商法第572条

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法学民事法商法コンメンタール商法第2編 商行為 (コンメンタール商法)商法第572条

第572条

貨物引換証ヲ作リタルトキハ運送ニ関スル事項ハ運送人ト所持人トノ間ニ於テハ貨物引換証ノ定ムル所ニ依ル
貨物引換証を作ったときは、運送に関する事項は、運送人と所持人との間においては、貨物引換証の定めるところによる。

解説[編集]

貨物引換証の文言証券性を定めた。

貨物引換証の文言を信頼して所持人になった者を保護する。悪意の所持人は保護されない。この保護について、次の場合を考える。

  • 「空券」(運送契約が無効なのに作られた「貨物引換証」)を所持人が運送人に呈示したが拒否された場合
  • 「品違い」(実際の運送物と貨物引換証に記載されている運送物が違っていた)ので改めて所持人が運送人に呈示したが運送を拒否された場合
不法行為責任説
貨物引換証が有因証券である以上、「空券」であれば運送契約が無効だから貨物引換証も無効で所持人に引渡請求権はないし、「品違い」の場合は運送人が所持人に実際の契約の運送物を引き渡せば引渡請求権は消滅する。従って運送物とその数量について572条の保護はなく所持人には不法行為による損害賠償請求権がある(所持人は運送人の故意過失を立証する必要がある)。572条の保護は「品違い」の場合に運送物やその数量ではなく運送賃の額など比較的軽微な内容を信じた所持人を保護するだけである(所持人は運送賃を文言通りの額で支払えばよい)。
新たな所持人が実際の運送契約を調査しなければならないようでは取引の安全の趣旨が損なわれるという批判がある。
債務不履行責任説
運送人は文言通りの数量の運送物を引渡す債務がある。本来無効な「空券」であっても原因が記載されていれば有効であるというのが有因証券性であるから矛盾はない。従って572条はどちらの場合でも所持人に債務不履行による責任追及を認めた(所持人は運送人の帰責事由を立証しなくともよい)。
有因証券性の意味が違うという批判がある。
責任制限約款があれば不法行為責任による賠償額より少なくなってしまうという批判がある。
折衷説
「空券」は無効だから572条の保護はなく不法行為損害賠償請求権が発生する。「品違い」や数量不足の場合所持人は572条で保護され債務不履行による責任追及が可能である。折衷説が通説である。
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