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民法第441条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法民法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)

条文

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(相対的効力の原則)

第441条
第438条第439条第1項及び前条に規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。ただし、 債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。

改正経緯

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2017年改正

  1. 改正前は以下の条項が規定されていたが削除。
    (連帯債務者についての破産手続の開始)
    連帯債務者の全員又はそのうちの数人が破産手続開始の決定を受けたときは、債権者は、その債権の全額について各破産財団の配当に加入することができる。
    • 債権者は、各連帯債務者に対し全額を請求することができるから(旧.民法第432条)、連帯債務者の破産手続においても、全額で破産財団の配当に加入することができることは当然であるが、本条はこれを明文で規定した。
    • 改正後の取り扱い
      連帯債務の性質から当然の帰結であり、確認的な条項であったため、継承条文を残さず削除。従って、連帯債務者の破産手続においても、全額で破産財団の配当に加入することができる。
  2. 改正前、第440条に置かれていた以下の「相対的効力の原則」の条項を改正の上移動、絶対効の働く場合を減らす一方で、但書で、債権者と各連帯債務者との合意により、効力を及ぼしうる旨を明示した。
    第434条から前条までに規定する場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。
    • 相対的効力原則の例外であったもの
    • 改正前・民法第434条(連帯債務者の1人に対する履行の請求) → 継承条文なく削除
    • 改正前・民法第435条(連帯債務者の1人との間の更改)→ 民法第438条に継承
    • 改正前・民法第436条(連帯債務者の1人による相殺等)→ 民法第439条に継承
    • 改正前・民法第437条(連帯債務者の1人に対する免除) → 継承条文なく削除
    • 改正前・民法第438条(連帯債務者の1人との間の混同)→ 民法第440条に継承
    • 改正前・民法第439条(連帯債務者の1人についての時効の完成) → 継承条文なく削除

解説

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本条は、連帯債務者の1人について生じた事由の相対的効力の原則を定める。法律行為の無効・取消しについては相対的効力事由である旨の確認規定が置かれている(民法第437条)。ほかに、連帯債務者の一人について債務不履行があった場合や、連帯債務者の一人に対する債権のみが譲渡された場合などが、相対的効力事由にあたる。

相対的効力原則の例外

参照条文

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前条:
民法第440条
(連帯債務者の一人との間の混同)
民法
第3編 債権

第1章 総則
第3節 多数当事者の債権及び債務

第4款 連帯債務
次条:
民法第442条
(連帯債務者間の求償権)
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