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行政事件訴訟法第14条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学コンメンタール行政事件訴訟法

条文

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(出訴期間)

第14条
  1. 取消訴訟は、処分又は裁決があつたことを知つた日[注釈 1]から6箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない[注釈 2]
  2. 取消訴訟は、処分又は裁決の日から1年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない[注釈 3]
  3. 処分又は裁決につき審査請求をすることができる場合又は行政庁が誤つて審査請求をすることができる旨を教示した場合において、審査請求があつたときは、処分又は裁決に係る取消訴訟は、その審査請求をした者については、前二項の規定にかかわらず、これに対する裁決があつたことを知つた日から6箇月を経過したとき又は当該裁決の日から1年を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

解説

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  1. ^ 出訴期間の起算日としての、「処分または裁決があったことを知った日」について、具体例をあげるならば、通知などの書面が送達される場合は、その送達が届いたことを知ったことをもって足りる。
     もっとも、その処分が告示、または公示の方法による場合については、通説または判例[判例 1][判例 2][判例 3][判例 4][判例 5]によれば、それが適法になされた時をもって起算日となる[1]。しかしながら、これには異説がある[2]
  2. ^ 1項に定める出訴期間を通常、主観的出訴期間と理論上称する。
  3. ^ 2項に定める出訴期間を通常、客観的出訴期間と理論上称する。

本条は出訴期間について定めたものであり、行政不服審査法[参照条文 1]と同じく本法は別条[参照条文 2]で処分または裁決においてこれを教示する義務および救済規定を定めているが、本法ではこれを誤った場合についての救済規定はない。

出訴期間をどう定めるかはあくまで立法政策の問題であり、「その期間が著しく不合理で実質上裁判の拒否と認められるような場合でない限り」[判例 6]、憲法32条に定める国民の裁判を受ける権利を侵害しないと解されている[3]

参照条文

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  1. ^ 行政不服審査法82
  2. ^ 行政事件訴訟法46 

判例

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  1. ^ 最高裁 (1952(昭和27)-11-28), 土地買収取消請求事件, 判決,, https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=57228, "一 自作農創設特別措置法第九条第一項但書の公告 適法になされたときは、同法第四七条の二前段所定の出訴期間は、右公告の日から起算すべきである。 二 農地委員会が買収令書の受領方を土地所有者に通知し、かつ、その後、委員会のおかれている村役場内で委員会の書記が右買収令書の受領方を促したにかかわらず、右土地所有者が係争中であるという理由でその受領方を拒絶した場合は、同方第九条第一項但書にいう「令書の交付をすることができないとき」にあたるものと解すべきである。" , 民集 6 (10): 1073. 
  2. ^ 最高裁 (1986(昭和61)-06-19), 壁面線指定処分取消等事件, 判決, https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=62968 , 集民 148 (239). , 判例時報 (1206): 21. (1986(昭和61)-11-01). 
  3. ^ 福岡高裁那覇支部 (1990(平成02)-05-29), 市道廃止処分取消請求控訴事件, 判決 , 判例時報 (1376): 55. (1991(平成3)-05-01). 
  4. ^ 最高裁 (2002(平成14)-10-24), 裁決取消請求事件, 判決, https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52309, "行政処分が個別の通知ではなく告示をもって多数の関係権利者等に画一的に告知される場合には、行政不服審査法14条1項にいう「処分があったことを知った日」とは、告示があった日をいう。" , 民集 56 (8): 1903. 
  5. ^ 東京地裁 (2008(平成20)-05-29) , 判例時報 (2015): 24. (2008(平成20)-11-11). 
  6. ^ 最高裁 (1949(昭和24)-05-18), 農地委員会の裁決取消請求事件, 判決, https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55896 , 民集 3 (6): 199. 
  • 転任処分取消(最高裁判例 昭和56年02月24日)地方公務員法8条7項,不利益処分についての不服申立てに関する規則(昭和26年名古屋市人事委員会規則第7号)15条, 民集 35 (1): 98. 

引用文献

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  1. ^ 深沢, 卓也 「出訴期間」『条解行政事件訴訟法』 弘文堂、東京、2014年、第4版、392頁。ISBN 978-4-335-35603-2
  2. ^ 稲葉, 馨人見, 剛村上, 裕章、前田, 雅子 『行政法』 有斐閣、東京、2018年、第4版、251 - 252頁。ISBN 978-4-641-17940-0。「告示があったことを関係権利者が現実に知るとは限らないこと、告示によって処分の効果が生じるとしても、それを出訴期間の起算点とする必然性はないこと、いずれにしても1年間の出訴期間はかかること、告示による場合に一般的に早期解決の必要性が高いとは必ずしもいえないこと等からすれば、このような解釈には疑問もある。」
  3. ^ 深沢, 卓也 「出訴期間」『条解行政事件訴訟法』 弘文堂、東京、2014年、第4版、387頁。ISBN 978-4-335-35603-2}

前条:
第13条
(関連請求に係る訴訟の移送)
行政事件訴訟法
第2章 抗告訴訟
第1節 取消訴訟
次条:
第15条
(被告を誤つた訴えの救済)


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