ラテン語の時代区分
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ラテン語の時代区分
[編集]下の表に、Wikipedia 英語版・仏語版・独語版・羅語版におけるラテン語の時代区分を掲げる。
古ラテン語 | 古典ラテン語 | 後期ラテン語 | 中世ラテン語 | ルネサンス ・ラテン語 |
新ラテン語 | 現代ラテン語 | ||
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英 語 |
Old Latin until 75 BC |
Classical Latin 75 BC – 200 AD |
Late Latin 200 – 900 |
Medieval Latin 900 – 1300 |
Renaissance Latin 1300 – 1500 |
New Latin 1500 – present |
Contemporary Latin 1900 – present |
(Latin periods) |
仏 語 版 |
Latin archaïque jusqu’à 75 av. J.-C. 前75年まで |
Latin classique 75 av. J.-C. – Ier siècle 前75年~後1世紀 |
Bas latin IIe – VIIIe siècle 2世紀~8世紀 |
Latin médiéval IXe – XVe siècle 9世紀~15世紀 |
Latin humaniste XVe – XVIe siècle 15世紀~16世紀 |
Néolatin XVIIe – XIXe siècle 17世紀~19世紀 |
Latin contemporain XXe – XXIe siècle 20~21世紀 |
(Palette Histoire du latin) |
独 語 版 |
Altlatein 240–75 v. Chr. 前240~前75年 |
Klassisches Latein 75 v. Chr. – 1. Jh. 前75年~後1世紀 |
Spätlatein 2./3.–6. Jh. 2(3)世紀~6世紀 |
Mittellatein 6.–15. Jh. 6世紀~15世紀 |
Humanistisches Latein 15.–17. Jh. 15世紀~17世紀 |
Neulateinische Literatur 15. Jh. bis heute 15世紀~現代 |
(Latinitas viva) | (Vorlage:Navigationsleiste Epochen des Latein) |
独語版では、前240年以前は Frühlatein(早期ラテン語)に分類されている。 | ||||||||
羅 語 版 |
Lingua Latina archaica tempore certo usque ad saeculum 2/1 a.C.n. |
Lingua Latina Classica saeculum 2/1 a.C.n. usque ad saeculum 1 p.C.n. |
Lingua Latina Postclassicam saeculum 1 usque ad saeculum 8 |
Latinitas medii aevi saeculum 9 usque ad saeculum 14 |
Lingua Latina temporis humanistici saeculum 14 usque ad saeculum 17 |
Lingua Neolatina saeculum 17 usque ad hodie |
Latinitas viva (hodie) |
(Historia linguae Latinae) |
※後世の人々から模範とされている古典ラテン語(前75年頃~後1世紀頃)が成立するより前のラテン語は、早期ラテン語(Early Latin)または古ラテン語(Old Latin, Archaic Latin)などと呼ばれているが、ここでは Wikipedia 独語版などに依拠して、早期ラテン語(前7世紀頃~前240年頃)と古ラテン語(前240年頃~前75年頃)の二つに区分する。
ラテン語のあけぼの
[編集]ラテン語 [1](Lingua Latina)は、インド・ヨーロッパ語族 [2](印欧語族:南ロシアの黒海・カスピ海の北岸で話されていたと想定される印欧祖語を共通のルーツと仮定する仮説上の言語グループ) のイタリック語派 [3] に分類される言語である。印欧語系諸族 [4] は、チャリオット(二頭立て戦闘用馬車)の拡がりと呼応するかのように各地に拡散した。イタリック語派は西暦 紀元前1千年紀にはイタリア半島に南下して、半島の中部・南部に定着したが、南部に入植していたギリシア人の植民市と北部の先住民エトルリア人(エトルスキ) [5] に挟まれていた。
インド・ヨーロッパ語族 (Linguae Indoeuropaeae) |
ヘレニック語派(ギリシア語派) | 古代ギリシア語(Lingua Graeca antiqua) | |
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イタリック語派 (Linguae Italicae) |
オスク・ウンブリア語群 [6] (Linguae Oscoumbricae) |
オスク語 [7](Lingua Osca) ウンブリア語 [8](Lingua Umbra)ほか | |
ラテン・ファリスク語群 [9] (Linguae Latino-Faliscae) |
ファリスク語 [10](Lingua Falerica) | ||
ラテン語(Lingua Latina) | |||
イタリック語派の近縁? | ウェネティ語(Lingua Venetica) | ||
ティルセニア語族?(提唱中の分類) | エトルリア語 [11](Lingua Etrusca)など |
ティベリス川のほとりに
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カルキディア文字 [14](西ギリシア文字)
エトルリア文字 [15]
(編集中)
西方 ギリシア文字 |
, | , | (注1) | (注1) | , | , | , | , | , | , | なし | ||||||||||||||||
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エトルリア 文字 |
, | , | |||||||||||||||||||||||||
対応する ラテン文字 |
A | B | C (G) | D | E | F | Z | H | (th) | I | K | L | M | N | X | O | P | - | Q | R | S | T | V,U | - | (ph) | (ch) | - |
音価 (再建音) |
a | b | ɡ, k |
d | e | (注2) | z, d͡z |
h | tʰ | i | k | l | m | n | ks | o | p | ʃ, d͡ʒ |
q | r | s | t | u | ks | ɸ | kʰ | f |
(注1) 西方ギリシア文字には、クシー(Ξ)・サン(Ϻ)・プシー(Ψ)・オメガ(Ω)などが欠けていた。
(注2) ギリシア文字のウァウ(ディガンマ)()の音価は /w/ ⇒ /v/ だったが、ラテン文字の F では /f/ に転訛した。 |
早期ラテン語
[編集]早期ラテン語(ドイツ語 Frühlatein :前7世紀頃~前240年)は、古典ラテン語が成立する前の時期のうち、文字で記されたラテン語の文献資料が ごくわずかな刻文などに限定される 前7世紀頃から前3世紀中葉までを指す狭義の時代区分である。
前・文学期ラテン語(フランス語 Latin prélittéraire 「プレ文学期ラテン語」)とも呼ばれる。
プラエネステのフィーブラ(留め金)(前7世紀頃)に記された早期ラテン語の刻文とその解釈を下の表に示す。
留め金 の刻文 |
||||
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エトルリア文字 (右から左へ) |
:::: | |||
早期ラテン語 (左から右へ) |
MANIOS | MED | FHE FHAKED | NVMASIOI |
古典ラテン語訳 | MĀNIVS | MĒ | FĒCIT | NVMERIŌ |
日本語訳 | マーニウスが (主格) |
私を (対格) |
作った (動詞 完了形) |
ヌメリウスのために (与格) |
(編集中)
語形の移り変わり
[編集]印欧祖語 | 原イタリック語 | 早期ラテン語 | 古ラテン語 | 古典ラテン語 | 備 考 |
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*h₂óyu | *aiwom | aivom | aevom | aevum | 「時代」 |
*deh₂w-, *dew- |
duellum | bellum | 「戦争」 | ||
*duwo, *dwóh₁ |
duis | bis | 「二度」 | ||
*dew- | dwenos | duenos | duonus | bonus | 「良い」 |
kadamitās | calamitās | 「災い、損害」 | |||
? | caussā | caussa | causa | 「理由」 | |
*ḱel- | colos | color | 「色」 | ||
*kʷōr | *kʷōr | quōr、quūr, qūr | cūr | 「なぜ」 | |
honōs | honor | 「名誉、顕職」 | |||
*dáḱru | dacrimā, dacrumā |
lacrima, lacruma |
「涙」 | ||
*dn̥ǵʰwéh₂s | *denɣwā | *dinguā | lingua | 「舌」「言葉」 | |
*kʷos, *kʷis |
*kʷoi | quoi, qoi | quei | quī | 「誰(の)」「何(の)」 |
*óynos | *oinos | oinos | ūnus | 「1」 (数詞) |
(編集中)
古ラテン語
[編集]古ラテン語(ドイツ語 Altlatein :前240年~前75年頃)は、古典ラテン語が成立する前の時期のうち、ラテン語の文学が現われてから、洗練された文章語としての古典ラテン語が確立される前までの 前3世紀中葉から前1世紀初頭まで を指す狭義の時代区分である。
前・古典期ラテン語(フランス語 Latin préclassique 「プレ古典期ラテン語」)とも呼ばれる。この時代を 前・古典期(フランス語 période préclassique 「プレ古典期」)といい、古代ローマ人がイタリア半島を統一してから地中海世界の覇者となって行った時代である。
ラテン文学の始まり
[編集]前3世紀になると、都市国家ローマがイタリア半島を統一して、半島南部に入植していたギリシア人を通じてギリシア語とギリシア人の文化・文学を吸収することによって、ラテン語の文学「ラテン文学」が発生した。
前272年にローマ軍がタレントゥムを征服すると、捕虜となったギリシア人リウィウス・アンドロニクス [16](L. Livius Andronicus)は、奴隷としてローマ市でギリシア語とラテン語の教師となり、『オデュッセイア』などのギリシア文学をラテン語に翻訳したり、前240年にはギリシア演劇をラテン語に翻案して上演したため、「ラテン文学の創始者」と見なされている。
ギリシア系の詩人・劇作家 エンニウス[17](Q. Ennius)は、叙事詩『年代記』でローマ史をうたって、ウェルギリウスら後世の詩人に大きな影響を与え、「ラテン文学の父」と呼ばれた。
また、ギリシアのメナンドロスらの喜劇を翻案したプラウトゥス [18] (T. Maccius Plautus)や テレンティウス[19] (P. Terentius Afer)が喜劇作家として活躍した。
古ラテン語のおもな作家
[編集]- 詩(Poësis)
- リウィウス・アンドロニクス (Lucius Livius Andronicus):劇作家・詩人
- ナエウィウス (Gnaeus Naevius):劇作家・詩人
- エンニウス (Quintus Ennius):叙事詩人
- プラウトゥス (Plautus):喜劇作家・詩人
- テレンティウス (Publius Terentius Afer):喜劇作家・詩人
- 散文(Prosa)
- 大カトー (Marcus Porcius Cato maior):政治家・文筆家[1]。
- 『農業論』(De agri cultura)
- 『起源論』(Origines)
(編集中)
古典ラテン語
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(編集中)
黄金期①(共和制末期)
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(編集中)
- 黄金期①(共和制末期)のおもな作家
- 散文
- キケロー (Marcus Tullius Cicero):政治家・弁論家。『カティリーナ弾劾』 『義務について』、ほか。
- カエサル (Gaius Iulius Caesar):政治家・武将・著述家。『ガリア戦記』 『内乱記』
- サッルスティウス (Gaius Sallustius Crispus):政治家・著述家。『カティリーナの陰謀』 『ユグルタ戦記』
- コルネリウス・ネポス (Cornelius Nepos):伝記作家。『著名な人物たちについて』
- ウァッロー (Marcus Terentius Varro):政治家・武将・学者。『農業論』など。
- 詩
- ルクレティウス (Lucretius):哲学者・詩人。『事物の本性につ*いて』
- カトゥッルス (Gaius Valerius Catullus):抒情詩人。
黄金期②(帝制初期)
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(編集中)
- 黄金期②(帝制初期)のおもな作家
- 詩
- 散文
白銀期
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(編集中)
- 白銀期のおもな作家
- 詩
- 散文
後期ラテン語
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民衆ラテン語(俗ラテン語)
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(編集中)
教会ラテン語
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(編集中)
中世ラテン語
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(編集中)
ルネサンス・ラテン語
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新ラテン語
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(編集中)
現代ラテン語
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(編集中)
脚注
[編集]- ^ カトーの解説 - goo人名事典、カトーとは - コトバンク、カトー[大(カトー)とは - コトバンク]などを参照。
参考図書
[編集]関連項目
[編集]関連記事
[編集]- ウィキペディア