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商法第29条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法商法コンメンタール商法第1編 総則 (コンメンタール商法)

条文

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(通知を受ける権限)

第29条
物品の販売又はその媒介の委託を受けた代理商は、第526条第2項の通知その他売買に関する通知を受ける権限を有する。

改正経緯

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  • 会社法制定前の商法第49条を継承。本条には現在第18条第2項に定める譲渡人の債務についての除斥期間に関する定めがあった。

解説

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ドイツ商法典第91条と第91aに由来する。

ドイツ商法典第91条(代理商の代理権)
⑴ 第55条の規定は,委託者から取引の締結の代理権を与えられている代理商で,商人でないものにも適用される。
①代理商は,取引を締結するための代理権を与えられていなくても,商品の欠陥に関する通知,商品の処分に関する意思表示,及び,瑕疵ある給付から生じる権利につき第三者が請求又は留保するための類似の意思表示につき,受領する権限があるものとされる。また,代理商は,委託者に属する権利の証拠を保全することもできる。
②この権利の制限は,第三者がこれを知り又は知り得べき場合に限って,第三者に対抗できる。
ドイツ商法典第91a条(代理権の欠缺)
⑴ 取引を媒介する権限のみ与えられている代理商が,委託者の名前で契約を締結し,かつ,第三者が代理権の欠缺を知らなかった場合で,代理商又は第三者から取引の締結及び重要な内容について知らされた後に遅滞なく第三者に対して取引を拒絶しなかった場合には,取引は委託者により同意されたものとみなす。
⑵ 代理商が締約代理商であっても,当該取引につき委託者の名で締結する代理権を有していなかった場合に委託者の名前で取引を締結した時も同様である。
ドイツ商法典第55条(締約代理権者)
⑴ 締約代理商又は商業使用人として,営業主の事業所外で営業主の名前で取引を行う商事代理人にも,第54条の規定が適用される。
⑵これらの締約代理権を与えられた者に,既に締結された契約を修正する権限,特に支払時期を延期する権限は認められない。
⑶これらの者は,特に授権されている場合に限り,支払を受領する権限を有する。
⑷これらの者には,商品の瑕疵に関する通知,商品の処分の意思表示,及びそれらに類する,瑕疵のある給付であったことから生じる権利につき第三者がなす請求又は留保に関する意思表示を受領する権限があるものとみなす。またこれらの者は,証拠の保全のために,営業主(本人)に属する権限を主張することができる。

本来売買契約の買主は商品を短期間内に検査して瑕疵や数量不足の事実を売主に知らせなければならない。このとき売主のための代理商から目的物を受領していた買主にとって代理商に通知した方が便利である。そこでこの規定が定められた。売主は代理商から知らされなかったからといって買主に対する担保責任を負わないと主張することができない。このほか、解除の意思表示の受領権限等も「その他売買に関する通知」として受領権限が認められる。

媒介代理商であっても受領権限が与えられている。

  • では代理商に受領の「委託」が無ければ、買主の代理商に対する通知があったことが代理商から売主に知らされなかったといって買主の責任追及を拒めるか。
    上述のようにドイツ商法典には明文の規定がある。日本でも、その部分が訳されていないが、民法第109条商法第24条の類推適用によって拒めないという学説がある。

参照条文

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前条:
商法第28条
(代理商の競業の禁止)
商法
第1編 総則
第7章 代理商
次条:
商法第30条
(契約の解除)
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