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借地借家法第32条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法コンメンタール借地借家法

条文

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(借賃増減請求権)

第32条
  1. 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
  2. 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
  3. 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

解説

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参照条文

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判例

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  1. 賃料請求本訴,同反訴事件(最高裁判決 平成17年3月10日)
    賃借人の要望に沿って大型スーパーストアの店舗として使用するために建築され他の用途に転用することが困難である建物を目的とし3年ごとに賃料を増額する旨の特約を付した賃貸借契約について賃借人のした賃料減額請求権の行使を否定した原審の判断に違法があるとされた事例
    賃借人の要望に沿って大型スーパーストアの店舗として使用するために建築され,他の用途に転用することが困難である建物について,賃貸人が将来にわたり安定した賃料収入を得ること等を目的として,3年ごとに賃料を増額する旨の特約を付した賃貸借契約が締結された場合において,賃料減額請求の当否を判断するに当たり,当初の合意賃料を維持することが公平を失し信義に反するというような特段の事情の有無により賃料減額請求の当否を判断すべきものとして,専ら公租公課の上昇及び賃借人の経営状態のみを参酌し,土地建物の価格等の変動,近傍同種の建物の賃料相場等借地借家法32条1項所定の他の重要な事情を参酌しないまま,賃借人のした賃料減額請求権の行使を否定した原審の判断には,違法がある。

前条:
借地借家法第31条
(建物賃貸借の対抗力等)
借地借家法
第3章 借家
第2節 建物賃貸借の効力
次条:
借地借家法第33条
(造作買取請求権)
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