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会社法第201条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』
商法第280条ノ2 から転送)

法学民事法商法コンメンタール会社法第2編第2章 株式 (コンメンタール会社法)

条文

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公開会社における募集事項の決定の特則)

第201条
  1. 第199条第3項に規定する場合を除き、公開会社における同条第2項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。この場合においては、前条の規定は、適用しない。
  2. 前項の規定により読み替えて適用する第199条第2項の取締役会の決議によって募集事項を定める場合において、市場価格のある株式を引き受ける者の募集をするときは、同条第1項第2号に掲げる事項に代えて、公正な価額による払込みを実現するために適当な払込金額の決定の方法を定めることができる。
  3. 公開会社は、第1項の規定により読み替えて適用する第199条第2項の取締役会の決議によって募集事項を定めたときは、同条第1項第4号の期日(同号の期間を定めた場合にあっては、その期間の初日)の2週間前までに、株主に対し、当該募集事項(前項の規定により払込金額の決定の方法を定めた場合にあっては、その方法を含む。以下この節において同じ。)を通知しなければならない。
  4. 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
  5. 第3項の規定は、株式会社が募集事項について同項に規定する期日の2週間前までに金融商品取引法第4条第1項から第3項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。

解説

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公開会社が、増資・自己株式(金庫株)の処分にあたって、引受者を募集する場合(公募)は、第199条第2項に定める株主総会の決議(特別決議;第309条)を要さず、取締役会の決議で足りる。これは、市場によって価格が形成されており、株主が不当に不利となるおそれが少なく、株主も発行会社が自ら資本政策として決定ができることを理解して投資行動を起こしていることが前提となっている。

参照条文

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判例

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  1. 新株発行無効請求(最高裁判決 昭和36年03月31日) 商法第280条ノ2
    有効な取締役会の決議を経ない新株発行の効力。
    株式会社を代表する権限のある取締役が新株を発行した以上、これにつき有効な取締役会の決議がなくても、右新株の発行は有効である。
    • 改正商法(株式会社法)はいわゆる授権資本制を採用し、会社成立后の株式の発行を定款変更の一場合とせず、その発行権限を取締役会に委ねており、新株発行の効力発生のためには、発行決定株式総数の引受及び払込を必要とせず、払込期日までに引受及び払込のあつた部分だけで有効に新株の発行をなし得るものとしている(第280条ノ2)等の点から考えると、改正法にあつては、新株の発行は株式会社の組織に関することとはいえ、むしろこれを会社の業務執行に準ずるものとして取扱つているものと解するのが相当である。
    • 取締役会の決議は会社内部の意思決定であつて、株式申込人には右決議の存否は容易に知り得べからざるものである。

前条:
会社法第200条
(募集事項の決定の委任)
会社法
第2編 株式会社

第2章 株式

第8節 募集株式の発行等
次条:
会社法第202条
(株主に株式の割当てを受ける権利を与える場合)
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