商法第575条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法商法コンメンタール商法第2編 商行為 (コンメンタール商法)

(運送人の責任)

第575条
運送人は、運送品の受取から引渡しまでの間にその運送品が滅失し若しくは損傷し、若しくはその滅失若しくは損傷の原因が生じ、又は運送品が延着したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、運送人がその運送品の受取、運送、保管及び引渡しについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。

解説[編集]

商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律(平成30年法律第29号)により、下記の規定から改正。

第575条
貨物引換証ニ依リ運送品ヲ受取ルコトヲ得ヘキ者ニ貨物引換証ヲ引渡シタルトキハ其引渡ハ運送品ノ上ニ行使スル権利ノ取得ニ付キ運送品ノ引渡ト同一ノ効力ヲ有ス
貨物引換証により運送品を受け取ることができる者に貨物引換証を引き渡したときは、その引渡しは運送品の上に行使する権利の取得につき運送品の引渡しと同一の効力を有する。


貨物引換証の引渡証券性を定めた。物権的効力の一つ。運送中の物品であっても譲渡の対抗要件を備えたり質権を設定したりすることができる。第三者が証券を善意取得した時に運送品の権利も善意無過失であれば即時取得できる(現実の引渡しの時に悪意であってもよい)。

  • 法的構成
相対説の代表説
運送中の物品は運送品を介して証券の所持人が間接占有しているが、民法の規定にはない貨物引換証の引渡しによる間接占有の移転が575条で認められている。これが通説である。
運送人が運送品を詐取された場合、運送人が直接支配していないから証券の所持人が間接占有していない以上取り戻すのは難しい。
絶対説
運送中の物品の占有移転方法は民法の規定にはない貨物引換証の引渡しによる。運送人の占有は関係が無い。運送人が運送品を詐取された場合、証券の所持人が本権の訴えで取り戻せる。

前条:
商法第574条
(運送人の留置権)
商法
第2編 商行為

第8章 運送営業

第2節 物品運送
次条:
商法第576条
(損害賠償の額)
このページ「商法第575条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。