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刑事訴訟法第482条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学コンメンタールコンメンタール刑事訴訟法=コンメンタール刑事訴訟法/改訂

条文

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(自由刑の裁量的執行停止)

第482条
拘禁刑又は拘留の言渡しを受けた者について次に掲げる事由があるときは、刑の言渡しをした裁判所に対応する検察庁の検察官又は刑の言渡しを受けた者の現在地を管轄する地方検察庁の検察官の指揮によって執行を停止することができる。
  1. 刑の執行によって、著しく健康を害するとき、又は生命を保つことのできないおそれがあるとき。
  2. 年齢70年以上であるとき。
  3. 受胎後150日以上であるとき。
  4. 出産後60日を経過しないとき。
  5. 刑の執行によって回復することのできない不利益を生ずるおそれがあるとき。
  6. 祖父母又は父母が年齢70年以上又は重病若しくは不具で、他にこれを保護する親族がないとき。
  7. 子又は孫が幼年で、他にこれを保護する親族がないとき。
  8. その他重大な事由があるとき。

改正経緯

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以下のとおり改正。2025年6月1日施行。

  • 2022年刑法改正による
    (改正前)懲役、禁錮
    (改正後)拘禁刑
  • 文言調整
    言渡→言渡し
    左の事由→次に掲げる事由
    虞→おそれ

解説

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「検察官の指揮によって執行を停止することができる。」とある通り、執行停止は検察官の裁量によるものになるが、ここでいう「裁量」とは、必要に応じて執行を停止させる「義務」を指すものか、検察官の自由意思を指すものか、十分な議論が為されていないためか、また日本の刑事司法における人権意識の低さから、問題の発生し易い条文として知られている。
現在の刑事施設における医療体制は、深刻な医師不足により、難病・重病を抱える受刑者にとって恐怖そのものといわれる。
これに対応すべく、法務省が2018年に建てた東日本成人矯正医療センターでは、「いかなる患者でも治療可能」と主張しているが、現実にここでの死亡例が複数確認されているため、受刑者の人権を尊重する上で、本条には、多々議論の余地が残っている。

参照条文

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判例

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前条:
第481条
(自由刑の執行停止後の措置)
刑事訴訟法
第7編 裁判の執行
次条:
第483条
(訴訟費用負担の裁判の執行停止)
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