刑法第178条
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条文
[編集]- 第178条
削除
改正経緯
[編集]2023年改正
[編集]改正前は以下の条項が規定されていたが、2023年改正により、第1項は第176条に、第2項は第177条に各々趣旨が吸収され、削除となった。
(準強制わいせつ及び準強制性交等)
- 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。
- 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等をした者は、前条の例による。
2017年改正
[編集]2017年改正により、以下のとおり改正。処罰対象の行為及び被害対象が改正されたことに伴う(刑法第177条#改正経緯参照)。
- 見出し
- (改正前)準強制わいせつ及び準強姦
- (改正後)準強制わいせつ及び準強制性交等
- 第2項 行為の客体
- (改正前)女子の心神喪失
- (改正後)人の心神喪失
- 第2項 行為の主体
- (改正前)姦淫した者は
- (改正後)性交等をした者
解説
[編集]- 強制わいせつ罪及び強制性交等罪においては、「暴行又は脅迫」により、相手が抵抗できないことに乗じてわいせつ行為・性交等を行うことであるが、これらによらず、相手が昏倒・泥酔・薬物摂取等により意識がないことに乗じてわいせつ行為・性交等を行う場合も、その意識障害が加害者の行為によるか否かに関わらず、強制わいせつ罪及び強制性交等罪同様に取り扱う旨の規定であったが、2023年改正により、相手の状態に関わらず、わいせつ行為・性交等が真正の同意によらなければ、各々不同意わいせつ罪・不同意性交等罪が成立することとなったため、本条の趣旨は各々の条項に吸収され削除となった。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 名古屋地判昭55年7月28日判時1007号140頁
- 産婦人科医を自称する者が女性に対して性病の治療のために必要であると偽って性交に応じさせた(被害者を不安のあまり冷静な判断力を欠いた極めて不安定な心理状態に陥れた)(松原89事例11)
- 東京高判昭56年1月27日刑月13巻1=2号50頁
- プロダクションの実質的経営者がモデルとして売り出すために必要だと言って、モデル志望の女性にわいせつな行為を受忍させた(松原89事例12)
- 東京地判昭58年3月1日判時1096号145頁
- 霊感による治療と騙して女性に性交を受忍させた(松原89事例13)
- 名古屋地岡崎支判平成31.3.26(評釈:佐藤陽子・刑事法ジャーナル 62号(2019年)144-152頁;安田拓人・法学教室 469号(2019年)138頁;前田雅英・WLJ判例コラム臨時号[[1]]
- 被告人が、かねてより被告人による暴力や性的虐待等により被告人に抵抗できない精神状態で生活していた同居の実子A(当時19歳)に対し、その抗拒不能に乗じて性交したとして2件の準強制性交等罪に問われた事案において、Aが本件各性交当時に抗拒不能の状態にあったと認定することはできないとして、無罪が言い渡された事例
- 名古屋高判令2・3・12判時 2467号137頁(評釈:前田雅英・捜研69巻5号30頁;谷田川知恵・法民547号46頁;仲道祐樹・法時92巻5号4頁;嘉門優・刑事法ジャーナル 66号115頁;斉藤豊治「実父による継続的な性的虐待と抗拒不能の判断(名古屋高裁判決)」新・判例解説 Watch・刑法 |No.168 (2021)]
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