノクロとも言ったが、英語で monochrome (モノクローム)は「単色画」や「白黒写真」などの意味である(センチュリー)。

だから「君主制」「君主国」は monarchy (モナーキー)である(桐原4500 republic 「共和国」の対義語として紹介)。ジー二アスには「君主制」の意味も書いてある。なお、東京書籍4500と旺文社1900にはモナーキーはない。そういうマニアック単語なので、やや高校範囲外。

ほか、音響機器などの音声の「モノラル」monaural などの単語がある(ジー二アス)。意味はたぶん、ステレオ音声ではないという意味かと(詳しくないので、よく知らない)。

さて、クラシーの話題に戻る。

たとえば「官僚」のことを bureaucrat (ビュアロウクラート)という。なお、「官僚」とは、日本で言えば財務省とか経済産業省とか、ああいう国の上級の役所に勤める、上級の国家公務員のことである。

桐原5500にあるが、bureaucracy で「官僚政治」の意味。


アメリカの「連邦捜査局」 FBI は、Federal Bureau of Investigation である。このように bureau という単語には「局」の意味もある。

「民主主義」democracy は桐原4500。東京書籍4500にもdemocracyはある。東京書籍4500に bureaucracy は無い。

単語集を見ても、democracyとbreaucracyを関連づけて教えるような工夫は、されていない。


これが分かると、「民主主義者」のことを democrat というのも、理解しやすいだろう。もっとも、旺文社1900でしかdemocrat(民主主義者)は紹介されてない。 しかし大文字 Democrat で「米国民主党の支持者」という意味もある。


「貴族制」を aristocracy という(桐原5500)。

また、単語集にはないが、この意味での「貴族」を aristocrat という。

成績主義などで選ばれた知的エリートなどが支配することを、「能力主義」 meritocracy という。日本語でも、政治評論や社会評論などで「メリトクラシー」という。

旺文社1900の merit の項目に派生語として「実力主義」 meritocracy がある。


「貴族の」の、より平易な言い方として、 形容詞 noble 「高貴な」「貴族の」がある。桐原・旺文社が紹介している。東京書籍は巻末でだけ紹介で、あまり乗り気ではない。

名詞として、「貴族」 nobleman がある(旺文社)。辞書で確認したところ、男性の貴族が nobleman である。女性の貴族は noblewoman である。

貴族の家柄のことは noble family である(旺文社、センチュリー)。

名詞 nobility が「高潔さ」「気高さ」である。


単語集にはないが、金・銀などの腐食しづらい「貴金属」が noble metal である(センチュリー、ジーニアス)。

なお、数研リープは、 precious metal 「貴金属」としている(数研リープ)。


なお、レアメタルとは異なる。 rare metal とは、ニッケルのような、地球に存在する量が少ない割に、産業に多く利用される金属のこと。


また、希ガスのことを「貴ガス」ともいい、「貴ガス」 noble gas である(ジーニアス)。


形容詞 arbitrary 「独断的な」(発音: アービトレリー)という単語がある(東京書籍4500巻末、旺文社1900)。副詞ではなく形容詞である。

この arbitrary でも「独裁政治」は言えて、たとえば arbitrary government で「専制政治」である(センチュリーの訳)。


だが、そんなことよりも、 arbitrary の意味は「任意の」で覚えるほうが良い。

「任意の」とは、論理的な議論をする場合なら「条件を満たすものなら、全て(すべて)が」のような意味である。

少なくとも、数学などでは、そういうニュアンスで「任意の」は使われる。

「 ∀x P(x) 」と書いて、

「全ての(任意の) x について、x は P である」

という意味。より簡単には、

「全ての x は Pである」

という意味である。

すべてのx について P(x)が成り立つのだから、だったらデタラメに(=任意に)xを選んでも p(x)が成り立つわけで、よって∀には「すべての」と「任意に」という2つの意味があり、この2つの意味は数学では文脈的には同じである。

∀ という記号は、そういう意味で、「すべての」「任意の」という意味。

なお、windows11の文字入力の場合、「ターン」で∀が出てくる。おそらく「ターンA」という発想の文字入力。アニメで1999年に「∀ガンダム」というロボットアニメがあって、その発想かと。「任意の」では出てこない。「ぜんしょうきごう」(全称記号)でも駄目である。


なお、∃は「存在記号」という。


「 ∃x P(x) 」と書いて、

「あるxについて、P が成り立つ」

という意味。別の言い方だと

「少なくとも1つの x は P を満たす」

というような言い方をする場合もある。


なぜ、この「任意の」(=すべての)意味で arbitrary を覚えるべきかと言うと、上記のように

大学レベルの基礎的な数学で arbitrary という用語を「任意の」の意味で使うからである。(解析学の単元で「イプシロン・デルタ(ε-δ)論法」というのがあり、そこで数学科だと習う。)

『条件「〇〇」を満たす変数は、すべて~(以下略)』のような議論をするとき、arbitraryを使う。


そして、大学の数学科では、大学1~2年レベルの数学で、ほぼ必ず、「 ∀ 」という記号を習う(「全称記号」(ぜんしょう きごう)という)。

∀ の意味は「任意の」という意味である。

この全称記号を「アービタラリー」(arbitrary)と読んだり、あるいは「オール」(all)と読む。

よって、arbitrary の「任意の」という用法は、海外での数学エリートの教養なので、この単語と意味を知っておくと海外では頭良さそうに思われるだろう。


ほかの意味もまとめて紹介すると、arbitrary の意味は「独断の」「任意の」「気まぐれな」などである。

バラバラに覚えるではなく、たとえば「任意の」(≒すべての)を基準に関連づけて覚えるなどして、「独裁者のいうことには、なんでも(≒任意に)従わざるをえない」とか、「これは任意だというので、つまり最低条件さえ満たしていれば、あとは気まぐれに選べる」とか、頭の中で関連づけて覚えよう。

an arbitrary choice 「任意の選択」(センチュリー)

make an arbitrary selection 「任意に選択する」(ジーニアス。旺文社に似た文。)


旺文社は「恣意(しい)的に選択する」という。本来「恣意的」とは、「任意」とほぼ同じ意味なのだが、しかし現代では誤用だが、本来なら規則などを管理者が自分の好都合に解釈することで規則の意味を歪めて不公平に運用したりするのを「恣意的な運用」とか言ったり、意味がゆらいでいる。

念のため国語辞典で確認したところ(三省堂『新明解』、岩波『広辞苑』)、「恣意」(しい)は「思いつき」(三省堂)、「気ままな心」「自分勝手な考え」(広辞苑)などの意味である。


パス単準1級が、arbitrary「任意の」 と random 「無作為(むさくい)の」を類義語だと主張していて(パス単準1「random」)、たしかに無作為に選べば任意に選ぶのと同じ結果にはなる。

ただし、普通、数学および数学をもちいる他の学問(経済学など社会系も含む)では、random と arbitrary は、使われる文脈が異なる。random は確率・統計の分野で使われる。いっぽう、∀は論理学の分野で用いられる。

そして、教科書レベルの論理学の分野では、普通、確率論は扱わない。


random sample 「無作為標本」(東京書籍4500、ジーニアス)

random selection 「無作為抽出」(旺文社1900)

など、統計学の用語にも random は使われている。

at random 「無作為に」(旺文社1900、速読英単語・必)

ただし、

randomly 「無作為に」(東京書籍4500)

という副詞もある。

random の他の訳として「手当たり次第に」「でたらめに」とか辞書にはあるが、まあ単語集には無い。

入試に出るのは学術系の文章なので、「無作為に」で十分だろうという発想だろう。

令和のいまどき、中学校の数学の統計の分野でも「無作為」(むさくい)という言葉を習うのだから、この用語が通じないヤツを相手にするのに高校時代を費やすな、という単語集さま達のご忠告である。


邪魔する

interrupt, interfere, disturb, bother


interrupt は「邪魔する」の意味。

「邪魔する」を意味する単語はいくつかあるが、高校生はまず、interrupt で「邪魔する」を覚えるのが良いだろう。


よく単語集にある典型的な例文が、

Don't interrupt me when I ~ 「私が~しているときは邪魔しないで。」

である。


interfere は「邪魔する」の意味もあるが、「干渉する」の意味で覚えると良いだろう。

interfere in ~ で「~に干渉する」の意味。

interrupt with ~ で「~の邪魔をする」の意味。


disturb は「邪魔する」の意味もあるが、「かき乱す」の意味で覚えると良いだろう。

とくに、進行形 disturbing で、「動揺させるような」(東京4500)、「迷惑な。心を悩ませる。」(旺文社1400)のような、相手の心を乱すような意味がある。

名詞形は disturbance で、「邪魔。乱すこと」(旺文社)、「混乱」(東京)、「妨害。不安」(桐原)、のような意味。


Door hanger

ホテルなどで、清掃員などに部屋の中に入られたくないときの意思表示のためのカードとして、フック状でドアノブに掛けられる" Do Not Disturb " などと書かれたカードがある(数研リープ)。

あるいは Don't Disturb などと書かれている。

こういうドアノブ用の意思表示プレートを英語でなんて言うのか知らないが、日本ではよく「ドアノブプレート」とか「ドアサイン」とか言う。


英語では Door hanger と言うらしい。en:w:Door hanger

ただ、実際はもっと具体的に清掃の仕方の要望を指定した表記の場合もあるようだ。

具体的な指示のドアサイン


こういった意味だけ聞くと、disturbはあたかも強く邪魔するような印象を読者に与えかねないが、しかし実際には下記の例文

I'm sorry to disturb you, but ~

で、「邪魔してすみませんが、~」の意味。(東京4500。桐原4500)

このように、ちょっとした「すみませんが、」程度のニュアンスのことに disturb を使うし、むしろそういう用法では interrupt よりも好まれるだろう。


ほか、trouble を使って、

I'm sorry to trouble you. 「お手数をおかけして、すみません」(数研リープ)

のような言い方もある。


数研出版リープだと、うるさくして邪魔をするのが disturb だとあるが、辞書で確認したら確かに「安静。睡眠、仕事などを妨げる」という用法もあるが(グランドセンチュリー)、しかし bother にもうるさくする用法があり(グランドセンチュリー)、区別は難しい。

bother は、「迷惑をかける」という用法もある。

頼み事なので、

「面倒をかけてすみませんが、~してくれませんか」というとき

I'm sorry to bother you, but ~

という(旺文社1400、リープ、グランドセンチュリー)。


bother は、慣用的に

Don't bother や Please don't bother 「~しないでください」

のように否定形で、してほしくない事を言うときに使われる(桐原4500)。


「ジュリアの邪魔しちゃ駄目よ」Don't bother Julia.

みたいな使われ方をする。単語集では、邪魔しちゃダメな相手は、東京書籍がジュリア Julia 、桐原はエレン Ellen である。

bother には「思い悩む」という意味もあり、 単語集にはないが、辞書ではよく、

「そんなこと気にするな」Don't bother about that.

のような例文がある(センチュリーにそのままの例文。ジーニアスに少し違った例文あり)。


ほか、

I'm sorry to bother you, but ~

で、「邪魔してすみませんが、~」の意味。(旺文社1400、センチュリーで確認)


提案する

propose と suggest

プロポーズ、サジェスト


色々な申し出

propose , suggest ,offer


propose は基本的には「~しようという申し出」という傾向。

propose , suggestともに「提案する」だが、suggest には「示唆する」の意味がある。

なお suggestにも、「~」しようと提案する」の意味もある(桐原で確認)。


suggest + that 節/~ing

のような語法になる。つまり、to不定詞は基本的には取らない。

suggest にかかわらず、もしto不定詞が来ると、強い提案になるという傾向がある[6]。advise, recommend のように O + to ~を取るものは、意味合いが強く、偉い人や専門家などからの助言になる傾向がある。


propose には「求婚する」の意味があり。

なお名詞形はともにあり、それぞれ proposal と suggestion である.


offer は、「~してあげてもいいと申し出る」「私(または発言者本人)が~すると申し出る」という意味。

和訳の都合でofferも「提案する」と訳される場合もあるが(グランドセンチュリー)、しかし上述のようにproposal などとは全く違う。

というか、そもそも日本語の「申し出」の使い方が、英語の offer みたいな使い方。

高校生は日常会話で「申し出」なんて使う機械は無いわ。

というか、「申し込み」と「申し出」の意味は全く違う。

「申す」(もうす)というと、なんとなく謙譲語のイメージから礼儀正しい感じがするが、しかし申し出の意味とは謙譲語「申す」はまったく関係ない。


促進

promote と prompt と stimulate , urge , facilitate

加速する accelerate


販売促進が promote である。 ジーニアス英和によるとpromoteには「増進させる」の意味もある。

消費者の販売意欲を「増進させる」的なニュアンス。

だから、人の昇進などにもpromoteを使う。


prompt は、「促す」(うながす)。※ジーニアス英和で確認。

なおpromptには形容詞の用法もあり、(行動が)「すばやい」、「即座の」の意味。

行動ではなく、速度が速い場合は rapid である。


次のITの話は、入試に出る可能性が高まった(理由は後述)。

コンピュータ用語で Windows のDOS画面

C:\>

のような画面を「コマンド・プロンプト」というのだが、たぶん「さっさとコマンド入れろ」的な意味の名前の画面。


で、これ自体は入試に出ないのだが、しかし生成AIの入力命令のことも、プロンプト prompt という。この生成AIのプロンプト prompt の語が、桐原の英単語集の最新版にある。

生成AIと関係する単語で、hallucinate (ハルシネート)という単語があり、「幻覚(症状)を感じる」「幻覚を見る」の意味(ピナクル)。

文章生成系の生成AIに、なにかの質問を投げかけると、もっともらしいデタラメを返す場合があり、それをIT用語でハルシネーション hallucination と読んでいる。

薬などで幻覚を見たりするのも、この hallucinate 系の単語(ジーニアス・グランドセンチュリー hallucinogen など)。


なお、illusion は「幻想」などと訳されるが、割と普通の人の抱くような「思い違い」や「錯覚」のことも illusion という(ジーニアス)。

高校英語としては、「幻」はとりあえず illusion と教育しておくのが無難ではあり、実際に4500語レベルとして普通に illusion は教育されている。英米人に hallucination とか言ったら、キチガイ呼ばわりされていると思われて暴行にでも会いかねないし。

このように、高校英語は割と安全に配慮されて作られている。

なお、delusion は、極端な錯覚であり(鉄緑)、たとえば間違った信念などの事である(ジーニアス)。


広告を考える広告マンが消費者の購入意欲を促進するのはpromoteだが、彼によって作られた広告が購入意欲を促進するのはpromptである(東京書籍4500で広告のpromptの例文あり)。

ただし桐原4500で、外交の訪問が国家間の友好を「促進する」という例文があるので、あまり境界は明瞭ではない。


ジーニアス英和に「平和を促進する」 promote peace とあるが(※辞書)、どちらかというと、「平和を増進させる」的なニュアンスだろう。


景気刺激など、活気づかせる意味で「刺激する」のが stimulate である(東京書籍4500、桐原4500、旺文社1900)。

stimulate the economy 「景気を刺激する」(旺文社、東京書籍)

が典型的な例文。

stimulate は「刺激」が第一の意味であり(桐原4500)、「促進」は派生。

単語集にはないが、stimulateには「興奮させる」の意味もある。刺激して興奮させるのが stimulate のニュアンス。

派生的に、(活動などを)「活気づける」もstimulateである。(東京書籍4500)

桐原4500が指摘しているように、あくまで「刺激」が stimulate の第一の意味。


桐原には(人を)「励ます」stimulate の用法もあるが、桐原しか紹介していないし、例文も無い。


なお、類義語として encourage 「励ます」「勇気づける」がある。courage と勇気の意味。

この「勇気」も brave という類義語があるが、もう省略。

高等学校英語 英単語/類義語 4500語レベル サブページ20 で encourage などを説明してある。

urge (アージ)は「強く勧める」(東京書籍4500)とあるが、ジーニアスによれば(~するように)「催促する」「強く迫る」である。

桐原4500によると、urge 人 to ~ で「<人>に~するように強く促す」である。東京書籍4500でも同様、urge (A) to ・・・ で「・・・するよう強く勧める」である。


facilitate は、「促進」の意味もあるが、「容易にする」の意味もあって(桐原5500)、たとえばセンチュリー英和には、「コンピュータによって仕事が容易になった」的な例文でfacilitateを用いている。ただし桐原5500の例文を見ても、容易にするニュアンスは無い。桐原の例文は慶応大の過去問「軍縮を促進したことで国民に良い影響を与えてきた。」の紹介。この軍縮の文のどこにも容易のニュアンスはない。

また、旺文社1900では名詞形 facility (ふつう複数形でfacilities)は「設備」の意味だと紹介しており、例文で day care facilities 「デイケア施設」のある文章を紹介している。

入試には出ないだろうが、公共機関などの「機関」の意味もあり、たとえば monetary facilities で「金融機関」だとジーニアス英和にある。

なお、「複数形」は英語で plural (プルーラル)という(旺文社1900巻末)。


accelerate は「促進する」の意味もあるが(旺文社、鉄緑、東京書籍 巻末)、「加速する」で覚えるほうが良いだろう。

桐原4500には accelerate が無い。

物理学でいう「加速度」も、名詞形 acceleration のこと。

「加速」とは、文字通り、「速度が増加」する事、つまり速度が速くなること

よって、たとえ乗り物に力を加えても、速度が一定速度なら、加速ではない。

たとえば自転車のペダルをこぐのに力を要するが、自転車の速度が一定なら、自転車全体としては加速していない。

これが本来の「加速」。


だから、植物の生長を促す栄養剤かなんかでも(東京書籍の巻末がそういう例文)、成長速度が一定なら、本来は加速ではないのだが、しかし実際には、こういう「促進する」にも accelerate は使われている。

もっとも、その栄養剤がなかった場合よりも成長速度が上がっていれば、「加速」ともいえるので、加速の意味でも accelerate とも言える。


経済成長の場合もそうである(旺文社の例文が「経済成長の加速」)。

よく世間の経済談義で、ある国の「経済成長がゼロ」とか言っても、決してその国はなにも生産していないわけではなく、なぜなら経済学的には「経済成長率」とはGDPの増加率なので、加速度みたいなもんで。

自転車の加速度がゼロのままで一定速度のままでも、自転車そのものは進み続けているわけで。

同様に「経済成長率がゼロ」とは、その経済成長率の増加率がゼロという意味であり、つまり大元のGDPの変化率のそのまた変化率を考えようとしているのであって、計算がややこしい。

速度と加速度の問題みたいな。

ただし、世間で経済談義をしている庶民は、たぶんそこまで考えていない。(高校の『物理基礎』レベルの力学も分からないバカには、経済学は無理だという事だ。)

グランドセンチュリーの例文も、「インフレの加速」。インフレそのものが「物価の増加」という意味なので、つまり「インフレの加速」とは、物価の増加のそのまた増加率が上がるという意味になる。

世間には、「速度」と「加速」度の区別がつかないバカもいます。さすがに物理の話題ではそこまでの馬鹿は出てきませんが、しかしネットでの経済とか社会とかの話題になると、そういうバカも湧きます。この馬鹿は、高校でいったい何を習ってきたのでしょうか?(もっとも、商業高校などでは物理基礎は習わないが。) それとも、もしかして日本の高校を出てない海外の工作員が、日本のネットなどの経済評論でかく乱をしているのでしょうか。

ネットには、日本人なら知ってるはずの中学や高校の学校必修科目などで習うレベルの基礎教養を知らないくせに、やたらと日本の文化に口出しをする、頭のヘンな人もいます。おそらく海外の工作員(民間の宣伝工作員も含む)ですので、けっして

ペダルどうこうのついでに、

pedestrian「歩行者」

これも受験英語である(旺文社1900、鉄緑、桐原4500巻末の接尾辞の単元)。

語幹の -ped は、「足」とか「歩く」とかの意味。自転車の「ペダル」 pedal と同じような語源。

真面目に意味を覚えようとスペルが長くて暗記が面倒なので、英語では歩行者のことは、ペダル pedal を参考に、足マン的な構造の単語、とでも覚えよう。

実際、ジーニアスいわく、語源は「足の(pedester)人(ian)」。ラテン語で「歩く」はpedester とのこと(旺文社)。

本来のラテン語のpedesterの意味は「歩く」かもしれないが、ただ自転車の「ペダル」 pedal はべつに歩いているわけじゃないし(でないと、乗り物として意味が無い)、よって英語のpedは「足」のような意味だと考えるほうが自然だろう。

語源のラテン語そのままを覚えるのではなく、実際の英語での使われ方を見て、(語「源」ではなく)語幹の理解をアップデートしていこう。語源よりも語幹。

なお、walker「歩行者」と、より平易に言い換えできる(パス単準1)。


示唆(しさ)

suggest と imply


imply(インプライ)は、明言を避けて、「暗に示す」、「ほのめかす」の意味。

東京書籍が、implyでは「明言を避けて」の意味があるといっている。

ジーニアスも「暗に示す」と言っている。

桐原4500だと「示唆する」「ほのめかす」しか書いてない。


imply の語幹のply は、reply (リプライ)「返信する」の ply と同じ語源。im は内側「イン」と同じ意味。

現代日本語で「オブラートに包む」という、隠喩や暗喩を意味する表現があるが、包まれたものは内側「イン」に来るので、そういう感じで連想すると覚えやすいだろう。「オブラートに包んで(im)話す(ply)」みたいな。


反対の contrary, opposite

反対する oppose, object

他人に「反対する」 動詞 oppose ,動詞 object to

意義を唱えて意見に反論する contradict, dispute

議論する discuss, dispute


矛盾する contradict , conflict


contrary のスペルが覚えられない人もいるかもしれないが、カウンター的な語源である。ボクシングで、カウンターパンチとかクロスカウンターとか言うでしょ。

opposite のスペルが覚えられない人もいるかもしれないが、posi の部分は、「位置」 position の前半のスペルと同じである。opposite は、「反対側の位置」のような構造の語。


contrary と opposite の違いは、この単語や派生の品詞だけをいくら見ても分からないだろう。

数学で「対頂角」のことを opposite angle または vertically angle という。

数学英語は高校の範囲でないので暗記しなくていい。

opposite にはこういうふうに、単に向かい合う位置にあるという事だけをあらわすようなニュアンスがある。

もっとも動詞 oppose を見ると、他人の意見に「反対する」のような用法もあるので、ニュアンスの違いは不明確であるが。


contrary のほうが、意見などの「対立」のニュアンスが強い。実際、ジーニアスに a contrary opinion 「反対意見」という単語があるし、東京書4500も同じ単語を紹介している。ほか、センチュリー英和だと、訳語こそ「反対」だが、最初の例文の用例が、趣味・趣向が「反対」という例文である。

熟語 on the contrary で「それどころか」の意味。桐原4500では例文を紹介しているが、東京書籍4500では紹介していない。旺文社1900は熟語が存在することを紹介しているが、例文はなし。


この「それどころか」の訳語が曲者で、単語集では「それどころか」としか説明してないが、実際にはセンチュリー英和では、否定文につづいての「それどころか」である。桐原4500でも「介入は役に立たなかった。それどころか事態を悪化させてしまった。」である、。

自分の否定の意見をはっきりさせるために on the contrary を用いるので、たとえば疑問文のあとの文頭なら「とんでもない。~~ですよ」のように訳す。実際、ジーニアスもセンチュリーも「とんでもない」と疑問文の解答では訳している。

(センチュリーの例文は単語が難しいので非紹介とする。)

例文のない別の熟語(桐原と旺文社が熟語のみ紹介)で to the contrary は、「それとは逆の」である。センチュリー英和の例文だと「見かけによらず、彼は親切な人だ」 Appearance to the contrary, he is a kind man.

とある。to the contrary のほうは、とくに否定形がどうこうとかはない。


肯定形の疑問のあとなら「逆に」として相手の意見を否定する用法で on the contrary だったりする。否定疑問文に対しては、相手の意見を否定する意味での「それどころか」だったりする。

つまり、「contrary」(対立の)という知識がある上での「それどころかで」ある。

疑問文でも平常文でも(桐原4500の例文が平常ぶん)、前の意見や説明に


旺文社1900や東京書籍に似た例文があるが、

「期待に反して」Contrary to the expectations,

という用例もある(旺文社の例文)。


他人に「反対する」場合は、動詞 oppose と動詞 object to がある。

object は、to が無いと、「反対理由を述べる」というような意味になり、

object that ~(反対理由) 「~と言って反対する」

のような用法になる(グランドセンチュリー)。

なので、誰かに反対する場合は、区別のため前置詞 to が必要になる。


「反対する」 oppose

動詞 oppose 「反対する」の目的語には、反対される提案が来てもいいし、反対される人が来ても良い(グランドセンチュリー)。

たとえば

oppose him 「彼に反対する」(グランドセンチュリー)

のような用法もある。

辞書によくある例文は、

oppose a construction of new ~ 「新 ~ の建設に反対する」(ジーニアス、グランドセンチュリー)

このように、提案・計画・法案などに反対する場合も、前置詞など無く oppose を使ってよい。

このためか、単語集では、単に oppose 「反対する」とだけ説明している。


oppose a new law 「新法に反対する」(桐原4500)

oppose a new idea 「新しいアイデアに反対する」(東京書籍4500)


ただし、、

be opposed to A 「A に反対する」(鉄緑、グランドセンチュリー)


主語に来るのは、反対する側の人(つまり、文句を言っている側の人)なので注意。

たとえば、

He is opposed to A 「彼はAに反対している」

決して彼が反対されているわけではない。


この用法の場合、be opposed は形容詞的に考えたほうが分かりやすいだろうか)(しかいs、辞書ではそうは言及していない)。

「A の反対側に位置している」的な。

なお、形容詞形は opposite 「反対側の」「逆の」という別の単語になる(桐原4500)。


このためか、 opposed という形容詞は無い(辞書を見ても、そういう項目は無い)。


名詞形はいくつかある。


opposition 「反対」「敵対」(東京書籍「反対」、鉄緑「反対」「敵対」)

opponent 「(試合などの)相手」(東京書籍、鉄緑)

opponent のほうが、試合などの相手の意味が大きいが、実は opposition にも試合などの「相手」の意味があり(グランドセンチュリー、ジーニアス)、単語集でも紹介されている(桐原4500)。


辞書によくある例文を組み合わせて

I beat my opponent in the game by three point. 「私は試合で敵を3点差でやぶった。」(ジーニアス(by three point)とグランドセンチュリー(in the game )の例文を合体)


the opposition party 「野党」(グランドセンチュリー、鉄緑)


contradict「矛盾する」 という単語には、「反論する」「反対意見を言う」という意味の用法もある。

というか、そもそも語源を見ると、この「反論する」のほうが語源に近い。

contra=「反対の」、dict=「言う」

という語源だからだ。


predict「予言する」

dictionary「辞書」

などと関連づけて、語幹 dict 「言う」も覚えよう。


グランドセンチュリーでは、「矛盾する」の用法よりも反対意見を言う」のほうを先に紹介していくくらいである。


ジーニアスによると、deny との違いは、contradict のほうが、より強く、相手の間違いを指摘しているらしい。『(間違っているときっぱり)否定する』のが contradict、『(事実でないと)否定する』のが deny とのこと(ジーニアス)。

ただし、グランドセンチュリーでは確認できなかった


contradict はあくまで動詞である。

predict も動詞だし、関連づけよう。

名詞形は contradiction 「矛盾」である。

形容詞は contradictory 「矛盾した」である、


桐原を見ても巻末おくり(接頭辞の単元)で、例文なし。

「矛盾する」のよくある例文は

His action(または his behavior ) contradicts his words. 「彼の行い(または「振舞い」 behavior)は発言と矛盾している」(東京書籍に似た分、グランドセンチュリー behavior ほか文末を改変した似た文)


東京書籍も旺文社も「矛盾する」の例文ばかり。「反論する」の例文は鉄緑だけ。

著作権の都合で「反論する」の例文はカット。


dispute にも、意見に「反論する」の意味がある。

dispute には「議論する」の意味もあるが、これは discuss でも言える。

dispute を「議論する」の意味で使う場合、「論争する」というニュアンスがあり、実際に「論争する」と訳す場合もあり(速読英単語・必、グランドセンチュリー)、感情的な議論を含む場合もある(ジーニアス)。名詞としての dispute には「議論」のほか「論争」などの意味もあり注意が必要である。

たとえば。

「労働争議」 a labor dispute (グランドセンチュリー、ジーニアス)

である。

dispute


「議論」は discuss で言うのが無難だろう。


conflict 「対立」に、動詞として「矛盾する」の用法もある(数研リープ、旺文社1900、桐原4500、グランドセンチュリー)。

conflict with ~ 「~と矛盾する」(数研リープ、グランドセンチュリー)

ただし、桐原4500および旺文社1900では、例文なし。

また、鉄緑および東京書籍は「矛盾する」の用法を紹介しておらず、あまり教育的な意義を見出してないようである。


名詞 conflict としては、

be in conflict with 「~と対立している」「~と矛盾している」(旺文社1900、グランドセンチュリー、)

または副詞的に

in conflict with 「~と対立して」(桐原4500)


桐原も旺文社も、conflict の語法は紹介しているが、例文も無く、まあ仕方なく紹介した的な感じ。


conflict over ~ 「~をめぐる対立」(東京書籍、旺文社)


よくあるのは、資源やエネルギーをめぐる対立で

conflict over energy 「エネルギーをめぐる対立」(東京書籍)

conflict over resources 「資源をめぐる争い」(旺文社)


avoid conflict 「対立を避ける」(桐原4500)、「対立を回避する」(東京書籍4500)

敵対

「敵意」は hostility である。単語集には形容詞 hostile が書いてあるが、たぶん名詞形のhostilityのほうが覚えやすいだろう。

be hostile to ~で「~に敵対する」の意味。

なお、「憎悪」「嫌悪」はhate。 hateで名詞も動詞もある。とくに名詞には hatred という専用の名詞もあリ、意味は同じく「憎悪・嫌悪」だが(ジーニアスで確認)、単語集ではhatredは「憎しみ」と訳している(桐原・東京書籍の両方とも)。

桐原4500によると、「写真を取られるのをひどく嫌う」のような、ちょっとキライなぐらいでも hate を使う。


抗議

protest

protest は動詞としては「抗議する」、名詞としては「抗議」の意味である。動詞も名詞もスペルは同じ protest である。

protest against ~ で「~に抗議する」。againstまたはatを使う(旺文社1400)。ただし、桐原4500および東京書籍4500を見ても、protest against のほうしか書いてない。

よくある例文が「戦争に反対する」とかで、たとえば「戦争に抗議する」なら protest against the war である(桐原4500)。

なにも平和運動ばかりに使うわけではなく、たとえば「増税に抗議する」なら protest against the tax increase である(東京書籍4500)。



提供、供給

supply と provide と furnish

サプライ、プロバイド、ファーニッシュ


ともに「供給する」の意味だが、

supply はdemand「需要」の対義語として使われる。

supply と demand をセットで覚えよう。なお、日本語では「需要(demand)と供給(supply)」の語順だが、英語では「supply and demand 」の語順になる。


一般にprovideを「提供する」と訳す場合もあるが、しかし東京書籍4500語によると、supplyを「供給する」と紹介している。


備え付ける

equip と furnish


furnish という単語にも「提供」・「供給」の意味があるのだが、どちらかという「家具を備え付ける」という別の意味で使われる。東京書籍4500では家具のほうしかfirnishは書いてない。

なお「家具」は英語で furniture である。まずはfurnitureを覚えよう。

たとえば「家具屋」は furniture store である[7]

なお furniture は集合名詞である。なので、どうしても数えたい場合は、 a piece of furniture のように数える。

equip は、とくに家具に限定しないが、家具に用いてもいい。東京書籍4500で、電子レンジの取り付けを equip で説明している。

企業や店舗などにカメラを取り付けるのは equip だと、桐原4500は説明。


桐原4500およびセンチュリー英和辞典では furnish は equip に意味が近いというスタンスだが、いっぽう東京書籍およびジーニアス英和辞典は類義語としての紹介を避けている。


据え付ける(すえつける)

壁に絵を貼る程度の「据え付ける」(すえつける)(※旺文社)あるいは「備え付ける」(※桐原)は、 mount である(旺文社)。「載せる」というイメージだろう。

センチュリーいわく、写真などを台紙に貼るのも mount である。

また、「台紙」そのものも名詞 mount である(旺文社、センチュリー)。

なお、「壁」(かべ)は英語で wall である。


mount は、自転車やウマなどに「乗る」の意味の動詞だが、他動詞で「載せる」の意味もあり(桐原5500)、「~をすえつける」という意味もある(桐原・旺文社)。

桐原5500が、ウマに乗るの意味を紹介。なお、自転車やウマに乗るは ride も言えると、ジーニアスは言っている。

辞書いわく

「自転車に乗る。」 mount a bicycle

である(ジーニアス、センチュリー)。


「ウマに乗る。」 mount a horse

である(ジーニアス)。


mount には「増える」という意味もある(東京書籍)。(おそらく、なにかを積み重ねるイメージからか、あるいは山( mountain )を登る行為の連想からだろう。紙などを積み重ねる行為も、紙のうえに紙を載せているわけである。)

辞書によくある例文が、物価関係で

「物価が上がっている」 Price are mounting.

である(ジーニアスを参考。なお東京書籍では「出費」expenses が上昇)。


辞書にはないが、IT用語で、USBメモリなど外部ハードをパソコンに接続したときに、その外部ハードをパソコンで使えるように自動設定される処理のことを(USBメモリなどを)「マウントする」などといい、英語でも mount という。

単語集にはないが、mount の対義語は、意味によって unmounted か dismount かが変わる。

すえつけられていた物を取りはずしする場合は、形容詞 unmounted である。

一方、乗り物や馬などから降りたり、下ろしたりするのは、動詞 dismount である。


辞書にはないが、先ほどのパソコンのUSBメモリなどの件でも、取りはずしなどには unmounted が使われる。



「欲望」と「欲しい」

desire と hope

動詞 desire デザイア は「強く望む」。

名詞 desire に「欲望」「願望」のようなニュアンスがあるので、それだけ強い望み。

名詞 hope はどちらかというと「希望」なので。hope は、基本的には好ましい望み(旺文社1400巻末)。


wish にも「願う」や「願望」の意味がある。仮定法以外でも使う。

※ 高校生は、まず desire を覚えよう。hope は中学レベルなので、いちいち勉強しなくていい。

want は「ほしい」という意味であり、やや幼稚・初等的な表現。wantを「願う」と訳せなくもないし、単語集にそういう意味もあるが、まあ中学で習っているので放置でいい。


逃亡する

flee と escape

退却と撤退 retreat 「退却する」、withdraw 「撤退する」


「虐殺」genocide、 「自殺」suicide


「追放する」expel 、banish , (※範囲外)purge

「追放される」 be sent into exile , be expelled


flee は「全力で逃げる」(※東京書籍)。

※ 東京書籍でも言ってるが、国外逃亡とかの表現でよく使う。(※ 英字新聞などでよく見かける)高校生としては flee を覚えたいところである。

なお、「難民」は refugee (レフュジー)なので、「難民が国境を越えて逃げた」(桐原4500)は The refugees fled across the border.

である。fled はflee の過去形。

border だけでも「国境」として通じるが、より明確に「国境」である事を明示したい場合、 national border とも言う[8]。border は色々な意味で使われるので、実際の英語では適切な修飾語が加わるのだ。


「難民」ついでに言うと、「難民キャンプ」は refugee camp です(検定教科書2社[9][10]、Z会TOEIC対策本1900[11])。


なお、名詞だけ単語集にない単語だが、「難民」ではなく、災害などの「避難民」は evacuees である。動詞「避難する」が旺文社1900にあり、スペルは evacuate である。名詞「避難」が桐原4500の単語集で evacuation である。

evacuate は英検1級あたりの単語であり、そのため高校単語集では紹介されない場合があるが(※ 東京書籍4500には無い)、しかし非常時の説明に使う可能性がある単語なので見かけることも多いだろうし、できれば覚えておいてほしい。

ついでに 「非常口」 an emergency exit (東京書籍、)

「亡命者」は exile (エグザイル、エクサイル)である。

「亡命」(ぼうめい)とは、政治上の理由で、迫害などをおそれて、自国を離れて国外などに逃れること(三省堂『真明解国語辞典』など)。

日本語の場合、普通、自発的に国外へ脱出した人間のことを「亡命者」と言うが、ただし英語の exile はもっと意味が広く、自発的かどうかに関わらず結果的に「国外追放された者」のようなニュアンスの違いもある。


たとえば、

be sent into exile 「追放される」

の意味である(旺文社、センチュリー)。


「亡命する」は

go into exile 「亡命する」

である(ジーニアス、旺文社)。

ほか、単語集には無いが、名詞 asylum (アサイラム)は「亡命者へ与える保護」、「難民保護」(難民へ与える保護待遇のこと)である(センチュリー「亡命者保護」、ジーニアス「難民保護」)。亡命者自身のことではないので、混同しないように。


「追放する」には expel という動詞もある。

expel は日本ではあまり聞きなれない単語だが、語幹のpelは、プロペラなどの語源になった動詞 propel 「推進する」と同じで(グランドセンチュリー)、pelは「駆り立てる」という意味である(鉄緑)。compel「強制する」と同じ語幹である(鉄緑、グランドセンチュリー)。

※ ジーニアスのほうがグランドセンチュリーより単語数が多いからと言って、必ずしもジーニアスに何でも書いてあるわけではない。

ただ、「駆り立てる」と言うとなんだか自主的なように聞こえるが、どっちかというと「追放」「強制」のように、なんだか「押し出す」ようなイメージの用法が受験英語では多い。

「外に押し出す」→「追放する」という風に覚えよう。(実際は「外に押し出す」が語源の直訳だが、「追放する」になるまで、やや飛躍があるので、ここでは「外に押し出す」とした。)

一般的な自車(足でこぐヤツ)は後輪駆動なんですが、前輪は後輪につられて仕方なく従動することで、自転車全体が押し出されるわけで、このように駆動物には従動物が伴う。

さて、よくある例文は

The student was expelled from school. 「その学生は退学になった。」(鉄緑、グランドセンチュリー)

ほか、banish「追放する」という語もある。旺文社1900でしか説明してない単語なので省略。

なお、(bでなく)vから始まる動詞 vanish「消える」とは別単語。


なお、プロペラの「羽」は英語でblade である。刃物のブレイド blade と同じ単語(旺文社1900)。

国会議員の除名は expel である。日本国憲法の両院の議員の除名について、

58条(抜粋) 但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
However, in order to expel a member, a majority of two-thirds or more of those members present must pass a resolution thereon. 


repel 「はねのける」という語もある。

repel は、「要求をはねつける」とか「敵を撃退する」とかの意味の語。

repel the enemy 「敵を追い払う」(鉄緑)

repel an invasion 「侵略を撃退する」(グランドセンチュリー)

なお、提案を「はねのける」は dismiss という別の動詞である。dismiss については 高等学校英語 英単語/類義語 4500語レベル サブページ15


repel を expel と一緒に覚えると良いだろう。

今いる場所の中にある異物扱いする存在を追い出すのが expel,
外からやってくる異物をはねのけるのが repel

と覚えればよい。

虫よけスプレーなどの「防虫剤」も名詞 repellent である(ピナクル、グランドセンチュリー)。なお、防水剤・撥水剤(はっすいざい)も repellent である。

磁石などが「反発する」のも repel なので、ついでに覚えておくと良いだろう(ピナクル、ジーニアス)。

(※範囲外)ただし、(同種の磁極などが反発するような)「斥力」(せきりょく)は、repulsive force である(ピナクル)。


そのほかrepel には「不快にさせる」という意味の動詞もあるが、桐原5500しか紹介していない。形容詞 repellent にも、同様な「不快を抱かせる」のような意味あり。

なお、「不快にさせる」は動詞 disgust でも言える。

形容詞 repulsive にも、似たような「大変いやな」「嫌悪感を起こさせる」(ジーニアス)・「不快きわまる」「ひどく嫌な」(グランドセンチュリー)のような意味がある。repulsive のほうが repel よりも強意的。


プロペラとリペルの関係に近い語が、他にもある。

動詞 reject 「(提案などを)拒絶する」と、名詞 project 「計画」がそれである。

なお、語幹の ject は、「投げる」の意味。


範囲外だが、パージ purge 「追放する」という言葉を聞いたことある人もいるだろう。レッドパージとか。ほか、工業高校の人も、聞いたことあるかもしれない。

purge だと、たとえば過激派を追放したりとか(ジーニアス)、汚職警官を追放したりとか(パス単1級)、そういう好ましくない人物たちの追放の意味になってしまう。

そういう用法が適切な場合もあるかもしれないが、もし難民とかに「パージされた」とか言ってしまうと、失礼な意味になってしまいかねないので、まあ高校教育では expel のほうを「追放する」として教えるのが適切だろう。

工業では、たとえば配管について、汚れている可能性のある配管に、別の清浄な流体を流して置換することを「パージ」と言ったり。


さて、難民の話題に戻る。

説明の都合、refugee を「難民」の意味だけで説明したが、実は refugee には、災害などの「避難民」の意味もある(ジーニアスで確認)。ただし、センチュリーのrefugeeでは「避難民」の意味を説明していない。


また、refugee は、災害などの避難民だけでなく、政治亡命者なども含む、広い意味で使える単語である。英語でも political refugee 「政治的亡命者」という表現がある(ジーニアスで表現を確認)。

なお、日本語では「亡命」だけでも、国外に逃れた原因が政治的な迫害であることを説明できるが、特に政治による原因であることを強調したい場合などに日本語では「政治亡命」などという。

なので、英作文では、難民か亡命者かよく分からなければ、とりあえず refugee を使えばいい。

桐原4500ではrefugeeは「難民」としか説明していないのに、なぜか桐原3000ではrefugeeの意味で「難民」「避難民」としている。

refugeeの避難民の意味は、こういうクセのある意味なので、深入りしない。


「難民」には、さらに displaced person という言い方があり、戦争や迫害などによって「追い出された人々」のようなニュアンスで「難民」を表すのに使い(センチュリー)、DP と略すこともある(ジーニアス)。ただしジーニアスによれば、災害などの批判民でも displace person を使う例もあるとのこと(ジーニアス)。

ともかく、 displaced person 「難民」である。

動詞 displace は多義語であり、「取って代わる」(=replace に近い)とか「(国や家などから)追い出す」とか、「通常の位置から動かす」などの意味がある。

物理学の力学における、基準位置からの「変位」が英語で displacement である(ジーニアスで確認)。そのほか、displacement には「置き換え」や「解雇」の意味もある(旺文社、ジーニアス)。


なお、refuge (レフュージ)というスペルの少し違った単語があり、末尾のeが1つだけな refuge だが、この refuge は「避難」「保護」「避難所」の意味である(旺文社のみ紹介)。いちおう辞書にはあるが、桐原も東京書籍も紹介していない単語。


他にも「避難所」については shelter という単語もあり、これも単語集(4500語レベル)にある。いわゆる「シェルター」のことである。東京書籍4500いわく、洪水からの避難の避難所でも shelter と呼んでよい。

桐原および旺文社いわく、雨宿りのための一時的な住居も shelter である。さらに桐原たちの紹介する熟語で take shelter で、「雨宿りのために避難する」である。

shelterの語源はジーニアスによると、「盾を重なり合わせ身を固めた一団」とのこと。

盾(シールド)的な意味がニュアンスがあるので、屋根つきの建物を盾に見立てて雨風を防ぐという発想なのだろう。

なお、「屋根」は英語で roof である。「屋根」 roof の複数形は roofs である。rooves(×)ではないので注意。

日本語で「シェルター」というと、なんだか虐待や家庭内暴力から逃れるための避難所か、あるいは戦争から逃れる避難所みたいなニュアンスだが、一応そういうのもsheleter と言いそうだが、しかしshelter はもっと幅広い意味である。

ジーニアスによると、防空壕を an air-raid shelter というとのこと(単語集には当然ない)。センチュリーによると、「子供を保護する」をgive the child shelter というとのこと(なおセンチュリーの例文中では過去形)。

旺文社1900が紹介しているが、「衣食住」のことを "food, clothing and shelter" といい、通例ではこの語順である(つまり語順は変えてはいけない)。(ジーニアスおよびセンチュリーで確認)


haven にも「避難所」の意味があり、センチュリーとジーニアスと旺文社に書いてある。だがセンチュリーに例文が少なく1個だけだし、ジーニアスに至っては例文なし。また東京書籍と桐原の単語集には記載が無い。

「タックスヘイブン」「租税回避地」 a tax haven が有名である。旺文社がタックスヘイブンを紹介している。ジーニアスおよびセンチュリーでは tax の項目で探すと tax haven が見つかる。

なおタックスヘイブンとは、税金がとても安い国または税のとても低い地域などのことで、外国企業の誘致のために税金を非常に安くしている国などのこと。

念のため指摘するが、「天国」「楽園」の heaven (ヘブン)とは別の単語(桐原3000レベル)。

なお、「減税」は平易に tax cut で通じる引用エラー: <ref> タグに対応する </ref> タグが不足しています

日本ではよく、米英では「man」が差別的だと言うが、しかし上述のAP通信の記事のように実際はそう単純ではないらしい。


さて、動詞 engage の話題。

旺文社にしかないが、センチュリーいわく、弁護士など専門職を一時的に雇う場合は engage を使う場合もある。 engage a lawyer で弁護士を雇う。

桐原4500や東京書籍4500などの単語集にあるのは、 be engaged in ~ で「~に従事する」である。

典型的な例文が「ボランティアに従事している」 be engaged in volunteer activities.

である。

volunteer は、ボランティア活動をする人のこと。ボランティア活動そのものを言いたい場合は volunteer activities となる。

そもそも、 volunteer はもともと「志願者」とかそういう意味なので(桐原4500でも volunteer に「志願者」の意味が書いてある)、volunteer はもともと、軍事用語で、「志願兵」「義勇兵」の意味だった。

よって、 福祉の意味での volunteer そのものは、「ボランティア活動をする人」のことになるのも当然である。


他にも、軍事用語に由来する英単語は多い。

recruit リクルートが、もともと軍隊の「新兵」の意味だった。

なお、現代では recruit は「新人」「新入生」「新入社員」などの意味である(東京書籍4500巻末)。

recruit には、動詞として「募集する」の用法もある(鉄緑、旺文社1900)。


さて、「~と婚約している」は be engaged to ~ である。

さて、難民を発生させた理由が侵略やらその他の国際法違反行為なら当事国には経済制裁がされることがあるが、「経済制裁」は economic sanction である(桐原4500、鉄緑)。 sanction で「制裁」の意味。東京書籍と旺文社1900にはsanctionは無い。


impose sanctions on ~(国名など) 「~に制裁を加える」(桐原の例文、鉄緑)。

impose で、罰金・税金などを「課す」の意味。だから impose a fine で「罰金を課す」である(東京書籍4500)。桐原に例文があるが、 impose ~(罰金・税金など) on ・・・(人や課税対象)で「・・・に~を課す」である。

辞書や難単語集などで、よくある例文は

impose sanction on ~(国名)で「~に経済制裁を課す」(キクタン1級、グランドセンチュリー on の代わりに against)

である。

キクタン1級は、「制裁を解除する」は lift sanction で言えるとしているが、しかし辞書では確認できなかった(ジーニアス、グランドセンチュリー)。


なお、単語集は数研リープにしかないが、スペルの似ているサンクチュアリ sanctuary (もとは「聖域」の意味)は、現代でも「自然保護区」「禁猟区」等の意味で使われている。開隆堂(教科書会社の一つ)の高校英語の検定教科書に、中華人民共和国のパンダ保護区 panda sanctuary という単語が載ってた[12]

数研リープでは sanctuary は「禁猟区」の和訳(数研リープ preserve)。


鉄緑いわく、制裁 sanction の語源も「神聖」とかの意味があるとの説(鉄緑)。ただし、辞書では確認できなかった。

なお、背景として、sanction とは法令の規定にのっとって制定された「制裁」のこと。辞書を見ると、sanction には、行政当局などの「認可」などの意味もある(速読英単語・上、)。


sanctionの基本的な意味は名詞形「制裁」だが、実は動詞「制裁する」も同じスペル sanction (制裁する)である。ジーニアス英和辞典で確認できる。桐原5500を見ても動詞までは書いてないが、実はスペルが同じままで動詞にもなる。

なお、スペルの-tionな似た現象として、旺文社1400(緑本)に書いてあるが、condition (名詞「条件」、動詞「条件付ける」)とかposition(名詞「位置」、動詞「位置を定める」・「置く」)など、一見すると名詞な単語にも実は動詞の用法のある場合もある。ただし単語集を見ても例文まではないので、そんなに気にしなくてもいいだろう。

「置く」ついでに言うと、動詞 locate にも「置く」の意味がある。なお、名詞形は location 「場所」である。このように、語尾が -tion だからって何でもかんでも動詞の意味があるわけでもない。熟語 be locate in ~で「~に位置している」(旺文社1400、桐原3000)、「~にある」(東京書籍4500)。

受験範囲外だが、Windows のファイルの位置(" C:\Users\ユーザー名\Downloads " みたいなアレ)が英語で location である。(英語版windows11 の、ファイルのプロパティ property メニューで確認できる)


なお、経済危機は the economics crisis である。食糧危機は the food crisis である(東京書籍4500に経済・食料の両方。旺文社1400に経済危機のみ紹介)。


ルワンダ虐殺とか、歴史的に名前が残っている事件の「虐殺」は genocide が普通であろう。検定教科書でもルワンダの虐殺について genocide という表記を行っている[13]

genocide の-cide は「殺すこと」のような意味です。たとえば「自殺」は名詞 suicide です(東京書籍)。

commit suicide 「自殺する」

です(東京書籍、旺文社)。

自殺やら犯罪やらをする場合の動詞は、 commit です。

また、自殺未遂は、「試みる」の意味の単語 attempt をもちいて、

attempt suicide 「自殺を試みる」(=自殺未遂をした)

のように言います(旺文社、)。


なお、軍隊などが「撤退する」「撤退させる」のは withdraw である。「撤退」は名詞 withdrawal である。(東京書籍4500)

東京書籍4500に、「将軍は兵士に撤退を命じた」 This general command soldiers to withdraw.

という文章がある。語法 command A(相手) to B(動作) で「AにBするように命じる」の意味である(東京書籍4500、旺文社1400)。

なお、攻撃の命令なら command ~ to attack the enemy である(旺文社1400)。

(※範囲外 :)なお、企業の「市場撤退する」は単に動詞 exit で通じる。

retreat 「撤退する」「撤回する」「(田舎などに)引きこもる」という動詞もある(東京書籍4500巻末、旺文社1900)。桐原4500・5500は retreat を紹介していない。


make a retreat 「退却する」(グランドセンチュリー、)

動詞形も retreat 「退却する」

retreat into the country 「田舎に引っ込んで暮らす」(旺文社1900、グランドセンチュリーだと「田舎に隠遁(いんとん)する」、)、


force the enemy to retreat 「敵軍を退却させる」(グランドセンチュリー、旺文社・鉄緑も force the army to retreat)

retreat to one's hometown 「故郷に引きこもる」(東京書籍4500、ジーニアス)


ほか recede 「後退する」という語があるが(旺文社1900でrecession「不況」の派生語に書いてある)、しかし辞書で recede を見ても、「洪水が引く」とか「潮が引く」みたいな例文しかなく、軍隊の後退に使えるかどうかは不明。

「景気後退」とは recession のこと。

それよりも、concede 「譲歩する」が、否定形でよく、「テロリストの要求には譲歩しない」みたいな用途で使える。

concede は、「不本意ながら認める」・「しぶしぶ認める」(鉄緑)こと。

よくある例文は、間違いを認める系の例文で、

I conceded that I am wrong. 「自分が間違っていると認める」(ジーニアス、速読英単語・上だと she )


範囲外かもしれないが、

concede defeat 「しぶしぶ敗北を認める」(ジーニアス)、「負けを認める」(キクタン1級)

という表現もよく見る。


名詞形 concession 「妥協」「譲歩」

make a concession 「譲歩する」


よく、否定の語をともない

make no concessions とか refuse to make any concessions 「いかなる譲歩もしない」(鉄緑、キクタン1級、パス単1級)

みたいに使われる。

cede は、「進む」の意味。やや飛躍があるが、「一緒に(con)進む(cede)」→「譲歩する」みたいな。


特に不本意ではなく、単に「妥協する」だけなら compromise である(旺文社1900)。

旺文社1900で、compromise を見ていたら、たまたま cease (シース)「やめる」があった。

これも戦争で使える単語。戦争でよくある cease 系の語は ceasefire 「停戦」である。cease-fire とハイフンが入る場合もある(東京書籍4500)。


commandにはその他、動詞としてなら「言語を自由に操る」、名詞としてなら「言語を自由に操る能力」という意味もあり、桐原4500にその意味での例文もある。(なお桐原3000では、「警官が彼に停止を命じた」という例文で The policeman commanded him to stop. という例文がある。)

withdrawの話に戻れば、預金を引き出すのも withdraw である。(桐原4500、旺文社1900)

典型的な例文は

「彼は銀行から2万円を引き出した。」 He withdrew 20,000 yen from the bank.

である(桐原、旺文社、ジーニアス英和、センチュリー英和、に類似の例文)。

なお活用は withdraw - withdrew - withdrawn

である。

旺文社によると、ATMからの抽出にも withdraw は使えるとのことで、(旺文社)、

「彼はATMから2万円を引き出した。」 He withdrew 20,000 yen from ATM.

である(旺文社に類似の例文)。ただし辞書を見たが、ジーニアス英和とセンチュリー英和ではATMの例文は確認できなかった。


「預金する」および「預金」は deposit である。(桐原4500 および東京書籍 4500、鉄緑)。

ほか、より平易な言い方で、put money in a bank 「銀行に預金する」というのもあります(旺文社1900 discourage)。

なお、「定期預金」は fixed deposit です(Z会TOEIC対策本 core 1900)。fixed deposit は高校の範囲外ですが、せっかく「預金」 deposit まで高校で習うのですから、ついでに定期預金も覚えましょう。

(※ 範囲外: )なお、海外のホテルに宿泊しようとすると、フロントでの最初のチャックイン(check in[14])のときに一定の金額を保証金としてホテルに預けなければならないホテルも多いのだが、その保証金のことも deposit と言う[15]。なお、ホテルの宿泊だけでなく飛行機の搭乗手続きのこともチェックイン check inという[16]


deposit には、住宅購入の頭金(あたまきん)や、選挙の供託金(きょうたくきん)など、各種の「保証金」の意味もあります(旺文社1900、Z速読英単語・上級編)。ただし、鉄緑会は紹介してないので、たぶん入試には出ないのだと思います。子供は住宅を買えないし。イギリスでは住宅価格が高騰してて、若者が住宅の頭金を払えなくなってきて、住宅を買いづらくなってきているらしいです(動画)BBC JAPAN『【イギリス総選挙2024】 保守党政権で住宅問題が悪化、首相認める BBCインタビューで』, 0:40 あたり。 save for the deposit で「(住宅購入などの)頭金を貯める」の意味っぽいです。イギリスのスナク首相が言ってました。

範囲外ですが、銀行預金に限らない、一般的な「貯蓄」「貯金」は savings です。savings と複数形になります。

東京書籍3000・桐原3000だと、save money 「お金を貯めている」としています。数研リープだと save money「貯金する」です。日本人ならこれで十分でしょう。進行形で be saving money としても構いません(東京書籍3000)。


save は「節約する」という意味があります。

語源ではないですが、暗記としては「お金を節約する」→「お金を貯める」のように連想すると覚えやすいでしょう。


パソコンなどの、ファイルのセーブ save も、同じ単語です(ジーニアス)。

「お金をとっておく」と考えると、「ファイルをとっておく」みたいに考えると辻褄(つじつま)が合いますが(ジーニアス)、そこまでしなくても現代ではそのままセーブで覚えれば大丈夫でしょう。なお、どうしても和訳したい場合、「(ファイルを)保存する」といった訳が定番です。Windowsの『メモ帳』アプリも、save は「保存」になっています。

なお、バックアップ back up とは(パス単・淳1級)、ディスクなどにコピーをすることです(グランドセンチュリー)。正確には、不慮の事故(故障やデータの紛失や破損など)にそなえて、パソコン本体へのデータ保存に加えて、さらに外付けハードディスクや外付けUSMメモリなどにデータを複製する事がバックアップです。


save time 「時間を節約する」(旺文社1400、東京書籍3000)です。


save の対義語は「浪費する」waste です。

waste money 「無駄づかいする」(鉄緑)


save には「救出する」の意味があります。日本でも、海でおぼれている人を救出する人をライフセーバーと言います。

save a child 「子供を助ける」(東京書籍3000、ジーニアス)

鉄緑・ジーニアスによると、「守る」の意味が、save の本来の意味とのことです。


すこし前に、ホテルのチェックインの話をしたが、ホテルのフロントは front desk である(ジーニアス和英「フロント」)。


位置的に「前の」 front

時間的に「前の」before

中学レベルの復習だが、

front 「(位置的に)前の」「正面の」の意味。

ここでいう「前の」は、あくまで位置だけの「前」。

つまり、front には、時間的に「前」の意味は無い(辞書で確認)。

時間的に「前の」「前に」を言いたい場合は before を使うことになる。


余談だが、front には、違法行為などの「隠れミノ」という意味もある(グランドセンチュリー)。

日本語の話だが、犯罪組織が、それを隠して企業を経営している場合があり、日本語でそのような企業を「フロント企業」という。能力段が、資金の獲得のため、企業を経営しているのである。

表向き(フロント)の顔は、単なる「企業」なので「フロント」なのだろうが、実は英語の front には隠れミノという意味もあり、ダブル・ミーニングになっている。命名者がそこまで考えたかどうかは知らない。


攻撃の aggressive, offensive

積極的な aggressive, positive

「攻撃」だの「撤退」だのの話のついでに話すが、アグレッシブ aggressive という形容詞があり、日本ではよく「積極的な」と言われるが、しかし「攻撃的な」という意味もある。つまり米英人は、「攻撃的」と「積極的」とを区別していない。aggressive の「攻撃的な」の意味のほうも、普通に桐原や東京書籍の単語集に書いてある。

offensive は、単語集では「不快な」の意味しか書いてない単語集も多いが(東京書籍)、しかし桐原4500や辞書を見れば「攻撃の」という意味もある(桐原4500, ジーニアス)。攻撃の意味での offensive の対義語は defensive 「防衛の」である(速読英単語・上、ジーニアス)。

名詞 offense は「攻撃」。 対義語は「防御」 defense である。

offense は、戦争の「攻撃」にも使える。旺文社だと、スポーツの「攻撃」しか書いてないが、もちろんスポーツ以外にも使える。


動詞 offend は「気分を害する」「不快にする」の意味である。

be offended by ~ 「~に腹を立てる」(旺文社1900、東京書籍4500)

の意味である。

He was offended by ~ 「彼は~に腹を立てた」


offe4nse は、法律などに「違反する」の意味もある。

これは、範囲外だが offender 「違反者」「犯罪者」を覚えると良いだろう。


positive にも「積極的な」の意味があります(受験研究社)。中学英語です。


司法の用語で defendant 「被告」を知っていると(鉄緑)、ついつい「 offender は原告かな?」と思ってしまうが、そうではない。


ほか、銀行の話をすると、日本語の「休眠口座」は、英語 a dormant account 「休眠口座」の直訳です(ピナクル)。動物の「冬眠」を英語で dormant と言います(グランドセンチュリー、ジーニアス)。

「休火山」も a dormant volcano です(ジーニアス、グランドセンチュリー、ピナクル)。

というか、日本語で言う「休眠」は、けっして単に休んで寝ているだけではなく、冬眠のように永い眠りのことを「休眠」といっている事も多い。それこそ「休眠口座」や「休火山」みたいに。

なお、「活火山」は an active volcano である(キクタン1級、グランドセンチュリー)。

「死火山」an extinct volcano という語もあるが、最近は「死火山」は使わない。「もう二度と噴火しないだろう」と思って死火山だと思った山が噴火した事例があるので、そう言わなくなった。


学生寮(がくせいりょう)など、「寮」を英語で dormitory というのも、「休眠」dormitory の派生語だからというのが、ピナクルの見解。

なお、鉄緑でも 単語 rarely で dormitory を紹介。


貸し借り

無料で借りる borrow, use

(もの・お金を)貸す lend

部屋を賃借りする rent

お金を借りる owe

借金 debt

貸付金 loan


東京書籍によると、「レンタカーを借りる」が hire a car である。

しかし、rent も「賃借りする」と言う意味の英語である。東京書籍によれば、rent a car で「車を賃借りする」である。

rent はお金を通すので、だから和製英語だが、レンタルビデオは、rent のほうのスペルなのである。このように、各種の「レンタル店」は rental のほうである。


典型的な例文としては、

(アパート・マンションなどの)「一部屋を賃借りする」 rent an apartment

である(旺文社1900およびジーニアス)。apartment は、日本語でいうアパートの一室、またはマンションの一室である(ジーニアスで確認)。


また、とくにアパートなどの部屋の賃借りをすることを rent と言う。また「家賃」も同じスペルで rent である。

典型的な例文は、

「家賃を払う」 pay a(またはthe) rent

である(東京書籍4500を若干改変、およびジーニアス)。


ややこしいが、 lend は「貸す」 である。なお、東京書籍によれば、lend は 無料で「貸す」 の意味。

「お金を貸してください」もlendであり、東京書籍4500によれば

Will you lend me a money? 「お金を少し貸してください」

である。

桐原3000によれば、

Could you lend me $5 until tomorrow? 「明日までに5ドル貸してください。」

である。


なお、ペンを借りたり、移動できるものを「借りる」のは borrow である。東京書籍によれば、さらに、無料で借りるのが borrow である。

車を借りる場合でも、無料で借りるなら borrow だと、東京書籍1900は言っている。

lend ⇔ borrow のように対義語をセットで覚えよう(旺文社1400がセットで紹介)。


トイレのように設置してあって移動できないものを「借りる」場合は、 use である(桐原3000、東京書籍4500)。つまり、「トイレを使わせてもらう」的な言い回しを英米人はしている。

東京書籍1900だと、「電話」をuseで借りる例文がある。たぶん、トイレを英語でどういうかの説明が面倒だったのだろう。


しかし、実際には、短時間なら、持ち運びできるものでも use で無料で借りることも表現できる。桐原の検定教科書『EMPOWER ENGLISH EXPRESSION II』のP26に、辞書を借りるさいに

May I use your dictionary for a while? 「少しの間、辞書を借りてもいいですか。」

という表現がある。常識的に、まさか金を払って借りるわけではないだろう。

長期間借りるなら borrow のほうが適切かもしれないが、少し借りるくらいなら、とりあえず use で十分だろう。


旺文社では1900でなく旺文社1400にrentが書いてある。


owe は「お金を借りる」である。典型的な例文が、「私は兄から(または「友達から」)10ドルを借りている」である(センチュリーと東京書籍に、ほぼ同じ例文)。桐原とセンチュリーは友達から借りている。東京書籍が兄から借りている。

ともかく典型の例文は、

「私は兄からお金を借りている。」 I owe my brother 10 dollars.

である。語順を変えて、

「私は兄からお金を借りている。」 I owe 10 dollars to my brother.

としてもいい。

owe で借りる行為に、利子がつくかどうかは、特に決まっていない。


owe には、恩義を負っているという意味での(誰かに対し)「借りがある」という意味もある。

「負う」とowe の発音が似ているので、ついついこれをもとに暗記したくなるが、しかしまずは「お金を借りる」から暗記したほうがいい。

典型的な例文が「私が成功したのはあなたのおかげだ」である。(ジーニアスそのまま。旺文社に「彼のおかげだ」という例文あり)

「私が成功したのはあなたのおかげだ」I owe my success to you.

である。この意味の場合、I owe you my success (×)としてはならないとジーニアスは述べている。

IOU で「借用証書」の意味であり、そのままアイオーユーと読み、"I owe you"とのダジャレになっている(旺文社でも紹介)。

たとえば50ドルの借用証書の場合、

IOU $50

のように書く(センチュリーに同じ例文。ジーニアスにも金額の単位が違うが似た例文あり)。なお辞書でIOUを探す際は、oweの項目ではなく、「I」の段で「IOU」を探せば掲載されている。


loan は「貸付金」である。

だが、「公債」のように、一般人が借しつける立場になる機械のないものでも、loan という(ジーニアスで確認)。あるいは、センチュリーは「公債」を a public loan というと言っている。

また、ジーニアスいわく「銀行の貸付」は bank loan である。


ジーニアスいわく apply for a loan で「貸付けに申し込む」である。

要するに「借りる」わけだが、英語では「貸付に申し込む」みたいな言い方もする。

apply でなく ask でもいい。センチュリーがaskを使っている。

Hal asked for a loan of $5,000. 「ハルは5000千ドルの貸付けを申し込んだ。」

である(センチュリーの例文そのまま引用)。

借金を「返す」のは pay back である(旺文社およびセンチュリー)。

pay back a loan. 「借金を返済する。」

である。

銀行で金を借りる場合は、loan が適切だろう。

公債については、ジーニアスで確認したところ debt もloan も「公債」である。


debt の借金を返す場合は、旺文社およびセンチュリーいわく 「借金を完済する」pay off one's debt である、とのこと。ただし、これはあくまで完済した場合だけである。

完済ではなく、単に「借金を返す」と言いたい場合、ジーニアスおよびセンチュリーを見ると、「借金を返す」は get out of debt であると言っている。

なお東京書籍いわく、「借金をする」は get into debt であるとのこと。ジーニアスは、get 以下略のほか go into debt でもよいと言っている。


「私は銀行に30万円の借金がある。」 I am 300,000 yen in debt to the bank.

である。

be in debt で「借金がある」という意味である。借金の金額も言いたい場合、上述のように、be と in の間に金額が入る。

debt には「恩義がある」という意味もある。だが単語集に例文はない。

indebted という形容詞があり、「借金をしている」「恩義がある」という意味である(借金の意味だけ、旺文社でも紹介)。だがジーニアスいわく、普通は be in debt を使うとのこと。


position(位置) と possession(所有)

名詞 position は「位置」「場所」や体の「姿勢」(東京書籍3000)や「地位」(桐原4500)の意味。動詞としてのposition は「位置を定める」の意味(旺文社1400)。

発音の似た単語で名詞 possession (発音は「ポゼッション」)があるが、意味は「所有」である。動詞形possess は「所有する」の意味。名詞形 position や動詞 possess (発音「ポゼス」)にも、まったく位置や場所などの意味は無い。possessは「所有する」の意味。



位地 position, location

立場・地位 place, position


position には「地位」や「立場」などの意味もあるが、本セクションでは深入りしない。なお、location には、テレビ撮影などでの「野外撮影」の意味もある(ジー二アス)。なお、positionは桐原3000や東京書籍3000にある3000語レベルの単語。locationは東京書籍4500語および桐原3000。

本セクションでは、場所的な「位置」での、position (ポジション)と location (ロケーション)のニュアンスの違いに、正面から分析を挑もう。


まず、location は、地図的な位置のことであろう。動詞locate だが、東京書籍4500も桐原3000も、locate の例文は、地図に関する例文である。

別に世界地図でなくとも町内の地図でもいいが、そういう地図にかかれるような位置は、location で表すのが無難だろう。


単語集にはないが、実際、IT分野などでは、たとえば携帯電話などのGPS位置情報などの「位置」は、英語では location という単語が使われている。

辞書にはないが、 geolocation (ジオ・ロケーション)という「地理的位置」とでも訳せるような単語が既に英語にはある。


逆に、たとえば(座席などで座る)「椅子(いす)の位置」だとか、そういうのは position で表すのが無難であろう。旺文社1200のposition の例文が、テーブルで座る(イスの)位置の例文である。

東京書籍3000は、position は「(相対的な)位置・場所」だと説明している。この解釈なら、「立場」「地位」などの用法も覚えやすいだろう。

position は相対位置なので、だから東京書籍は、「私の位置からでは聞こえない」というような英文を書くときは、position を使うことを進めている(例文は著作権に配慮して省略。買ってあげよう)。


placeにも立場の意味があるが、これはよく仮定法で

In your place, I would ~ 「あなたの立場だったら(、~するのに)」

とかで使われる。

If I were in your place, I would ~

と省略せずに書かれる場合もある。

詳しくは、辞書や文法参考書などを参照せよ。



回避

avoid , evade


センチュリーevadeにある説明では、escape は「危険から脱する」、avoidは「危険に近寄らない」 のニュアンス。

東京書籍3000にavoid the danger (危険を避ける)という典型的な文、東京書籍4500にavoid the mistake (過ちを避ける)という例文がある。


なおevadeはescapeおよびavoidの両方のニュアンスを持つ。


義務から逃れることをevadeという。税金の支払いなど、evadeの例文で典型的。


一方、avoidは、悪いことやいやなことを「避ける」の意味。avoidは 「議論を避ける」とか(東京4500)、「悪友との付き合いを避ける」(センチュリー英和)ぐらいでも使われる。

ただし、どうやらavoidには、向かってくるものを「回避する」ほどの強い意味合いはないようだ。

語法として avoid ~ing で、「~することを避ける」の意味(旺文社1400、東京書籍4500)。動名詞を使う。旺文社1400でも指摘されてるが、不定詞は使わない。


その他、shun(シャン)という単語があって、「人前に出ることを避ける」shun the publicity (旺文社1900)とか「人付き合いを避ける」shun the society (センチュリー)などの意味だが、単語集では旺文社1900にしか書いてない。ジーニアス英和に単語だけあるが例文すら買いてない(センチュリーには英文あった。桐原4500と5500および東京書籍4500には単語は無し。

shun the media's spotlight で「メディアのスポットライトを避ける」 などの熟語が旺文社1900にはある。



「達成」と「到着」

  • 達成

achieve, accomplish と attain と reach , fulfill

アチーブ、アテイン、リーチ

業績 achievement

偉業 feat


  • 目的・目標

目標 purpose, aim, target

目的地 destination


achieveは(目標などを)「達成する」。

achieve the objective (東京書籍4500)または achieve the goal (桐原3000、旺文社1400)で「目標を達成する」。

名詞 achievement には、「達成」の意味のほかにも、「業績」(東京書籍4500。旺文社1400のmodestの項目)や「成績」(旺文社1400)の意味もある。

なお、「偉業」feat という受験英語もある(旺文社1900、鉄緑)。桐原4500と東京書籍4500のfeatには例文が無く、よく分からなかった。偉業とは文字通り、とてもすごい業績のことである。


achieve と accomplish は類義語である(東京書籍、グランドセンチュリー、桐原)

accomplish も、目標を「達成する」という意味。

accomplish の語幹 comp 「満たす」は、「完成」complete の comp 「満たす」と同じ(グランドセンチュリー、鉄緑)。

ほか、accomplish には仕事を「成し遂げる」という用法もあり、

accomplish the task 「仕事を成し遂げる」(ジーニアス、東京書籍を改変)


なお、ジーニアスはこの2つの用法を分けていない。


attainは(目標などを)「達成する」だが、並の人には到達不可能な目標を達成した場合によくattainが使われる用例もあるが(ジーニアス)、べつに並の人でも達成できる目標にattainを用いても構わない。

たとえば東京書籍4500 に「彼はオリンピックのメダルを獲るという目標を達成した」 He attained his goal of winning an Olympic medal. とあるのは、並の人には到達不可能な目標に用いられる例だろう。

一方、センチュリー英和にある例文「父は80歳の高齢に達した」My father has attained the advance age of eighty. のような、一般人でも達成できるattainもある。

なお、別に年齢のattainでは現在完了形を使う必要はなく、たとえばジーニアス英和では「彼女は77歳に達した。」She attained the age of seventy-seven. である、


reach は「手が届く」の意味と、ほか(場所などに)「到着する」。

reachは多義的なので目標的な意味でもreachが使われるが(英和辞典にそう書いてある. 東京書籍3000にも書いてある)、しかし attain のほうが「目標達成」のニュアンスが強い。

※ 高校生としては、目標達成には attain を覚えたい


  • 出発と到着

出発する leave , depart

到着 arrive


arriveは場所に「到着する」。

「到着の予定」は be due to arrive である(東京書籍4500. 旺文社1900)。


due は「予定」の意味の名詞。桐原の単語集に至っては、dueの意味紹介で「(人・乗り物などが)到着する予定で」とすら紹介している。

いちおう、東京書籍および旺文社では、 be due to 〜(動詞) が「〜の予定である」と紹介しており、その例文として乗り物の到着の例文を出している。


なので、ともかく due to arrive 「到着の予定」というふうにセットで覚えよう。


典型的な例文が

The train due to arrive at 6 pm .

のような例文である。train(電車)の代わりにplane(飛行機)だったりする場合もある。

桐原4500によれば、to arrive を省略しても通じるらしい。つまり、

The train due at 6 pm .

でも通じる。

なお「省略する」は英語で omit (オミット)という(旺文社1900巻末)。


さて、due の話に戻る。スペルが同じだが、前置詞的に due to で、「〜が理由で」の意味がある。because of とほぼ同じ。

桐原4500にある例文「彼女は病気のため休んだ。」で、「病気のため」の部分が due to illness である。全文は単語集を買って読んで。辞書にあまり例文が無い。


その他、due には、給料などが「支払われるべき」という意味もあるが、平易な例文が少ない。東京書籍4500に例文ある。


reachにも「到着する」の意味があるが、他の意味もあるので、専門的な会話などでは避けたほうが安全。実際、桐原4500を見ても、目標の段階到達の意味は書いてない。それが書いてあるのは東京書籍3000だけ。 


つまり、

attain 目標達成する

arrive (場所に)到着する

reach 手が届く

のように使い分けるのが安全だろう。


fulfill は、義務・約束などを「果たす」(桐原、鉄緑)という意味だったり夢などを「実現させる」(旺文社)という意味だが、語源は文字通り、満杯(full)になるまで満たす(fill)のような意味。


fulfill one's promise 「約束を果たす」(東京書籍およびグランドセンチュリーおよびジーニアスをともに改変)

fulfill one's duty 「義務を果たす」(ジーニアスおよびグランドセンチュリーをともに改変)


名詞形 fulfillment は「達成」「遂行」「実現」の意味(桐原、ジーニアス、鉄緑)や、「充足感」の意味(グランドセンチュリー、旺文社)。東京書籍は名詞形を紹介せず。


「実現させる」という意味での fulfill は、realize が類義語である(ジーニアス)。


さて、目的地は destination です(桐原4500、旺文社1400)。

arrive at the destination 「目的地に到着する」です(旺文社1200)。

「arrive at ~(地点)」で「~(地点)に到着する」です。東京書籍3000によると、町・駅など比較的に狭い場所に到着するときはarrive at ~ です。

「arrive in ~(地域)」で「~(地域)に到着する」です。東京書籍3000によると、大都市・国など比較的に広い場所に到着するときはarrive in ~ です。たとえば arrive in New York 「ニューヨークに到着する」という例文があります(英語例文は東京書籍3000より。日本語はwikiに合うように言い換え)。


なお、「出発する」は動詞 depart または動詞 leave [17]です。

leave ⇔ arrive

とセットで覚えましょう。


depart 「出発する」という語もあります。

こちらを対義語とする場合もあります(東京書籍、)。公共の交通機関からの出発について、depart をよく使うことがあります(高校受験・関・難関高校)。

単語集では飛行機の出発の例文が多いが、別にバス(桐原4500)や電車(数研リープ)であっても良い。


depart ⇔ arrive

名詞形は

departure 「出発」

です。

名詞形で、対義語動詞を書けば


departure ⇔ arrival

です。

なお、買い物の「デパート」の名詞は、 department store です。

空港の「出発ロビー」 the department lobby (鉄緑、数研リープ a department lobby)


前置詞などについては、arrive などと、ほぼ同様である。具体的には下記、


時刻は

depart at ~時刻


出発予定時刻は

be due to depart at ~時刻   (桐原)4500


出発地は

depart from ~出発地


目的地は

depart for ~目的地


出発地と目的地を合わせるなら

depart from ~出発地 for ~目的地


の語順です。


  • 目標

purpose, aim, target

「目標」は、まずはpurposeで覚えるべきである。

aim (エイム)は銃などで「狙う」という意味の動詞だが、名詞としてはaimは「目標」の意味にもなる。

aim to ~(動詞) で「~しようと目指す」のような意味。

target はアーチェリーなどの「的」(まと)の意味の名詞だが、派生的な意味で「目標」の意味にもなる。また、動詞でtargetは「目標を定める」の意味にもなる(センチュリーで確認)。

旺文社1900およびセンチュリーによれば、「的に当てる」 hit the target である。

よく外来語で「ターゲット」と聞くが、なんと東京書籍と桐原の単語集にはターゲットは書いてない。(旺文社1900には書いてある。)


さんざん上述でreachだのachieveだのの話をしたが、ジーニアスに「目標を達成する」は reach a target または achieve a target だと書いてある。


一見すると aim は銃などの狙いなので攻撃的な雰囲気がありそうだが、しかしジーニアスで確認すると target にも攻撃目標の意味があるので、違いが不明瞭である。

ジーニアスによれば、「広告ターゲット」の客層のことは target audience という。



修理する

repair と fix

リペア、フィックス


固定する fix , fasten , anchor(※範囲外)


repair のほうが硬い表現であり(東京書籍4500)、そのためか、大型または複雑なものの修理に使われる(桐原3000)。

ただし、あまり境界は明確ではなく、たとえば東京書籍では TVの修理が repair なのに car の修理がfixだったり。実際は自動車の「修理」なんて修理工場とかが必要で凄く難しいが。

桐原3000では、腕時計 watch の修理が repairだった。


実用英語としてはズレるが、高校生はまずrepair で覚えるのが安全だろう。


fixは多義語であり、設備などの設置のために「固定する」の意味もあるので、誤解されるおそれがある。ただし、実際はよく使うが。

地面にテントを「固定する」とか、それまでテントの無かった場所に、テントを設置するために固定している場合などに、 fix を使う。

なお、「テントを立てる」(=テントの設置をする)は、set up the tent でも言える。


ほか、壁に絵を固定する場合も、もとは、カベに絵は無かったので、fix で「固定する」になる。

グランドセンチュリーの訳は、「固定する」ではなく「据え付ける」「取り付ける」という訳である。


グランドセンチュリーでは、考え・制度などを「固定化する」「定着させる」という用法を紹介している。


「固定為替相場」a fixed exchange rate (数研リープ)


fasten だと、シートベルトで体を「固定する」とか(桐原3000、ジーニアス)、そういう意味になる。ほか、クギ、のり、ひも、錠(じょう)などで「固定する」のが fasten である。

飛行機の機内アナウンスで

please fasten one's seat belt. 「シートベルトをお締めください」(鉄緑、桐原3000)


洋服のfastenr ファスナーもある。

ジッパー zipper やチャック Chuck などは元は登録商標らしく、あまり深入りしなくて良いだろう。


fasten で「注視する」「見続ける」などの意味もある。日本語の「目が釘付け」とは、やや意味が違う。


なお、船の錨(いかり)を名詞 anchor というが、これには動詞 anchor で(物理的に)「固定する」の意味もあるが、単語集に書いてないので入試には出ない。センチュリー英和には、「本棚を固定する」という例文で anchor が使われていた。fixだと紛らわしい場合にはanchorをどうぞ。


なお、mend は衣服や靴などを「修繕する」。

mendには、行儀などを直す、改心する、などの意味もあり、

諺(ことわざ) It is never too late to mend. 「行いを改めるのに遅すぎることはない」[18]

というのもある。


なお、「ことわざ」は英語で名詞 proverb (プラバーブ)である。

決まり文句として、

as the proverb say 「ことわざの言う通り」

という言い回しがある(東京書籍4500、ジーニアス、センチュリー)。

なお、単語集proverbにある ことわざ は、

「行動は言葉よりも雄弁である」 "Action speak louder than words. " (旺文社1900)

「ローマは一日にしてならず」 "Rome was not built in a day." (東京書籍4500)

である。

なお桐原は、日本の「出る釘(杭)は打たれる。」を紹介。


ほか、IT用語で、バグを直す場合は fix を使う。Bug fix などと言う。

なぜ fix なのかと言われても、知らない。ともかくIT業界ではそういう。


※ 範囲外

bug fix, debug

日本のIT用語では、バグフィックスは、バグを直した修正版のことを言う場合もある[19]

debug は、バグを直すこと。


支配や統治

支配する dominate , control, rule

統治する govern


一般的に国や地域を「治める」ことを表す場合は、govern を使うのが無難(鉄緑)。govern は中立的な意味合いで使われるので(ジーニアス)、善政とかにも使うことができる(グランドセンチュリーの例文)。

いっぽう、rule「支配する」は、専制的な意味合いを含むことが多い(ジーニアス govern および rule、鉄緑)。


govern を「支配する」「統治する」と訳しても構わない(旺文社)。

なお、govern の目的語に来るのは、国や地域などの場所を目的語にすることもできるし、人や行動を目的語にすることもできる(グランドセンチュリー)。

govern には、「管理する」とか「取り締まる」とかの意味もある(桐原「管理する」、グランドセンチュリー)。


dominate が、統治的な意味で「支配する」とか(桐原4500)、力(ちから)などで「支配する」(東京書籍4500)。


ただし、単に「統治する」なら govern でもいいわけで。

ジーニアスを見ると、たとえば「大国が近隣の小国を支配する」のように、大国に実権が握られているような状況を dominate で表現している例文がある。

dominate は、こういう風な、「統治してるわけじゃないけど支配を握っている」ような場合にも使える。

dominate には日本語で言う「牛耳る」(ぎゅうじる)のようなニュアンスがある(ジーニアスが和訳の一つとして「牛耳る」を紹介)と考えると、分かりやすいかもしれない。ただし、口語的なニュアンスは dominate には特に無い。

ほか、グランドセンチュリーでは、(歴史上の帝国主義の時代に)「白人がアフリカを支配した」のような例文もあり、このような、明確な君主制などの支配とは少し違う「支配する」のような場合も、dominate を使える。別にアフリカ現地の白人は、君主や国王ではないので。


語源は domain (ドメイン)「領地を支配する」なので(ジーニアス)、語源からは統治のような意味だが、しかし実際の使われ方は統治とは限らない。

だから、株式市場などで「(一流銘柄が)優位を占める」みたいな用法にも dominate は使える(ジーニアス)。

なお、市場の独占は monopoly (モノポリー)「独占」 である(旺文社、桐原巻末で単語のみ)。

範囲外だが、「寡占」はネット検索では oligopoly であるが、辞書で見つからなかった。

なお、オリゴ糖とかいうときのoligo と同じスペル。なお、このオリゴ糖(oligosaccharide)も辞書で見つからない。なお、オリゴ糖には明確な定義が無く、多糖類の事を指す場合が多いが、高校化学ではオリゴ糖は習わないのは一般。だが、実は「生物」科目のほうで、少しだけ習う場合がある(w:高等学校生物/生物I/細胞の構造とはたらき)。

ネット検索の英語での検索だと、モノポリーの説明でも domination を使うし(「一つの企業が市場を支配する(dominate)事」みたいな説明)、オリゴポリーの説明でも domination を使うし(「少数の企業が市場を支配する事」)、つまり広い意味の市場の支配が domination である。


関連語で、形容詞でドミナント dominant 「優勢な」「支配的な」がある(桐原、東京書籍「支配的な」のみ)。


日本語の「優勢」だと、支配力がそれほど絶対的には大きくないような印象もあるが、しかし英語では、支配力が大きいぶんには dominate を使えるので、独占的な状況も寡占的な状況も dominate で良い。

「牛耳っている」と見なされる実態があれば、dominate で良い。

さて、生物学でいうメンデルの遺伝法則の優性・劣性の「優性な」が英語で dominant である。なお、2020年代からは和訳が「顕性」に変わったが。英語は dominant のままである。

なお、dominant は名詞の用法もあり、「優性」と訳していい(ジーニアス)。いっぽう、グランドセンチュリーには、名詞の用法の紹介が無い。なお、メンデル法則の「劣性」は recessive である。英語の発音に近づけた和訳だろう。


日本語の「優勢」に近づけて「優性」という訳にしているが、実はもうひとつ dominate には、「結果に著しく影響する」という用法もあり(ジーニアス)、メンデル法則に近いのは、こっちの用法のほうである。

たとえばグランドセンチュリー「その贈収賄事件が選挙を左右した」で dominate を使っている。

したがって、名詞形 domination も、「支配」「優勢」などの意味である(旺文社、桐原)。

なお、東京書籍に domination の意味は無い。

predominant 「支配的な」という単語があって、鉄緑と速読英単語・上が紹介している。だが、単語集には例文が無い。鉄緑にはdominantの例文があるのにpredominantが無い。おそらく「dominant で十分」だと考えてか、predominantの掲載を拒否しているのだろう。

いちおう、英検か何かに predominant が出るから、とりあえず単語だけ紹介していると思われる。

速読英単語・上には、副詞 predominantly 「たいていは」がある。だが、mostly (mostの副詞形)とか mainly (mainの副詞形)とかで十分だろう。

predominant color 「目立つ色」という慣用的な表現がある(ジーニアス、グランドセンチュリー)。速読英単語・上がpredominantの意味のひとつで「目立つ」と書いてあるのは、こういう事情も。


一方、control には、(ドミナント的な)そういう統治やチカラ的なニュアンスはないだろう。controlを「支配する」と紹介する単語集もあるが(東京書籍1800)、どちらかというとcontrolは「制御する」だろう。

和英辞典(ジーニアス)で「制御する」を調べても control しか書いてない。

また、ジーニアス和英で「操作する」を調べても、controlはない。「コントロール」を操作の意味で使うのは、どうやら和製英語のようだ。

動詞としての rule 「(国を)支配する」は、封建君主や独裁者などが専制的に国を「支配する」というニュアンスがある(鉄緑、ジーニアス rule)。

東京書籍4500にもrule「支配する」は書いてあるのだが、類義語との使い分けについては書いてない。

A sovereign reigns but does not rule. 「(王は)君臨すれども統治せず」

近現代のイギリスのような立憲君主制を表すとされる言葉である。

なお、受験範囲外だが sovereign(サブリン) は「君主」「元首」の意味(グランドセンチュリー)。さらに覚えておきたい語として、語義から離れるが、sovereign state 「主権国家」も重要語なので覚えたい。国際政治の場で、使う語である[20]


supreme 「至高の」(桐原4500)「最高位の」(東京書籍4500巻末)、的な意味が語源かもしれない。

君主はその国の最高位の地位ですから。

supreme は高校英語なので、ついでに覚えよう。

「(米国の)最高裁判所」the supreme court (旺文社、グランドセンチュリー「米国の」あり)

ただし、米国の最高裁判所は、国のほかにも州にもあり、日本とは違う(ジーニアス)。

なお、日本の最高裁判所も、英語表記では Supreme Court of Japan を名乗っている[21]

reign (レイン)「君臨する」には「支配する」という用法もあるが(ジーニアス)、ここでは支配権をもたずに「君臨する」という意味で使われている。グランドセンチュリーでは、「支配する」は紹介せず、国王に使う用法については「君臨する」の意味しか紹介していない。


名詞としては reign は「統治」とよく訳される。

辞書では、「ヴィクトリア女王の統治「」がよくある。


Queen Victoria's reign 「「ヴィクトリア女王の統治」(グランドセンチュリー)

reign of Queen Victoria 「ビクトリア女王の治世」(ジーニアス)


スポーツで王者(タイトル保持者)が君臨するのも reign である(旺文社)。


英語では government は、国の中央政府だけでなく、「地方自治体」も government で表現する(東京書籍、Z速読上級)。特に「地方自治体」であることを強調する場合は local government のように言う(Z速読上級、旺文社熟語1000巻末)。

※ 愛知県立大学の過去問で、local government 「地方自治体」という語句をふくむ英文が出題されている(旺文社熟語1000 「 keep ~ at bay 」)。国公立志望でも覚えざるを得ない。


なお、「地方自治」は local autonomy で言える(鉄緑、キクタン1級、)。なお、autonomy だけでも「自治」「自治権」「自治体」「(個人の自立)」「自主性」の意味がある(旺文社1900「(個人の)自律」あり、鉄緑「自主性」あり)。

辞書を見ても autonomy の例文が無い(グランドセンチュリー、ジーニアス)。

形容詞 autonomous 「自治の」「自治権のある」「自立した」(辞書、鉄緑「自立した」あり)、・「自主的な」(旺文社1900)

辞書をみても autonomous の例文がろくに無いので、深入りを避ける。


範囲外だが、パス単1級が言っているんだが、self-government「地方自治」という、より平易な表現がある(パス単1級「autonomy」)。もっともJICA(青年海外協力隊)によると、self-government と autonomy はニュアンスが違うらしい[22]

日本人には手に負えないので、とりあえず self-government という語があるとだけ知っておけば十分だろう。


anatomy「解剖学」、astronomy「天文学」というふうに -nomy は学問の場合もあるが、しかし必ずしも -nomy が学問とは限らない例のひとつが autonomy 「自治」である。

欧米人は、日本人が地方自体というものを、いわば「地方政府」というように解釈していると考えると、覚えやすいだろう。

governor は「知事」(桐原、東京書籍、鉄緑、旺文社)。米国の州知事も governor である(Z速読上級)。

mayor は「市長」。(鉄緑、旺文社 govern)


範囲外だが、municipality (ミューニシパリティ)「(市町村などの)地方自治体」という語がある。米英では、州政府あたりと、市町村とを区別する。

なんと、数研リープに、municipal 「市(町)の」が、「市長」mayor の参考の語としてある。

市長と市町をかけたダジャレだろうか? それとも、mayor と municipal を語源的に関係があるとの考えだろうか。


なお、英米では、村長も市長も区別せずに mayor で言う。どうしても村であることを強調したい場合は、 the village mayor 「村長」と言っても良い(数研リープ)。


virtue 「美徳」という単語で、キリスト教の力天使も virtue という名だという雑学を披露する当wikiだが、

キリスト教の権天使・プリンシパリティ Principality も知ってると、ついでに地方自治体 municipality も覚えられて一石二鳥。


数研リープが

municipal administration 「市行政」(数研リープ「administration」)

と紹介している。

だが辞書を見ると、

municipal government 「市行政」(ジーニアス「市政」、グランドセンチュリー「市行政」)

と、administration ではなく government の例文しかない。


なお、数研リープに、「トランプ政権」 the Trump administration とあるのだが、

項目「fortune」 で

「不動産で一財産を作る」

「トランプで彼の運勢を占う」

と例文があるので、これはもしかしたら不動産王だったトランプ元・大統領になぞらえて fortune を暗記しやすくしようという配慮なのでは。

w:フォーチュン (雑誌) というビジネス雑誌もありますし。


管理

management と controlと in charge of

経営管理や(単語集にはないが)遺産管理などがmanagement である。

単語集にはないが、品質管理などはcontrolである。(quality control、QC)である。


単語集には manage を単に「経営する」とだけ書いてあるが、今後の応用などを考えると「経営管理する」と覚えるほうが良いだろう。

動詞 manage to do で、「なんとか~をやりとげる」という意味があり、桐原3000や東京書籍3000にこの熟語が書いてある。

manage で「経営管理する」→「やりとげる」だと意味を連想しやすい。一方、「管理する」→「やりとげる」だと、やや飛躍があるだろう。


ついでに、動詞 cope with が「うまく処理する」という意味があり、似たような使われ方をする。

典型的な例文が、

cope with the problem 「問題を処理する」

である(東京書籍4500、旺文社1900)。

その他、handle にも、問題を「処理する」の意味がある。(handle については、別の機会にほかの用法ごと意味を勉強したほうが効率的だと思うので、当セクションでは解説を省略。)


「品質管理」について、日本語では「管理」と言っているが、しかし under control で「制御下で」という用法があることを考えると、推測だが、どちらかというと、QC には「生産工程を正しく制御することで、すぐれた品質を維持する」的なニュアンスが英語QCにはありそう。

QCは管理自体は目的ではなくて、品質の維持が目的なので。

なにかを維持したりするのは、日本語では「制御」という訳を当てることが多い。もっとも、もう「品質管理」で訳語が広まってしまったので、どうしようもないが。


形容詞のような使いかたで in charge of ~ 「~を管理して」という熟語がある。(旺文社・熟語1000)

「~を預かっている」→「~を管理している」のようなニュアンスだろう。

たとえば The person who is in charge of repairs is Mr. Smith. で、「~を管理しているのはスミス氏だ」のような意味。なお、センチュリー英和と旺文社熟語1000を組み合わせた例文。

manager だと支配人と誤解されかねないし、そういう場合に who is in charge of ~ という表現は便利そうである。

なお、動詞「管理する」「担当する」はtake charge of ~ である(旺文社 熟語1000)。


administration に「管理」という意味もある。

だが、これは現代では、ネットのサーバー管理者やその他のシステム管理者のことを「アドミニストレーター」 administrator と言ったりして用いるので、よく目にかかるだろう(単語集にはない)。ジー二アス英和 administrator には、きちんとコンピュータ用語で「管理者」の意味だと書いてある。

administration には、「政権」という意味もあり、たとえば「ケネディ政権」the Kennedy administration とか(東京書籍)、トランプ政権 the Trump Administration とか(旺文社、数研リープ)、のように使う。

「政権」administration はやや覚えづらいかもしれないが、

「大臣」minister と関連付けて覚えよう。

日本の場合、首相が内閣総理大臣だし、まあ、分かりやすいだろう。

もっとも、アメリカの場合は大統領制なので、国家トップは大臣ではないが。


なお、語源的な事を言うと、おそらく minister は、ラテン語のミニステル「召使い(めしつかい)」minister が語源。

もともと召使いという意味なので、なので、キリスト教のどこかの宗派では、ヨーロッパのどこかの国では、牧師のことを「神の召使いの意味」なのか minister ミニストルと言ったり。[23]

manager でいうと「経営者か?」と誤解されないが、ある人が何らかの管理の権限が与えられている場合など、administration などで言い換えると良いだろう。

東京書籍4500では administration は巻末送りである。あまり高校教育的に良い題材にしづらいのだろうか。だが、「政権」も「サーバー管理者」も、大学進学を目指すなら知っておきたい単語であろう。


遺産

estate, heritage, legacy, inheritance


引継ぎ

財産を受け継 inherit(インヘリット)

仕事(の内容)を引き継ぐ take over


本質的な intrinsic ,inherent(インヘレント)

本質 nature

自然の・ふだんのままの natural

estate (エステート)が、親からの財産などの相続的な「遺産」。

後継者 heir ,successor

相続人 heir


「相続人」heir (エア)は、空気 air と同音。

the heir to the ~(財産)

のように使う。


たとえば父の財産を相億したなら、

the heir to one's father's fortune 「父の財産の相続人」

のようになる。

heir には、地位や能力などの「後継者」の意味もある。

the heir to the throne 「王位継承者」(速読英単語・上、ジーニアス)

successor にも「後継者」の意味がある。ただし successor は、財産の相続の意味では、使わないのが基本であり、少なくとも辞書では財産の用法は確認できなかった(ジーニアス)。

the successor to the throne 「王位継承者」(グランドセンチュリー)

みんな王位継承が大好き。

successor は、「後任(者)」のような意味もある(東京書籍、速読英単語・上)、なお「前任」は predecessor である(旺文社1900)。

首相の後任とか(グランドセンチュリー)、議長の後任とか(ジーニアス)、教授の後任とか(グランドセンチュリー)、successor を使う。


なので、動詞 succeed にも、「成功する」の意味のほかにも、「受け継ぐ」という意味もある(東京書籍、)。

succeed to the throne 「王位を継ぐ」(ジーニアス)

のようにも言える。

語源は、suc は sub「次に」がなまったもので、「次に」+ceed「行く」という意味で、「次に行く」→「後継ぎ」という意味。

むしろ、「受け継ぐ」意味のほうが語源に近い。また、むしろ、なぜこれが「成功する」の意味なのかのほうが、分かりづらい。


もともと、succeed または success は「結果」という意味だったらしく、良い結果(成功)にも悪い結果(失敗)にも使っていたらしい[24]。それが、私大に良い結果だけを表すようになったとのこと。

なお、「失敗」は failure である。


成功 success

失敗 failure


成功する succeed

失敗する fail


である。


なお、別に王位とかの地位でなくとも、企業の社長を succeed で継いでもいい(東京書籍、)


heritage (ヘリティッジ)は後世に残すにふさわしい文化的な「伝統」などの意味での「遺産」(旺文社1900、センチュリー)。ただし、heritage にも親からの「遺産」という意味もある(センチュリー)。

「世界遺産」は World Heritage である(桐原3000、旺文社1900)。世界遺産はヘリティッジ冒頭のHが大文字。

東京書籍3000・4500は heritage を紹介せず。

heritage は発音注意。後半はテージではなくティッジ。

なお、生物の「遺伝」heredity は別の単語。

Mendel's law of heredity 「メンデルの遺伝の法則」(数研リープ)

(範囲外)形容詞 hereditary は「ヘレデテリー」と読む。発音しづらい。「遺伝病」は a hereditary disease である(ピナクル、キクタン1級)。


inherit は、親などから、財産や資質などを「受け継ぐ」の意味。

inherit (インへリット)は、単語集では「相続する」で書いてあり(桐原)、辞書にもそうあるが(ジー二アス)、しかし「継ぐ」「引き継ぐ」「受け継ぐ」で覚えたほうがよいだろう。(「継承」と訳すと固すぎて、日本語の訳には合わない。)

性格などが「親譲り」という用法もあり、

I inherit my kindness from my mother. 「私の親切心は母親譲りだ」(ジーニアス、東京書籍などを参考)

のようにも使える。


財産を相続する場合も

I inherited million dollar from my father. 「父から100万ドルを相続した」(グランドセンチュリーほぼそのまま、桐原を参考)

のように使う。

inherit A(相続物) from B(親など)

の語順。


仕事を受け継ぐのは、take over である(旺文社熟語1000)。

take over his job 「彼の仕事を引き継ぐ」

のように使う。

なお、take over には、他にも、担当者の不在などの間に仕事を引き受ける、などの意味もある。

範囲外だが、名詞形 takeover だと、「引き継ぎ」「(会社の)経営権取得」「乗っ取り」などの意味になる(グランドセンチュリー)。


いっぽう、仕事の方面で inherit だと、意味は、前任者から地位や方針などを「受け継ぐ」という意味にある(ジー二アス、センチュリー)。



財産の「相続する」の例文については、典型的なのは、

(桐原、センチュリー)「財産を相続する」inherit a fortune

(ジー二アス、東京書籍)「財産を相続する」inherit a property

である。

She inherited a fortune from her father. 「彼女は父から財産を受け継いだ。」

のように使う。

単語集には、inherit には、親から性格・体質などを「受け継ぐ」の意味があると書いてある(東京・桐原)。

名詞形は inheritance (インヘリタンス)であり、「相続」「遺産」「遺伝」などの意味である(桐原)。

「相続税」を inheritance tax という。だから、inherit を「相続する」と訳すのも間違いではない。


日本人は「受け継ぐ」と「相続する」を別々の言い回しとして区別しているが、英米人はそうではない、というのが理解の本質である。


inheritance には生物学などの「遺伝」の意味もある(桐原4500)。桐原4500にも「遺伝」の意味は書いてあるし、普通に高校英語である。科学英語だからって「入試に出ない」とか早合点しないこと。

実際に生物学では普通に使われている表現であり、たとえば生物学などで「遺伝」の分野の英文を読んでいると、しばしば inheritance という英文も見かける。en:w:Mendelian inheritance (英語版 wiki「メンデル遺伝」(直訳) )など。


(※ 範囲外 : )ほか、単語集にも辞書には無い範囲外の話題だが、プログラミング用語で「継承」 inheritance という概念があり、( w:継承 (プログラミング) )

親(parent)的なデータ集合のモジュールから、子(child)的なデータのモジュールにデータを継承させる設定などで「継承」 inheritance は使う用語である。(※大学の情報工学レベルの内容なので、高校生は暗記しなくていい。また、工業高校でも、ここまでは習わない。)


本質的な intrinsic ,inherent(インヘレント)

intrinsic 「本来 備わっている(そなわっている)」「固有の」「本質的な」という単語がある(ジーニアス、鉄緑、速読英単語・上)。(inherit インヘ「リット」ではなく)よくinherent(インヘレント) が intrinsic の類義語だと単語集でも書かれている(鉄緑、キクタン1級)。

intrinsic value 「本質的な価値」(鉄緑、キクタン1級)、「固有の価値」(速読英単語・上)

辞書を見たが例文が少なく、よく分からなかった。

「自然」nature にも「本質」「本性」「天性」という意味がある。


her nature 「彼女の性分」(東京書籍4500)のように使う。

the nature of the problem「問題の本質」(ジーニアス)

このように、非生物にも使える。

nature の本来の意味は「持って生まれたもの」(グランドセンチュリー)、「生まれつき持っているもの」(ジーニアス)という意味である。

だから、人間に使えば、その人の生まれつきの気質になるし、非生物の物事につかえば、その物事の「本質」のようになる。

生まれた時から現在まで持ち続けている物だから、けっして一時の状態ではなく、「本質」というわけだ。


単語集では、「生まれつき」と「自然」の意味を一緒に語られる事も多いが、なかなか意味の乖離が大きい。


by nature 「生まれつき」(鉄緑、東京書籍)

である。

human nature 「人間の本性」(旺文社1400)「人間の性質(人間性)」(鉄緑、グランドセンチュリー、ジーニアス)


ただし、形容詞 natural には、「本質的な」のような意味は無い。

natural には「自然の・人の手を加えていない」「ふだんのままの・気取らない」などの意味がある。


日本語でも「もっと自然な感じでヨロシク」とか言うが、まあ英語の nature が元ネタ。


さて、遺産・財産の話に戻る。

legacy (レガシー)は、比喩的意味の「遺産」としても用いられる(旺文社1900)。

だから「負の遺産」とか言う場合も、

negative legacy 「負の遺産」(パス単準1級)

のように言える。

なお、旺文社1900では、プラスチック汚染という(負の)「遺産」を legacy を使った語句で表現している。


比喩ではなく本来の遺産の意味でも legacy を用いることができるし、プラスの意味でも使える(鉄緑)。「古代ギリシア人の遺産」で legacy を使ってもいい(鉄緑)。


主に(不動産ではなく)動産の相続物を legacy という事が多い。heritage は基本的には不動産を言うことが多い(グランドセンチュリー)。inheritance は、動産、不動産の両方を含む(グランドセンチュリー)。

なお、inheritance は、生物の「遺伝」にも使うことができる(速読英単語・上)。


ほか、「先祖伝来のもの」「伝承物」のことも legacy という。

legacy の原義は、「遺言によって譲られる財産」である。だが受験英語では、その用法で用いられる例が少ない。

実用においても、この原義の暗記は、教育的な意義が見出しづらい。


そもそも東京書籍4500にも桐原4500にも legacy の記載は無い。教育的な意義が見出しづらいのだろう。

inheritance のほうが動産・不動産の両方に使えて便利だし。inheritance は生物の「遺伝」にも使える。限られた教育時間での優先順位は inheritance のほうが高い。


legacy には「名残り(なごり)」という意味もあるが、単語集では速読英単語・上しか紹介していない。「大英帝国の名残り」という文。


※ 対義語

メジャーとマイナー

major と minor

major は「主要な」。minorは「重要ではない」。

2つ以上のもののうち大きいほうがメジャーmajor、比較的に小さいほうがマイナー miner 。

高校では bigger とかlargerとか論外だし、そっちは紹介すらしていない。 なお、big と large の違いとして、文英堂インスパイアは形容詞の単元で、bigは『最も口語的で、主観の入ることが多い。』としており、larger は『(largeは)「広い」「数量が多い」の意味。客観的表現。』としている。

「多数派」が majority マジョリティ。

なお「多数決」は a majority vote である(東京書籍4500 でvoteの項目に書いてある)。vote とは名詞形では「投票」とか「票」の意味であり、同じスペルで動詞の意味の場合もあり動詞なら「投票する」の意味。

派生的に major には「重要な」という important に近い用法もあるが、上述のような違いがある。

「圧倒的多数」は an overwhelming majority である(東京書籍4500。旺文社1900)。

単語集にはないが、ジーニアス英和には「圧倒的多数」は a sweeping majority of votes だと書いてある。

sweep は、掃除のホウキなどでゴミを「掃く」(はく)の意味だが(旺文社1900にはこの例文が書いてある)、ほかには敵などを「一掃する」などの意味もあるが(旺文社のに書いてある)。一見すると単語集にはないが派生的な意味として票や人気などを「かっさらう」の意味もある。実は東京書籍4500巻末の Plague 「ペスト」に、

The plague wept through Europe. 「ペストがヨーロッパ中に蔓延した。」

という例文がある。swept はsweepの過去形・過去分詞形。

あと、試合や勝負などで「圧勝する」の意味もある。


検定教科書では、三省堂CROWN III に sweep が書いてあった[25]。環境問題の単元で。

「圧倒する」overwhelm は、勝負事のほかにも、「美しい景色に圧倒された」のような使い方もして良く、旺文社1900の例文がそうである。センチュリー英和の例文でも、交響曲が「感動的」をoverwhelming としているのがある。

ジーニアスによると、感動だけでなく苦しみや困惑でも overwhelm を使うこともあるようだが、wikiで紹介するには例文が不足しているので、紹介しない事にする。

大学などで特定の学問分野を「専攻する」ことを米語(アメリカ英語)で major といい、普通は major in ~で「~を専攻する。」

典型的な例文が

He majored in economics. 「彼は経済学を専攻している。」

問題は場所の前置詞である。


He majored in economics in university. 「彼は大学で経済学を専攻している。」

だと、inがいくつもあって読みづらい。(東京書籍4500は気にせずin ・・・ in college と並べている)

He majored in economics at university.

のように、atが好まれる場合もある。(センチュリー英和が at university としている。)


イギリス英語だと、専攻はread だったりstudy だったりするが、まあ同音意義語が多くて分かりづらい。なるほど、米国英語 major が必要とされたわけである。

旺文社1900には specialized が紹介されているが、しかしspecialized は大学院以上での「研究する」に用いるのが本来だとジーニアスは述べている。


主要な

chief ,principal, main, primary


第1位の primary , prime

原理と公理

原理 principle,

「自明の理」、(※ 範囲外)公理 axiom


まず、chief は組織の「長」という意味の名詞である。

だが、それ以外の意味として、形容詞として、「主要な」という意味がある。

たとえば、「主要な都市」だとか「主な理由」とかで chief が使われる。

この「主な」という用法では、chief は main とほぼ同じである。


形容詞 principal という「主要な」を意味する単語がある。

それとは別に、名詞の「原則」principle という別の単語もある。(ただし、語源は同じで、princip-が「第一の」という意味。)

また、発音も同じで、つまり principal の発音と、principle の発音は同じで、両方とも「プリンセプル」と発音する。旺文社1900が同音だと紹介している。


principalの語源は「第一の」であるが、しかし「主要な」の意味する対象は唯一のものでなくとも構わない。

ジーニアスの例文で、「ヨーロッパの主要都市」 the principal cities of Europe という単語がある。

このように、複数個ある「主要都市」に principal を用いても良い。

東京書籍にある「主な原因」principal reason とか、またはセンチュリーにある principal cause は、別に理由が一個だけとは限っていないだろう(教材では特に言及はされていない)。


principal は名詞としては「校長」の意味である。

ジーニアスおよびセンチュリーいわく、「会長」を principal という場合もある。

ジーニアスいわく「社長」にも principal が使えるらしいが、しかし「社長」は、 president で十分だろう。

principalには「元金」という意味もある。利子に対する元金のこと。旺文社で、元金が紹介されている。


primary (プライマリー)は「第一の」という意味の形容詞。

イギリス英語では a primary school で「小学校」である。なお、アメリカ英語では「小学校」は elementary school である(ジーニアス和英「小学校」)。


高校生みんなが習ってるはずの例をあげると、地震の「P波」(なお、縦波)が primary wave の略。最初に到達する地震波だから、そのまま primary wave と名付けている。

次に来る「S波」(なお、横波)も、単に secondary wave の略。


「主な目的」と同じ意味で「第一の目的」 a primary purpose という言い回しもあるので、「主な」とも訳される場合もあるが(東京書籍3000)、しかし primary の意味は「第一の」で先に覚えるのが安全だろう。

小学校を「主な学校」と覚えるのは、飛躍をしすぎている。よくある典型的な例文は

a primary concern 「第一の関心ごと」

である(ジーニアス「最も心配しているのは」、桐原「第一の関心事」)。


ほか、米国の「予備選挙」を a primary election という(桐原4500、ジーニアス)。


さて、よく似た関連の別単語 prime (プライム)の話。

今の単語集にはあまり書いてないが、昔はよく「総理大臣」は英語で the prime minister (ザ・プライム・ミニスター)だと高校で習ったものである。いちおう、東京書籍の例文中に「総理大臣」the prime minister がある。桐原には書いてない。

なお、「大臣」は英語で minister である。


いま話しているのは、primary ではなくprimeである。

違いは、ニュアンス的に

primary は単に「順番が第一の」 の意味でも使われる。

一方、prime は、総理大臣のように、やや固い言い回しであることくらいか。

prime の語源はもともと、カトリックの日課の「最初の」礼拝のこと(ジーニアスで確認)。 prime はこういう意味なので、単に一番目であるだけでなく、さらに重要性の高いものに使われるというニュアンスがある。

形容詞を単独で覚えるのではなく、primary concern とか prime minister とか、名詞とセットで覚えよう。


axiom (アクシオム)を「原理」と紹介している単語集もある(速読英単語・上、ピナクル)。

数学では、幾何学の5つの「公理」(こうり)のように、証明できない前提のことを「公理」 axiom と呼んでいる。

  1. 任意の点から任意の点へ、ただ一つの直線を引くことができる。
  2. 線分を直線に延長することができる。
  3. 任意の点を中心として、任意の半径で円を描くことができる。
  4. すべての直角は等しい。
  5. もし1つの直線が2直線に交わり、同じ側の内角の和を2直角より小さくするならば,この2直線を限りなく延長させると2 直角より小さい角のある側で交わる。

[26][27]

上記の5つの公理は、証明できない。証明が不可能であることが、別の方法によって証明されている(詳しくは非ユークリッド幾何学やリーマン幾何学の話になるが、大学理系の数学科の専門レベルなので、高度に専門的ならめ、説明を省略する)。

5番目の公理は、読んでて理解できないなら、無視していい。近代の数学者も5番目の公理がややこしいと思ったようで、なので「もしかして5番目の公理は、4番目までの公理を組み合わせて証明できるのでは?」と思って研究してきた。

で、ある数学者のボヤイとかロバチェフスキーとかが、「背理法をつかって、仮に5番目の公理が間違っているとして、すると矛盾が出てくるはずだから、これで5番目は公理でないと証明できるはずだ」みたいな事を考えたら、矛盾が出てこずに、新しい幾何学の体系そのものを発見してしまった。これが非ユークリッド幾何学の発見の歴史である。


ともかく、数学における axiom 「公理」はこのように証明できない。

だからか、速読英単語・上およびピナクルでも、axiom 「原理」「自明の理」というふうに、「自明の理」(じめいのり)を付け加えている。

「自明」とは、「いちいち説明しなくても当然のように明らかな」という意味。

数学の場合、「明らかに」とか言う説明のいくつかが、実は証明がクソ難しかったりするが、その話はまた別の機会に。

「公理」という和訳は範囲外だが。数学参考書で、たしか平成初期の数研出版の赤チャートには、幾何学の「公理」の語も載ってたはずだし、まあエリート高校生の教養。


(※ 範囲外)なお、「定理」(ていり)は英語で theorem (セオレム)である(ピナクル)。

定理とは、「三平方の定理」とか「抽選連結定理」のように、公理から論証していって証明できるヤツを「定理」という。

なお、三平方の定理は英語では「ピタゴラスの定理」Pythagorean theorem という。「三平方」は日本独特の言い方。

定理を「証明する」の動詞は prove が一般的である。定理の「証明」の名詞は proof


数学の話のついでに言うと、

prime 「第一の」には、別の意味で「素数の」という用法もある。

prime number 「素数」である(数研リープ)。


ほか、

「実数」real number

「複素数」complex number

「虚数」imaginary number

である。

指導要領の改訂による高校カリキュラム改訂があるので、いまの高校で複素数を何年生で習うかどうか知らないが、wiki著者は知っているので、知ったことではない。

いまどき「複素数」や「虚数」なんて、SFロボットアニメとかでも出てくるんだから、知っておいてくれ。





「深刻な」

serious と severe

日本語になっているシリアスとシビアと同じような使い分け。


ともに「深刻な」の意味があるが(東京書籍3000にそういう用例あり)、

シビアのほうは、マジメに考えるべきという意味で「深刻な」。

severe のほうは、苦痛などがひどいという意味で「深刻な」。

だが、あまり境界は明瞭ではなく、桐原3000では severe economic problem のように「深刻な経済問題」という用法もある一方、東京書籍で serious damage 「深刻なダメージ」という用法もある。

※ 東京書籍には悪いが、高校生の段階では、とりあえず severe のほうだけを「被害で深刻な」と覚えておいて、serious の被害的な用法は例外的だと思うほうが安全だろうか。


なので、serious は(「深刻な」ではなく)とりあえず「(問題などが)重大な」と覚えるほうが良いだろう。

もっとも、そう覚えると今度は important「重要な」との区別が難しくなる。

なので、serious は「(まじめに考えるべき、問題などが)重大な」で覚えるのが良いだろう。東京書籍3000 でも、serious を「(問題などが)重大な」と説明してある。


上述のように「重大な」「重要な」「主要な」など漢字が一文字変わるだけで意味が変わるので、ここらヘンは注意が必要である。



「能力」

ability と capability, faculty, capacity,

潜在能力 potential、capacity

「才能」 talent、gift, genius,


危険 danger, risk, hazard


まず、形容詞 able は「~できる」の形容詞。

形容詞 capable は「~の能力がある(※ 東京書籍4500)」「(人や組織が)有用な」の形容詞。組織の有能は桐原4500、人の有能は東京書籍4500。


なお、構文では「be able to 原形動詞」 と 「be capable ~ing」の違いがある。


問題は、ability と capability の違いがある。

桐原3000がabiity を「能力」と訳し、桐原4500および東京書籍 4500 が capability を「能力」と訳し、ともに「能力」である。


※ これはもう、capability のほうが格調が高くて高尚な表現だと思うしかない。


なお、国家の「戦闘能力」のことも capability といい、ジーニアス英和辞典にそう書いてあるし、よく海外の軍事ニュースとかで聞く。

辞書(三省堂センチュリー)を見ていたらcapabilityに「力量」がある、という表現があった。 ジーニアス辞典だとcapability に「手腕がある」。


高校の単語集では capable を「有能な」と訳しているが、上述のような力量・手腕なニュアンスがあると見るのが良いだろう。

構文「be able to 原形動詞」 と 「be capable ~ing」の違いについても、capableが手腕や力量を評価していると考えれば、普通は過去の実績にもとづいて手腕を評価するだろうから、capable ~ing のように後続が動名詞である事も納得理解しやすいだろう。


桐原 3000 およびセンチュリー辞典によると「able」は人のみを主語とする、桐原3000ではcapable は人も無生物も主語とするとあるが、しかしジーニアス英和辞典ではそのような説明は確認できなかった。

ableが人のみを主語としているなどは、あくまで傾向・経験則に過ぎない。


なお、本来なら can より be able to のほうが文語体に近い。なのでbe able to は高尚なはずである。

しかし、上には上がいて、さらに be capable ~ing という、上級な表現がある。

キャパシティ capacity 「収容力」にも「潜在能力」という意味がある。これは頭を容器に見立てて、そこから派生的に、知識や技術などを頭に受け入れる能力があるという使われ方である。(ジーニアス)

ただし入試としては、旺文社1400でしか例文では「能力」の意味を紹介していない。、

現在の能力だけではなく、将来の予想される能力も含めて capacity が使われる。

She has a remarkable capacity for learning languages. 「彼女には語学の才がある。」(ジーニアス)

Children has the capacity to acquire foreign language easily. 「子供は外国語を容易に習得する能力がある。」(旺文社1400)

のように、語学などで使われる例文をよく見かける。


劇場などの建物の、観客の収容能力も capacity である。(東京書籍4500、桐原3500)


seating capacity で、劇場などの「収容能力」(ジーニアス、東京書籍4500)。基本的には seating capacity とは「座席数」である(東京書籍、グランドセンチュリー)。

The theater has a seating capacity of 600. 「その劇場は600名の座席数がある」(東京書籍、グランドセンチュリーをもとに作成)


ほか、建物だけでなく、容器などの「容量」も capacity である(東京書籍、ジーニアス、センチュリー)。

電気工学で、コンデンサーなどの電気容量のことをcapacitance(キャパシタンス) という(ジーニアス)。高校の専門「物理」でキャパシタンスを習う。


potential も「潜在能力のある」「可能性のある」という意味である。

ビジネスなどで「潜在顧客」 a potential customers である(東京書籍、旺文社1900)。潜在顧客とは、将来的な顧客になる可能性のある人たちのこと。

人の能力のほかにも、事件・事故などが未来に起きる可能性があることも potential を使う。(「未来に起きる」条件はジーニアス情報)


a potential risk 「潜在的な危険性」(東京書籍4500、旺文社1900)

※ 旺文社いわく a potential danger 「潜在的危険」でも良いとのこと。あまり聞かない表現だが、「潜在的危険」という用語もあり、防災教育などで厚労省が使っている。

a potential disaster 「起こりうる大災害」(グランドセンチュリー)


hazard という単語があって、偶然性んお高い「危険」を意味する(ジーニアス)。

danger と hazard の区別を問われると、キツイ。

辞書を見ても、hazard map「ハザードマップ」が無い。なお、ハザードマップとは、地図の一種であり、水害や地震など災害などの被害になる可能性の高い場所を、それぞれの災害ごとに示した地図。

「冬の登山は危険がともなう」のように、それ自体は有害でないが、危険のあるものを言うとき、hazard を使うことがある(グランドセンチュリーの例文。なお、特に用法の明言はしていない)。

単語集およびジーニアスの hazard には「危険要素」とあるが、では危険要素とは何かの説明が無い。

ネット検索しても、「危険因子」(risk factor)などの語が出てきて、区別が難しい。

というか、グランドセンチュリーは堂々と risk と hazard は類義語だと言っている。

リスク risk と「潜在的な危険」とハザード hazard の区別を問われるとキツイ。

単語集によくある例文は、タバコや喫煙の危険性で hazard を使う例文である(東京書籍4500巻末、鉄緑、旺文社1900)

a hazard to health で「健康を害するもの」(グランドセンチュリー、鉄緑)

ほか、peril という類義語があるが、鉄緑しか紹介してないので省略。


さて、物理学で、「位置エネルギー」や「電位」などをまとめた概念として potential という概念を大学物理の力学で習う。


talent は「生まれつきの才能」という名詞である。

genius は、生まれつきでなくても構わない、「才能」という名詞である。

べつに英語のような5教科の才能でなくても、音楽の才能などでも genius を使ってよい。(東京書籍、)


また、才能そのものではなく、その才能を持っている人を指して「天才」というのにも genius は使われる(東京書籍)。

芸術方面に限らなくても talent は使われるが、しかし実際には芸術・スポーツ方面で使われることが比較的に多い(ジーニアス)。


そのためか、「数学」など学問の才能については faculty を使うことが多い(ジーニアス、桐原)。

ほか、大学の「学部」「教授陣」も faculty である(桐原4500、東京書籍4500)。


桐原4500いわく、faculty は ability の類義語。使い分けは難しい。

なお、gift のほうが、(talentよりも)さらに生まれつきである事を強調している「才能」である。

グランドセンチュリーいわく、実際には talent は、訓練などで伸ばすことのできる才能にも使われる。


あまり論理的な使い分けではないので、高校生としては気にしなくていいだろう(米英人の慣習に過ぎないし、芸能分野の慣習でしかない)。

なお、芸能人のことを「タレント」というのは和製。英語では a TV personality とか celebrity 等と言う。


「語学の才能」 talent for languages (東京書籍、グランドセンチュリー)

He has a great talent for languages. 「彼には素晴らしい言語の才能がある」(東京書籍、グランドセンチュリーを組みわせた例文(東京書籍のShe をグランドセンチュリーのHe に変えただけ))

なお、talent for ~ で「~の才能」(東京書籍、グランドセンチュリー)

桐原3000および旺文社1400は、capacityの形容詞形が capable という見解。いっぽう、東京書籍4500は capacity と capable を類義語と見なしているが、派生形という立場はとっていない。


talent が芸能分野に使われるから、数学では faculty を使うといっても、「語学の才能」には talent for languages とtalentを使うし、大学には語学の学部・学科のある学校だってあるわけで、使い分けはあまり論理的ではない。しょせん英語は暗記科目。


「力量」

長所 merit, virtue, advantage

~の理由によって by virtue of ~, because of ~

欠点 demerit , fault

欠陥 defect , flaw

責任 responsibility, 過失責任 fault


上述のcapabilityに「力量」のついでに言うと、なんと「美徳」を意味する virtue にも、辞書にないが、中世あたりの古いラテン語などで、virtue に相当する言葉に「力量」という意味があった。鉄緑および数研リープも virtueには「力」という意味があったと紹介している。

現代でも、辞書ではvirtue に「(物事の)長所」「(薬などの)効能・効力」の意味がある(ジーニアス「物事の長所」、ジーニアス・グランドセンチュリー両方「薬などの効能・効力」)。

また、この例からも分かるように、人間以外にも virtue を使ってよい。たとえばジーニアスには、ある上着の長所(virtue)として洗濯が簡単という内容の例文がある。なお、数研リープだと、「有機農法の長所」という例文である。


日本語だと、人間以外には「美徳」を使わないが、しかし英語だと人間以外にも美徳を使うという感覚の更新が英語学習には必要だ。

単語集でも、実は鉄緑が virtue で「美徳」「長所」と、長所の意味を紹介している。


by virtue of ~ 「~のおかげで」(桐原4500、旺文社1900、鉄緑)、「~の理由で」(鉄緑、ジーニアス)、「~によって」(グランドセンチュリー)

virtueは「力量」だと上記で述べたが、熟語 by virtue of も

「~の力(ちから)によって」→「~のおかげで」

と意味が変遷したと思うと覚えやすいだろう(鉄緑)。

by virtue of 「~の理由で」の意味の場合は、because of が類義語である(鉄緑、ジーニアス)。

旺文社は例文なし。


そもそも because の語源が by cause という事と合わせれば(ジーニアス)、because of → by cause of のように考えれば、

by virtue of も because of (→ by cause of)も両方とも「 by 〇〇 of 」という形である事に気づくだろう。


なお virtue の対義語の「悪徳」は vice である(数研リープ)。美徳 virtue と悪徳 vice はセットで覚えよう。


さて、桐原4500 にだけ virtue の意味に「美徳」のほか「長所」という意味があると説明しているが、こういう力量的なニュアンスが背景にある。

高校の範囲外だが、たとえば政治学の古典のマキャベリ『君主論』の和訳本を読むと(NHK出版のを読んだ)、君主には virtue (に相当する昔のイタリア語)が必要だと言ってるのだが、これは「君主には(敵を押さえつける)力が必要だ」的な意味。辞書には書いてないが。

薬の効き目なども virtue というと辞書にあるが、そういう「力量」的な意味が背景だろう。

薬の効能か、君主の権能か。

ジーニアス英語辞典にあるが、キリスト教の天使にバーチュ virtue というのがいるが、そういう意味で、だから「力天使」(りきてんし)と訳されるわけだ。


merit 「利点」にも(桐原4500)、「長所」「美点」の意味がある(グランドセンチュリー)。区別が難しい。

ほか、merit には、「功績」「真価」の意味もある(旺文社1900)。

merit の対義語は、fault「欠点」「短所」(東京書籍 fault、桐原 fault 「短所」あり)、 demerit 「欠点」「短所」(桐原「短所」あり、旺文社1900、鉄緑)がある。


東京書籍は、demerit を紹介せず。

他単語集でも、派生語としてはdemeritはあるが、独立した単語としては demerit を紹介していない。

あまり単語を増やしたくないのだろう。

桐原は、demerit と fault を同一ページで紹介しており、類義語としては把握している模様。


meritocracy 「実力主義」という単語がある(旺文社1900)。

しばしば、貴族性や封建制などと区別して使うので、公務員の学力採用採用での採用の社会のような意味だったり、近代以降の学歴社会だったりのような意味だったりする。


鉄緑とジーニアスが、advantage を「長所」「利点」の用法での merit の類義語として挙げている。

fault は、人間についても機械についても使う。ジーニアスで機械の「欠陥」を fault 。

fault は他、「過失」「責任」の意味もあるが(桐原4500、鉄緑)、類義語と関係ないので説明は省略。というか、旺文社1900だと、「責任」の意味を第一の意味にしているくらい。

旺文社の語義だと単に「責任」とだけあって「過失」を書いてないが、しかし例文の内容が過失に相当しており、また熟語 at fault で過失責任のことに言及。

at fault (for ~) 「~(過失)について責任がある」(鉄緑、旺文社)

また、東京書籍 fault では堂々と「(過失の)責任」という語義。


昭和ぐらいの高校生は、「過失」とか知らない馬鹿だったんですよ。法律用語とかなんも知らないの。テレビの法律相談番組とか、昭和の昔は少なかったし、今よりもバラエティ番組色が薄かったんですよ。


find fault with 「あらを探す」(旺文社)「欠点を探す」(桐原)


It's not my fault ~ 「~は私のせいではない」(鉄緑)、

"It's not your fault."  「あなたのせいではありません」(東京書籍)、


単語集には無いが、テニスのサーブの失敗のフォールト fault と同じ単語(辞書のジーニアスおよびグランドセンチュリー両方で確認)。


「情報」科目で「フォールト・トレランス」(Fault Tolerance)または「フォールト・トレラント」という用語がある。説明が難しいので省略。

「フォールト・トレランス」とは、システムの一部が故障しても、安全に停止するためにしばらく安全に動作を継続できるようにしたりするための機能。「耐障害性」ともいう。

不正確な例かもしれないが、飛行機のエンジンが2つあるので(二重化)、一つ故障しても平気みたいな。もちろん、一つでも故障が発見されたら、早めに安全停止して修理するのが前提だが。飛行中だと停止できないので、着陸の次第、すぐに修理へゴー、的なアレ。

かといって、なんでもかんでも二重化すると、重さが2倍になってしまい、飛行機は重くて飛べなくなってしまいかねないし、あるいは船舶だと重くて沈んで運航できないかもしれなくなってしまうので、設計では中核の部品だけ二重化するのがポイント。

ITのネットワークシステムなんかでも、データは二か所に保管されていたり、二台のハードディスク(または二台のストレージ)に保管されていたりする。こういうの。

「冗長化」という場合もある。


欠陥 defect , flaw

ほか、defect は「欠陥」である。桐原では、コンピュータのプログラムの「欠陥」を defect としている。

数研リープでも、製品の「欠陥」を defect と言っている。


flaw 「(宝石・陶器などの)ひび」に「欠陥」の意味がある。

fatal flaw 「致命的欠陥」(Z速読英単語・上、グランドセンチュリー)

文書・性格・製品などの広い分野の「欠陥」に flaw は使える。

単に、fatal flaw は韻を踏んでいるだけだろう。fで始まるし。


数研リープには、flaw 単独の意味として致命的欠陥のニュアンスのような事を言っているが、しかしグランドセンチュリーを見ると flaw 単独には「致命的欠陥」の意味は無く、単に欠陥の「意味」でしかない。

数研リープの語源だか語呂合わせに、あたかも flat 「平らな」と関係あるかのような事が書いてあったが、しかし辞書では確認できなかった。

旺文社1900・1400に flaw は無い。

旺文社ターゲットだからって、必ずしも何でも書いてあるわけではない。

過失に限らない一般的な「責任」 responsibility



絶え間ない constant, perpetual


constant は「一定の」という意味。桐原3000は、まず「一定の」の意味で、覚えろというスタンス。

数値などが一定の場合も使い、だから速度が一定の場合も使う(桐原3000、東京書籍4500)。

a constant speed 「一定速度」(桐原3000から抜粋)

なお、桐原4500には constant は無い。

数学の「定数」を constant value という。

そもそも、数学IIで習う積分の「積分定数」の記号が C でしょう。


なにも数値や速度だけでなく、「絶え間のない努力」とかいう時の「絶え間のない」にも constant は使う(鉄緑)。

「努力の水準が下がらずに一定水準を保ち続けている」的なニュアンスで覚えよう。

例文は著作権の都合でカット。


perpetual は、頻度が頻繁で「ひっきりなしの」という意味での「絶え間なく」の意味。


例文だと、「絶え間ない文句」(鉄緑)とか、そういう悪口ばかりだし、実際に辞書でも「しばしば、けなして」使われつとあるが、しかし例外もあり、たとえば「終身年金」も a perpetual annuity というので(ジーニアス、グランドセンチュリー)、べつに悪い意味とは限らない。


ほか、「万年雪」perpetual snow , perpetual snowfield とか(ジーニアス、グランドセンチュリーでは snowfield)、永続的なエネルギーとか(旺文社1900)、そういうのも perpetual を使う。

こっちの用法では、eternal (ジーニアス)や permanent (グランドセンチュリー)が類義語になる。


なお、permanent 「永続的な」「永久の」は、「一時的な」temporary の対義語としての意味(桐原4500)。

英語でどういうか知らないが、非常勤講師が temporary な仕事の状態である。

(非常勤ではなく)常勤の教員やら大学教授が permanent な職である。

参考文献

[編集]
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