刑事訴訟法第403条の2
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条文
[編集]【控訴の制限】
- 第403条の2
- 即決裁判手続においてされた判決に対する控訴の申立ては、第384条の規定にかかわらず、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について第382条に規定する事由があることを理由としては、これをすることができない。
- 原裁判所が即決裁判手続によって判決をした事件については、第397条第1項の規定にかかわらず、控訴裁判所は、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について第382条に規定する事由があることを理由としては、原判決を破棄することができない。
解説
[編集]参照条文
[編集]判例
[編集]- 業務上横領被告事件(最高裁判決平成21年7月14日)日本国憲法第32条、
- 刑訴法403条の2第1項と憲法32条
- 刑訴法403条の2第1項は憲法32条に違反しない。
- 審級制度については、憲法81条に規定するところを除いては、憲法はこれを法律の定めるところにゆだねており、事件の類型によって一般の事件と異なる上訴制限を定めても、それが合理的な理由に基づくものであれば憲法32条に違反するものではないとするのが最高裁判例である。
- 即決裁判手続は、争いがなく明白かつ軽微であると認められた事件について、簡略な手続によって証拠調べを行い、原則として即日判決を言い渡すものとするなど、簡易かつ迅速に公判の審理及び裁判を行うことにより、手続の合理化、効率化を図るものである。そして、同手続による判決に対し、犯罪事実の誤認を理由とする上訴ができるものとすると、そのような上訴に備えて、必要以上に証拠調べが行われることになりかねず、同手続の趣旨が損なわれるおそれがある。他方、即決裁判手続により審判するためには、被告人の訴因についての有罪の陳述(第350条の22)と、同手続によることについての被告人及び弁護人の同意とが必要であり(第350条の16第2項及び4項、第350条の20、第350条の22第1号及び2号)、この陳述及び同意は、判決の言渡しまではいつでも撤回することができる(第350条の25第1項第1号及び第2号)。したがって、即決裁判手続によることは、被告人の自由意思による選択に基づくものであるということができる。また、被告人は、手続の過程を通して、即決裁判手続に同意するか否かにつき弁護人の助言を得る機会が保障されている(第350条の17、第350条の18、第350条の23)。加えて、即決裁判手続による判決では、拘禁刑の実刑を科すことができないものとされている(第350条の29)。[※:各条項は現行法に変更している]
- 刑訴法403条の2第1項は、上記のような即決裁判手続の制度を実効あらしめるため、被告人に対する手続保障と科刑の制限を前提に、同手続による判決において示された罪となるべき事実の誤認を理由とする控訴の申立てを制限しているものと解されるから、同規定については、相応の合理的な理由があるというべきである。
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