慶應義塾大対策/SFC
SFCとは、湘南藤沢キャンパスに設置されている総合政策学部・環境情報学部・看護医療学部の3学部を指す。両学部の小論文は慶大の他学部や他大学で見られるものとは違い、SFCオリジナルの非常に独特で重厚な内容になっているため、受験生は早い段階から小論文対策に取り組むこと。また、SFCではAO入試を積極的に導入しており、多種多様な学生を集めているが、本項では一般入試対策についてのみ記述する。
総合政策学部
[編集]SFCと呼ばれる学部群の1学部。一学年の定員は450名であり、大学受験一般入試枠は225名。残りはAO入試・帰国生入試・留学生入試枠・附属高校推薦が占める。例年、実質倍率は10倍程度である。環境情報学部とは別の学部であるが、学部間に垣根は無い。
- 学科試験
- Ⅰ.英語(100点)+数学(100点)+小論文(200点) Ⅱ.英語(200点)+小論文(200点) Ⅲ.数学または情報(200点)+小論文(200点)のいずれかから選択
- 3段階採点方式
- 採点方法は、選択した試験科目(英語+数学、英語、数学or情報)の得点が1次選考基準点に達した受験生についてのみ小論文が採点される。次に、小論文が2次選考基準点に達した受験生に対して、選択した受験科目の得点と小論文の採点結果を組み合わせて、最終選考が行われる。つまり、選択した試験科目でどれだけ得点できていても、小論文が一定の点数取れていない場合(逆もまた然り)は、合計点が合格最低点を上回っていても不合格ということである。SFCは英語(数学)だけできても合格はできない。英語(数学)と小論文の両方ができていないと合格はできない。
試験時間は120分、配点は200点。全て客観式の設問で、1200~1500wordsの超長文読解問題が2題出題される。学術的内容の長文の出題が多く、例年1つの長文につき20箇所もの空所補充問題があるのが特徴。大学入試としては非常に高いレベルの語彙力、読解力をまともに問うこの形式は環境情報学部の出題と共通している。本文の抽象度が高く語数が多いため、1つの文章を読みきるだけでも体力を消費する。そのため、重厚な長文に慣れて耐性をつけておくべきである。また、分野を問わぬ文章が出題されるため、幅広い単語力や背景知識は必須であり、食わず嫌いは厳禁である。
試験時間は120分、配点は200点。範囲は数学ⅡBまでとなっているが、教科書範囲外の独創的な出題が多いのが特徴である。問題文も長く複雑なものが多い。幅広い分野から、SFCらしいパズルのような複雑な問題が出題されるが、頻出分野は集合と論理・整数・場合の数と確率・数列である。対策としては、受験レベルの基礎を確立し、その後は過去問でとにかく演習を積むしかないと思われる。特に、数学のみの受験生用の問題は大学入試レベルを逸脱しているものが多いので、数学のみの受験生は覚悟が必要である。環境情報学部の数学の問題もやっておこう。
2016年度から新しく「情報」という科目も選択可能となる。
問題の難易度は国家試験のITパスポート試験より高く、基本情報技術者試験よりはやや低い、という感じである。
ただし、ボーダーラインが予め得点率60%以上と決まっている基本情報技術者試験と異なり、SFCの情報科目のボーダーラインは基本情報技術者試験より高い。また、出題傾向も基本情報技術者試験とは若干異なるため、既に基本情報技術者試験に合格している受験生でも油断するなく、実際に出題された過去問等でしっかり対策しておくこと。
試験時間は120分、配点は200点。総合政策学部の小論文は、5種類以上の膨大な資料が与えられる難問である。資料や自身の知識の事実に基づいた根拠から自分の考えまでを記すことになる。全体の論述字数は1,500字~1,800字程度である。資料から素早く重要な情報を正確に読み取り、頭の中でそれらを組み合わせる力が求められる。国語の現代文の要領で一文一文を丁寧に読んでいては、資料を読むだけで試験時間が終わってしまう。よって、小論文の書き方を覚えただけでは到底歯が立たない。小論文の基礎的な問題が解けるようになったら、当該学部の過去問や環境情報学部の小論文に取り組み、学校や予備校の小論文の講師に添削してもらうことが重要である。 総合政策学部の小論文では、具体的な問題設定・構造的分析・解決法・新しいビジョンを提示させるものが多い。いずれも、総合政策学の理論を使わないと導き出せないようになっている。大量の資料から共通するテーマを発見する力だけでなく、総合政策学とはどういう学問なのかも勉強しておく必要がある。 資料のテーマは、時事問題が中心である。近年では、教育・介護・政策・日本の望ましい将来像の設計など、幅広いテーマが出題されている。また、資料は新聞記事や政府の公文書、論文、学術書、政党のマニフェスト等が出題される。政治経済や現代社会の知識がなければ、読み解けない内容になっている。年度によっては統計表や英文資料が出ることもある。 総合政策学部の小論文の問題形式は年度によって変わる。文章を書かせるだけでなく、「図示とその図の解説」を求める年度もあった。また、意見論述だけでなく、政策評価などが問われることもある。
具体的対策法
[編集]以下の内容は、小論文の基礎が確立されていることが前提である。
- 過去問を通じて、出題テーマや設問のパターンを知ると同時に、読解力・思考力を養う。
- 総合政策学とは何か、他の学問との比較、そして実際にどのような研究が行なわれているか調べ、この学部の研究領域と学問の方法に慣れ親しむ。
- 広義の公共政策の争点(TPPをはじめとした経済連携協定、エネルギー政策、地球環境問題、憲法解釈、社会保障問題など)について広い関心を持ち、常日頃から知識を蓄える。特に、どのような意見対立が起こっているのか、政党間やイデオロギー間の対立に留意する。
環境情報学部
[編集]SFCと呼ばれる学部群の1学部。一学年の定員は450名であり、大学受験一般入試枠は275名程度。残りはAO入試・帰国生入試・留学生入試枠・附属高校推薦が占める。例年、実質倍率は9倍程度である。総合政策学部とは別の学部であるが、学部間に垣根は無い。
- 学科試験
- Ⅰ.英語(100点)+数学(100点)+小論文(200点) Ⅱ.英語(200点)+小論文(200点) Ⅲ.数学または情報(200点)+小論文(200点)のいずれかから選択
- 3段階採点方式
- 採点方法は、選択した試験科目(英語+数学、英語、数学or情報)の得点が1次選考基準点に達した受験生についてのみ小論文が採点される。次に、小論文が2次選考基準点に達した受験生に対して、選択した受験科目の得点と小論文の採点結果を組み合わせて、最終選考が行われる。つまり、選択した試験科目でどれだけ得点できていても、小論文が一定の点数取れていない場合(逆もまた然り)は、合計点が合格最低点を上回っていても不合格ということである。SFCは英語(数学)だけできても合格はできない。英語(数学)と小論文の両方ができていないと合格はできない。
試験時間は120分、配点は200点。全て客観式の設問で、1200~1500wordsの超長文読解問題が2題出題される。学術的内容の長文の出題が多く、例年1つの長文につき20箇所もの空所補充問題があるのが特徴。大学入試としては非常に高いレベルの語彙力、読解力をまともに問うこの形式は総合政策学部の出題と共通している。本文の抽象度が高く語数が多いため、1つの文章を読みきるだけでも体力を消費する。そのため、重厚な長文に慣れて耐性をつけておくべきである。また、分野を問わぬ文章が出題されるため幅広い語彙力や背景知識は必須であり、食わず嫌いは厳禁である。総合政策学部に比べればかなり理系分野にシフトしたテーマが目立つため、この点を鑑みれば概して語彙の対策は立てやすいはずである。
試験時間は120分、配点は200点。範囲は数学ⅡBまでとなっているが教科書範囲外の独創的な出題が多いのが特徴である。選択問題ではコンピュータの問題が出される。他大学の入試では見られないような異質な問題が頻出する(特に、数学のみの受験生用の問題は発想力が求められるパズルのような問題が多く、理系受験生でも難しいと言われている)。環境情報学部は総合政策学部に比べて数学の難易度が毎年若干高めに設定されている。あらゆる分野の基礎をきちんと押さえた上で、日頃から数学的パズルに親しむとよい。総合政策学部同様に、数学のみの受験生用の問題は大学入試レベルを逸脱しているものが多いので、数学のみの受験生は覚悟が必要である。
2016年度から新しく「情報」という科目も選択可能となる。
問題の難易度は国家試験のITパスポート試験より高く、基本情報技術者試験よりはやや低い、という感じである。
ただし、ボーダーラインが予め得点率60%以上と決まっている基本情報技術者試験と異なり、SFCの情報科目のボーダーラインは基本情報技術者試験より高い。また、出題傾向も基本情報技術者試験とは若干異なるため、既に基本情報技術者試験に合格している受験生でも油断するなく、実際に出題された過去問等でしっかり対策しておくこと。
試験時間は120分、配点は200点。非常にハイレベルな小問が複数課されるが、全体の論述字数は1,200字~1,600字程度。環境情報学部の小論文はアイディア提示型の特殊な内容である。他の学部の小論文のような抽象度の高い課題文が出題されることはないが、①総合政策学部と同様に膨大な資料に向き合い、クリティカルに読み、そこから自分のアイディア(商品の企画案や改善案)を構築する問題発見・問題解決力、そして②タイトルを考えるといったセンス・要約力が評価される特殊な入試である。
出題形式は総合政策学部と違う。総合政策学部は、大量の資料を分析し、事実に基づいた根拠から自分の考えまでを、600~800字程度でまとめる問題が数問出題される。一方で、環境情報学部の小論文は、複数の小問にわかれて、根拠や考えが別個で問われる。200字で解答しなければならない問題もある。聞かれたことに対して最小限の文字でわかりやすく解答する力が求められる。
具体的対策法
[編集]①の問題発見・問題解決力は、やみくもに問題演習をしても身に付く力ではないため、戸山田和久氏の『「科学的思考」のレッスン』(NHK出版新書)等の優良な参考書を使って、問題発見・問題解決の正しい考え方・やり方を身につけておくことが重要である。
環境情報学部は、総合政策学部と同様に自己意識の強い学部であって、受験生に対して環境情報学ではどんな研究がおこなわれているか、そのコンセプトとはどういうものかに関する深い理解を小論文試験で試している。したがって、まずは環境情報学部の研究について詳しく理解しなければならない。当該学部は実に多様なことを研究しているから、入試ではどの分野(テーマ)が出題されるか分からない。地球環境問題や生活用品のデザイン、メディア・アート、科学論といった実に様々な分野から出題されている。よって、当該学部で研究されている幅広い分野の全てについて、自分なりにある程度の見識を持っておく必要がある。また、入学後どのような研究を自分はしていきたいか、考えておくことが不可欠である。
看護医療学部
[編集]SFCと呼ばれる学部群の1学部。一学年の定員は100名であり、大学受験一般入試枠は70名程度。残りは附属高校推薦・AO入試・帰国生入試・留学生入試枠が占める。
試験形態は1次試験(学科試験)と2次試験(面接+小論文)からなる。当学部に合格するのに鍵となるのは2次試験だと言われている。それは、当学部が人物面をかなり重視しているからである。よって、例年1次試験を上位で通過した非常に優秀な者でも2次試験の内容によっては合格できないことも多い。因みに当学部の1次試験の問題の難易度はどの科目も本学にしては簡単だと言われている。
例年、実質倍率は4倍程度である。
1次試験
[編集]1次試験は、Ⅰ.英語(300点)+数学(200点) Ⅱ.英語(300点)+化学(200点) Ⅲ.英語(300点)+生物(200点)のいずれかから選択する(小論文は1次通過者のみに対して、面接と共に2次試験として課される。)。
試験時間は90分、配点は300点。問題のレベルは、慶大の英語の中で最も易しい。客観形式による文法問題や長文空所補充といった選択式の問題(PART1)と、下線和訳といった記述式の問題(PART2)の2パートに分かれた形式であり、PART2の最後には100-150語で書く自由英作文がある。
PART1 はさして難しいものはなく、文法正誤問題などは他学部の受験生の演習素材としても格好のもの。むしろ、PART2 にこそ若干留意すべきであり、文脈整序問題は出題文の短さに比して存外難しく感じさせることがある。その理由は接続詞の希少な文章が出題されるためで、速読だけで対処出来るほど甘いものではない。また、PART2 最後の自由英作文は特に抽象度の高い設問ではないが、語数は自由英作文を出題する大学の中ではかなり多い方であり、自己の見識のみを書き連ねて事足れりとしないように。
試験時間は80分、配点は200点。5題構成で、3番までは空所補充形式、4番5番が記述形式になっている。試験時間80分のわりには問題数が多い為、迅速かつ的確に解答できる力が必要である。出題範囲はII・Bまでである。問題のレベルは、慶大の数学の中で一番易しい。慶大の他学部を受験しないのであれば、「チャート式解法と演習数学(数研出版)」(黄チャート)をお薦めする。こちらをしっかりとマスターすれば、空所補充形式の3題はすべてカバーできる。また、若干難しい問題が出題される記述形式の2題でも部分点を取ることが出来るだろう。これだけで7割は得点できるはずである。
例年、5番で出題される証明問題(「整数問題」や「式と証明」の分野が多い)は文系受験生にとっては取り組みにくい内容で、受験生の間でも差が出るため、数学で差をつけたい受験生は十分に対策しておくこと。
試験時間は80分、配点は200点。大問数は3題で固定されている。思考力を問う問題が多く,暗記した知識のみでは対応できないが、それでも、他学部(理工、医、薬)に比べると解きやすい問題が多い。問題形式としては、選択式・記述式問題と30~60字程度の論述問題が出題されている。出題分野も年々変化するため、化学Ⅰ・Ⅱの全分野にわたってしっかりと対策しておく必要がある。電離平衡・天然有機化合物がよく出題される。教科書・参考書や大学入試標準レベルの問題集で徹底的に基礎を固め、過去問対策を十二分に行えば、65~70%は得点できるだろう。
試験時間は80分、配点は200点。生物IIからの出題が多く、特に、遺伝子、進化、系統・分類などの分野からの出題が目立つ。知識問題の難易度が比較的高い。教科書に載っていないハイレベルな問題もいくらか見られる。DNAについては医学的内容や新しい内容が出題されることが多く、受験生に単なる受験用の知識ではなく、普段から医療に通じる生物学にどれだけ興味を持っているのかが問われている。よって、話題になっている問題は日頃から関心を持って学習すべきである。似たような傾向の問題が出題されることが多いため、過去問演習はできるだけ多くの年度の問題を解くべきである。
2次試験
[編集]医学部同様、1次試験合格者には、小論文と面接の2次試験が控えている。前述の通り、看護医療学部は受験生の人物面をかなり重視している。それは、患者との心のふれあいを仕事とする看護に携わる者にとってとても重要だからである。当学部を志望する受験生は、普段から成績だけでなく、求められている人物像や看護というものが何なのかを常に意識しておく必要がある。2次試験を突破できるのは、例年1次の学科試験を通過できた者の6割ほどである。換言すると、学科試験を通過できた受験生でも、4割が合格できないのである。従って、十分に面接、小論文の対策をしておかないと合格するのは非常に難しいと言うことだ。
面接
[編集]看護を学ぶ者にふさわしい人材かどうかの適性をみる質疑応答についての質問がされる。通常約20分と比較的長時間の面接が行われる。内容は、志望動機、高校時代の活動、趣味、ボランティア経験の有無などの基本的なことから始まり、理想の看護師像、医師と看護師の違い、看護師として活躍したい分野、趣味が将来仕事にどのように役立つか、自己の欠点とそれが看護師にどのように影響するのか、看護師以外の道などしっかり対策していないとすぐにはきちんと答えられないようなことまで聞かれる。年によっては、時事問題従って、学校や予備校で実際に模擬面接を何度もやって練習して置くことを勧める。
試験時間は70分。設問は2問、もしくは3問出題される。設問内容は、例年通り要約・説明と論述である。字数は2問出題の場合、要約・説明が200字、論述が600字程度である。課題文は、社会や個人に関するような看護学に関連するものが比較的多い。(年度によっては、いささか古く、非常に読みにくい文章も出題されている。)現代文で読んだ文章を200字程度で要約する練習を普段からやっておくべきだろう。また、論述問題対策としては、面接対策同様に、看護に関する自分の考えを膨らましておくことが大切である。