商法第524条

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法学民事法商法コンメンタール商法第2編 商行為 (コンメンタール商法)商法第524条

(売主による目的物の供託及び競売

第524条

  1. 商人間の売買において、買主がその目的物の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、売主は、その物を供託し、又は相当の期間を定めて催告をした後に競売に付することができる。この場合において、売主がその物を供託し、又は競売に付したときは、遅滞なく、買主に対してその旨の通知を発しなければならない。
  2. 損傷その他の事由による価格の低落のおそれがある物は、前項の催告をしないで競売に付することができる。
  3. 前二項の規定により売買の目的物を競売に付したときは、売主は、その代価を供託しなければならない。ただし、その代価の全部又は一部を代金に充当することを妨げない。

解説[編集]

民法第497条の特則。「弁済の目的物が供託に適しないとき、又はその物について滅失若しくは損傷のおそれがあるとき」でなくとも競売できる。しかも競売で得た代金を供託せず売買代金に充当することもできる(売買代金と競売で得た代金の差額は競売通知後買主に請求できる)。これを自助売却という。これは売主が商人として迅速に目的物を売却する意思をもっているからである。

ドイツ商法典第373条に対応する。

ドイツ商法典第373条(買主の受領遅滞)
⑴ 買主が商品の受領につき遅滞にあるときは,売主は当該商品を買主の危険と負担において公の倉庫又は他の安全な方法によって供託することができる。
①前項の他,売主は,事前の通告の後,商品を公の競売に付することができる。商品が取引所価格又は市場価格を有するときは,事前の通告の後,そのような売却につき公的な権限を有する商事仲立人又は公の競売につき権限を有する者によって現行価格での売却を直接に行うことができる。
②商品に損敗のおそれがあり,その危険が迫っているときは,事前の通告はこれを必要としない。 他の理由により通告をなし得ないときも同じである。
⑶自助売却は遅滞にある買主の計算においてなされる。
⑷売主及び買主は公の競売に入札することができる。
①公の競売に付するときは売主は買主に競売の時と場所を事前に通知しなければならない。売却を実施したときは売却の方法を問わず売主はこれを遅滞なく買主に通知しなければならない。②通知を怠ったときは売主は損害を賠償する義務を負う。
③通知はこれを行うことができないときは行わないことができる。
ドイツ商法典第374条(受領遅滞に関する民法典の規定)
買主が受領遅滞にあるときに民法典に基づき売主に帰属する権限は,第373条の規定によって害されない。
  • 次の場合を考える。売主は買主と不特定物の売買契約を締結したが、履行期日の前に目的物の価格が下落したことを知った買主は、履行期日に商品の受領と同時に代金を支払うより、むしろ目的物を受領せず履行期日の後に価格がさらに下落する中で大幅な代金減額を要求し場合によっては事情変更の原則によって解除すると伝えた。売主は目的物を早く引き渡したいが、買主が受領しなければ逆に買主が同時履行の抗弁権を主張して買主の望み通りになる。そこで売主は思い切って目的物を競売し、売却価額から手数料を引いて残額を代金に充当し、不足分について買主に支払いを催告した。買主は競売の要件である弁済の提供(現実の提供または口頭の提供)がなく受領遅滞が発生していなかったので競売が無効であり、引渡し請求権が消滅しておらず代金支払い債務との同時履行の抗弁権を主張して代金支払いを拒否した。

日本の民法では解釈上、受領拒絶の場合、売主は「弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告」をしなければ弁済の提供があったことが認められない。供託は弁済の提供または受領遅滞の効果だとされている。しかし民法第493条に対応する条文が商法典には無いので、商法の通説は、受領拒絶、受領不能があれば、受領遅滞の要件が無くとも供託又は競売ができるとされている。

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前条:
商法
第2編 商行為
第2章 売買
次条:
商法第525条
(定期売買の履行遅滞による解除)