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原価計算基準

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原価計算基準の各条項の解説を行う。

原価計算基準は、1962年(昭和37年)11月8日に大蔵省企業会計審議会が中間報告として公表した会計基準である。

これは、わが国の企業で行われてきた原価計算の慣行の中から、一般に公正妥当と認められたものを要約したものであり、原価計算に関する実践規範となっているものである。

原価計算基準

昭和37年11月8日
大蔵省企業会計審議会中間報告

原価計算基準の設定について

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 わが国における原価計算は、従来、財務諸表を作成するに当たつて真実の原価を正確に算定表示するとともに、価格計算に対して資料を提供することを主たる任務として成立し、発展してきた。

 しかしながら、近時、経営管理のため、とくに業務計画および原価管理に役立つための原価計算への要請は、著しく強まつてきており、今日原価計算に対して与えられる目的は、単一ではない。すなわち、企業の原価計算制度は、真実の原価を確定して財務諸表の作成に役立つとともに、原価を分析し、これを経営管理者に提供し、もつて業務計画および原価管理に役立つことが必要とされている。したがつて、原価計算制度は、各企業がそれに対して期待する役立ちの程度において重点の相違はあるが、いずれの計算目的にもともに役立つように形成され、一定の計算秩序として常時継続的に行なわれるものであることを要する。ここに原価計算に対して提起される諸目的を調整し、原価計算を制度化するため、実践規範としての原価計算基準が設定される必要がある。

 原価計算基準は、かかる実践規範として、わが国現在の企業における原価計算の慣行のうちから、一般に公正妥当と認められるところを要約して設定されたものである。

 しかしながら、この基準は、個々の企業の原価計算手続を画一に規定するものではなく、個々の企業が有効な原価計算手続を規定し実施するための基本的なわくを明らかにしたものである。したがつて、企業が、その原価計算手続を規定するに当たつては、この基準が弾力性をもつものであることの理解のもとに、この基準にのつとり、業種、経営規模その他当該企業の個々の条件に応じて、実情に即するように適用されるべきものである。

 この基準は、企業会計原則の一環を成し、そのうちとくに原価に関して規定したものである。それゆえ、すべての企業によつて尊重されるべきであるとともに、たな卸資産の評価、原価差額の処理など企業の原価計算に関係ある事項について、法令の制定、改廃等が行なわれる場合にも、この基準が充分にしん酌されることが要望される。

昭和三十七年十一月八日
企業会計審議会

第一章 原価計算の目的と原価計算の一般的基準

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原価計算の目的
原価計算制度
原価の本質
原価の諸概念
非原価項目
原価計算の一般的基準

第二章 実際原価の計算

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実際原価の計算手続

第一節 製造原価要素の分類基準

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製造原価要素の分類基準

第二節 原価の費目別計算

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原価の費目別計算
一〇 費目別計算における原価要素の分類
一一 材料費計算
一二 労務費計算
一三 経費計算
一四 費用別計算における予定価格等の適用

第三節 原価の部門別計算

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一五 原価の部門別計算
一六 原価部門の設定
一七 部門個別費と部門共通費
一八 部門別計算の手続

第四節 原価の製品別計算

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一九 原価の製品別計算および原価単位
二〇 製品別計算の形態
二一 単純総合原価計算
二二 等級別総合原価計算
二三 組別総合原価計算
二四 総合原価計算における完成品総合原価と期末仕掛品原価
二五 工程別総合原価計算
二六 加工費工程別総合原価計算
二七 仕損および減損の処理
二八 副産物等の処理と評価
二九 連産品の計算
三〇 総合原価計算における直接原価計算
三一 個別原価計算
三二 直接費の賦課
三三 間接費の配賦
三四 加工費の配賦
三五 仕損費の計算および処理
三六 作業くずの処理

第五節 販売費および一般管理費の計算

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三七 販売費および一般管理費要素の分類基準
三八 販売費および一般管理費の計算
三九 技術研究費

第三章 標準原価の計算

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四〇 標準原価算定の目的
四一 標準原価の算定
四二 標準原価の改訂
四三 標準原価の指示

第四章 原価差異の算定および分析

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四四 原価差異の算定および分析
四五 実際原価計算制度における原価差異
四六 標準原価計算制度における原価差異

第五章 原価差異の会計処理

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四七 原価差異の会計処理