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古代ローマの不定時法

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
 古代ローマの不定時法を表すアニメーション
 ローマ市のAD8年頃における不定時法を表現している。
 白い部分が昼間(日の出から日の入まで)で、濃い紺色が夜間(日の入から日の出まで)。昼間と夜間の長さは、それぞれ12等分され、季節によりアニメーションのように変動し、緯度・経度によっても大きく変化する。(内円の内側の数字は、現代の定時法の時刻を示す。) 夜間はさらに、四つの夜警時に等分される。
Commons
ウィキメディア・コモンズに、Ancient Roman time keeping(古代ローマ人の時間管理)に関連するマルチメディアがあります。

古代ローマの不定時法
 不定時法とは、日の出ひ で日出にっしゅつ)と日の入ひ いり日没にちぼつ)を境界として、一日の長さを等分する時法である[1]。←→ 定時法

昼間と夜間

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日中と時間

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 日の出ortus sōlis 太陽が昇ること) から始まって、日の入occāsus sōlis 太陽が沈むこと) に至る時間帯を 昼間または日中diēs ※この単語は、一日まるごとを指す場合と、日中のみを指す場合がある ) という。日中を12等分した長さを、時間hōra 「ホーラ」;複数形は hōrae)という。

夜間と夜警時

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 日の入から始まって、日の出に至る時間帯を 夜間 または nox) という。
夜間を12等分した長さのことも時間hōra)という。
 また、夜間は、夜警時vigilia) に四等分されていた。

古代(AD8年頃)のローマ市の不定時法を表わす対照図。
 左から、春 分spring equinox )・夏 至summer solstice )・秋 分autumnal equinox )・冬 至winter solstice ) における一日の時間割。















次に、#昼間の時間#夜間の時間#夜警時 について、それぞれ説明する。

昼間の時間

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昼間(日中)は、時間hōra, -ae;ホーラ)に12等分されていた。時間(ホーラ)を現代の定時法に換算すると(AD8年のローマ市街中心部の場合)、春分・春分では約1時間だが、夏至では約1時間15分、冬至では約45分であったと算出されている。

数字 表記1 表記2 表記3 (昼) 表記4 (昼) 備考
第1時 I hōra I hōra prima hōra diēī I hōra diēī prima
第2時 II hōra II hōra secunda hōra diēī II hōra diēī secunda
第3時 III hōra III hōra tertia hōra diēī III hōra diēī tertia
第4時 IV hōra IV hōra quarta hōra diēī IV hōra diēī quarta
第5時 V hōra V hōra quīnta hōra diēī V hōra diēī quīnta
第6時 VI hōra VI hōra sexta hōra diēī VI hōra diēī sexta
第7時 VII hōra VII hōra septima hōra diēī VII hōra diēī septima
第8時 VIII hōra VIII hōra octava hōra diēī VIII hōra diēī octava
第9時 VIIII (IX) hōra VIIII (IX) hōra nōna hōra diēī VIIII (IX) hōra diēī nōna
第10時 X hōra X hōra decima hōra diēī X hōra diēī decima
第11時 XI hōra XI hōra ūndecima hōra diēī XI hōra diēī ūndecima
第12時 XII hōra XII hōra duodecima hōra diēī XII hōra diēī duodecima



















用例集

時を表わす奪格(昼間) hōrā

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  • ipse hōrā diēī circiter quārtā (IV.) cum prīmīs nāvibus Britanniam attigit
    • (カエサル)自身は、昼間のおよそ第4時に、先頭の船団とともにブリタンニアに到達した。
      (出典:『ガリア戦記』第4巻23節②項)
  • sese subitō prōripiunt hōrā circiter sextā eiusdem diēī
    • 同じ日の第6時の頃に(アフラニウス勢は、陣営から)不意に飛び出す。
      (出典:『内乱記』第1巻80節③項)
  • hōrā circiter VIIII (nōnā) signō datō
  • hōrā x (decimā) subsequī, pābulātōrēs equitēsque revocārī iubet.
    • 第10時に(カエサルの諸軍団の)後を追うことと、糧秣徴発者たちと騎兵たちを呼び戻すことを命じる。
      (出典:『内乱記』第1巻80節④項)

前置詞句の対格(昼間) hōram

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  • ad hōram nōnam in ancorīs exspectāvit.
  • ante hōram diēī VIIII (nōnam) cōnsequerentur.
    • 昼間の第9時の前には(アフラニウス勢に)追いついていたのであった。
      (出典:『内乱記』第1巻64節⑦項)
  • eodem, quo venerat, die post hōram nōnam
    • (テッサリアの城市ゴンピのそばに)到着した同日の第9時の後に、
      (出典:『内乱記』第3巻80節⑦項)

夜間の時間

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数字 表記1 表記2 表記3 (夜) 表記4 (夜) 備考
第1時 I hōra I hōra prima hōra noctis I hōra noctis prima
第2時 II hōra II hōra secunda hōra noctis II hōra noctis secunda
第3時 III hōra III hōra tertia hōra noctis III hōra noctis tertia
第4時 IV hōra IV hōra quarta hōra noctis IV hōra noctis quarta
第5時 V hōra V hōra quīnta hōra noctis V hōra noctis quīnta
第6時 VI hōra VI hōra sexta hōra noctis VI hōra noctis sexta
第7時 VII hōra VII hōra septima hōra noctis VII hōra noctis septima
第8時 VIII hōra VIII hōra octava hōra noctis VIII hōra noctis octava
第9時 VIIII (IX) hōra VIIII (IX) hōra nōna hōra noctis VIIII (IX) hōra noctis nōna
第10時 X hōra X hōra decima hōra noctis X hōra noctis decima
第11時 XI hōra XI hōra ūndecima hōra noctis XI hōra noctis ūndecima
第12時 XII hōra XII hōra duodecima hōra noctis XII hōra noctis duodecima





















夜警時

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夜間は、夜警時vigilia, -ae)に四等分されていた。夜警時の長さを現代の定時法に換算すると(AD8年のローマ市街中心部の広場の場合)、春分・秋分では約3時間だが、夏至では約2時間15分、冬至では約3時間45分であったと算出されている。

ラテン語表記 時 間 説 明
第一夜警時 prima vigilia I ~ II ~ III 日の入から真夜中までの時間帯の前半。 天気予報の 「夜のはじめ頃」。夕暮れ・宵の口(よいのくち)。
第二夜警時 secunda vigilia IV ~ V ~ VI 日の入から真夜中までの時間帯の後半。 天気予報の 「夜遅く」。
第三夜警時 tertia vigilia VII ~ VIII ~ IX 真夜中から日の出までの時間帯の前半。 天気予報の 「未明」。
第四夜警時 quarta vigilia X ~ XI ~ XII 真夜中から日の出までの時間帯の後半。 天気予報の 「明け方」。夜明け・暁(あかつき)・早朝。










用例集

時を表わす奪格(夜警時)  (vigiliā)

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『ガリア戦記』より
  • secundā vigiliā magnō cum strepitū ac tumultū castrīs ēgressī ・・・
    • 第二夜警時に(ベルガエ勢は)大きな喧噪や騒ぎとともに陣営から進発して・・・
      (出典:『ガリア戦記』第2巻11節①項)
  • nactus idōneam ad nāvigandum tempestātem tertiā ferē vigiliā nāvīs solvit
『内乱記』より
  • quartā vigiliā circiter Lentulus Spinther dē mūrō cum vigiliīs custōdibusque nostrīs conloquitur;
    • 第四夜警時の頃に、レントゥルス・スピンテルは、城壁から、我が方(カエサル勢)の寝ずの番をしている哨兵に話しかける。
      (出典:『内乱記』第1巻22節①項)
  • Cūriō cum omnibus cōpiīs quartā vigiliā exierat
  • tertiā initā vigiliā silentiō exercitum ēdūxit

前置詞句の奪格(夜警時) (dē vigiliā)

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『ガリア戦記』より
  • tertiā vigiliā cum legiōnibus tribus ē castrīs profectus ad eam partem pervēnit, quae nōndum flūmen trānsierat.
    • 第三夜警時の頃に、(カエサルは)三個軍団とともに陣営から進発して、(ヘルウェーティイー族が)まだ川を渡り切っていなかった辺りに到着した。
      (出典:『ガリア戦記』第1巻12節②項)


『内乱記』より
  • cum tertiā vigiliā Petreius atque Afranius castra mōvissent,
    • 第三夜警時の頃に、ペトレイウスとアフラニウスが陣営を移動しようとしていたときに、
      (出典:『内乱記』第1巻63節③項)
  • eōs, quī tertiā vigiliā exissent, ante hōram diēī VIIII (nōnam) cōnsequerentur.
    • 第三夜警時から出陣していた彼らが、昼間の第9時の前には(アフラニウス勢に)追いついていたのであった。
      (出典:『内乱記』第1巻64節⑦項)
  • erant, quī cēnsērent tertiā vigiliā in Castra Cornelia recēdendum,
    • 第三夜警時の頃に、コルネリウスの陣営に後退するべきだ、と考える者たちもいた。
      (出典:『内乱記』第2巻30節③項)
  • tertiā vigiliā silentiō exercitum in oppidum redūcit.
    • 第三夜警時の頃に、静寂のうちに軍隊を城市の中に撤退させる。
      (出典:『内乱記』第2巻35節⑥項)
  • reliquās quartā vigiliā complūribus portīs ēductās
    • 残り(の軍団)を、第四夜警時の頃に、いくつかの門から進発させて、
      (出典:『内乱記』第3巻75節②項)
  • quartā vigiliā ipse egreditur,

関連記事

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脚注

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  1. ^ 不定時法(フテイジホウ)とは - コトバンク などを参照。