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刑事訴訟法第379条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学コンメンタールコンメンタール刑事訴訟法=コンメンタール刑事訴訟法/改訂

条文

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(訴訟手続きの法令違反)

第379条
前二条【第377条第378条】の場合を除いて、訴訟手続に法令の違反があってその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であって明らかに判決に影響を及ぼすべき法令の違反があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。

解説

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参照条文

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判例

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  1. 電車顛覆致死、偽証(最高裁判決 昭和30年06月22日、三鷹事件)刑事訴訟法第400条,刑事訴訟法第319条2項,刑事訴訟法第319条1項,刑事訴訟法第376条,刑法第126条,刑法第127条,憲法第13条,憲法第36条,憲法第31条,憲法第38条3項,憲法第28条,憲法第38条2項,公共企業体労働関係法第2条,公共企業体労働関係法第17条,公共企業体労働関係法第18条
    1. 刑訴第379条にいう「訴訟手続に法令の違反があつてその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかである」の意義
      刑訴第379条の場合は、訴訟手続の法令違反が判決に影響をおよぼすべき可能性があるというだけでは、控訴理由とすることはできないのであつて、その法令違反がなかつたならば現になされている判決と異る判決がなされたであろうという蓋然性がある場合でなければ、同条の法令違反が判決に影響をおよぼすことが明らかであるということはできない。
    2. 刑訴法第379条の法意
      絶対的控訴理由(第377条第378条)に当る場合は常に相当因果関係があるものと訴訟法上みなされているものと解すべきであるが、379条の場合には、裁判所が当該事件について具体的に諸般の情況を検討して判断すべき問題であつて、或る訴訟手続の法令違反は当然に判決に影響あるものと解し、或はその影響の可能性があれば足ると解するが如きは、同条の法意に反するものといわなければならない。
    3. 判決に影響を及ぼすことが明らかでない訴訟手続の違法ある判決と憲法第31条
      判決に影響を及ぼすことが明らかでない訴訟手続の違法があつたからといつて、その判決が憲法31条にいわゆる法律の定める手続によらなかつたものであるということはできない。
    4. 第一審の訴訟手続の違法が判決に影響を及ぼしたことが明らかといえない場合と刑訴第379条
      第一審において、検察官の起訴状朗読に先だち、事件の実体又は証拠関係に触れた被告人側の右起訴が無効である旨の主張及び控訴の取消を求むる発言を許容したこと、法定の手続を経ないで被告人等からの事件の実体に触れた上申書を受理して訴訟記録に編綴したこと、甲証拠の証明力を争うために提出した証拠を乙証拠の証明力を否定する資料に供したこと、の各訴訟手続の法令違反があつても、その違反が常に第一審判決に影響を及ぼすことが明らかであるとはいえない。

前条:
第378条
(絶対的控訴理由2)
刑事訴訟法
第3編 上訴
第2章 控訴
次条:
第380条
(法令適用の誤り)
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