会社法第22条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法商法コンメンタール会社法第1編 総則 (コンメンタール会社法)

条文[編集]

(譲渡会社の商号を使用した譲受会社の責任等)

第22条
  1. 事業を譲り受けた会社(以下この章において「譲受会社」という。)が譲渡会社の商号を引き続き使用する場合には、その譲受会社も、譲渡会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
  2. 前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社及び譲渡会社から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
  3. 譲受会社が第1項の規定により譲渡会社の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡会社の責任は、事業を譲渡した日後2年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
  4. 第1項に規定する場合において、譲渡会社の事業によって生じた債権について、譲受会社にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。

解説[編集]

会社法制定にあたって、旧商法第26条を継承、その他商人に関するものは商法第17条に制定。

関連条文[編集]

判例[編集]

  1. 約束手形金請求(最高裁判決昭和38年3月1日)
    商法第26条第1項の商号の続用にあたらないとされた事例
    「有限会社D」から営業を譲り受けた者が「合資会社E」の商号を使用するときは、商法第26条第1項の商号を続用する場合にあたらない。
  2. 預託金返還請求事件(最高裁判決平成20年6月10日)
    会社分割に伴いゴルフ場の事業を承継した会社が預託金会員制のゴルフクラブの名称を引き続き使用している場合における上記会社の預託金返還義務の有無
    預託金会員制のゴルフクラブの名称がゴルフ場の事業主体を表示するものとして用いられている場合において,会社分割に伴いゴルフ場の事業が他の会社又は設立会社に承継され,事業を承継した会社が上記名称を引き続き使用しているときには,上記会社が会社分割後遅滞なく当該ゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り,上記会社は,会社法22条1項の類推適用により,会員が分割をした会社に交付した預託金の返還義務を負う。

前条:
会社法第21条
(譲渡会社の競業の禁止)
会社法
第1編 総則

第4章 事業の譲渡をした場合の競業の禁止等

第1節 会社の組織に関する訴え
次条:
会社法第23条
(譲受会社による債務の引受け)
このページ「会社法第22条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。