日本国憲法第38条

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条文[編集]

【不利益供述の不強要、自白の証拠能力】

第38条
  1. 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
  2. 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
  3. 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

解説[編集]

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参照条文[編集]

  • 刑事訴訟法第319条
    1. 強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
    2. 被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
    3. 前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。

判例[編集]

  1. 窃盗(最高裁判所判決昭和23年12月22日)憲法第37条
    被告人の公判廷における自白と憲法第38条第3項の自白
    裁判所が証拠に引用した被告の自白が、その裁判所の公判廷における自白であるならば、それは憲法第38条第3項の自白に含まれないことは、当裁判所の判例として示したところである。
  2. 強盗殺人未遂、銃砲等保持禁止令違反(最高裁判決 昭和24年12月21日)刑事訴訟法第319条
    憲法第38条第3項にいわゆる本人の自白と刑訴法第319条第2項の意義
    憲法第38条第3項の本人の自白には公判廷での自白は含まれない。新刑訴法が公判廷での自白が被告人に不利益な唯一の証拠である場合には有罪とされない旨の規定を新設したことは、自白偏重の弊害を矯正し被告人の人権を擁護するためのものであり、憲法の根本精神を拡充するものであるとし、この規定は憲法第38条第3項に対する解釈規定ではない。
    • 憲法第38条第3項に所謂本人の自白には判決裁判所の公判廷における自白を含まないと解すべきことは、当裁判所の判例において屡屡判示したところであり、今この判例を変更する必要を認めない。新刑訴法が第319条第2項において公判廷における自白であつてもそれが被告人に不利益な唯一の証拠である場合にはこれによつて有罪とされない旨の規定を新設したことは所論のとおりである。しかし、かゝる規定を設けたことの当否はしばらくこれを措くとしてこの規定は憲法第38条第3項に対する所謂解釈規定ではなく自白偏重の弊害を矯正し被告人の人権を擁護せんとする憲法の根本精神をさらに拡充すると共に新刑訴法の指導原理たる当事者対等主義にも立脚して、自白が当事者である被告人の供述たる点を考慮してその証拠能力について、新たな一の制限を設け公判廷における自白にまで及ぼしたものに過ぎないのである。それは丁度憲法第38条第2項においては「強制拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」について証拠能力を制限しているのを、新刑訴法第319条第1項においてはさらに拡充して「その他任意にされたものでない疑いのある自白」についても証拠能力を制限するに至つたのと同様である。これ等は何れも憲法の基本精神を拡充しその線に沿つた法律改正であつて、毫も憲法の趣旨に背反するものでないからその合憲性を有することは疑のないところである。されば憲法第38条第3項の合理的解釈として示した判例の見解は毫も新刑訴法第319条第2項の規定と矛盾するところはなく今後も維持さるべきものである。従つて反対の見地に立つて右判例の変更を求める所論には賛同することはできない。
  3. 偽証、飲食営業緊急措置令違反(最高裁判決 昭和27年11月05日)
    証言拒絶権ある証人を宣誓させて尋問した場合と憲法第38条第1項
    旧刑訴第188条第1項にあたる場合、証人は証言を拒む権利があるから、右証人に宣誓させて尋問したからといつて直ちに憲法第38条第1項にいう自己に不利益な供述を強要したものということはできない。
    1. 旧刑訴第188条第1項(同旨:現行刑事訴訟法第146条
      証言を為すに因り自己又は自己と第186条第1項(同旨:刑事訴訟法第147条)に規定する関係ある者刑事訴追を受ける虞れあるときは証言を拒むことを得
  4. 電車顛覆致死、偽証(三鷹事件 最高裁判決 昭和30年06月22日)刑法第126条刑法第127条
    被告人の自白について、同人が犯罪の実行者であると推断するに足る直接の補強証拠が欠けていても、その他の点について補強証拠が備わり、それと被告人の自白とを綜合して犯罪事実を認定するに足る以上、憲法第38条第3項の違反があるということはできない。

前条:
日本国憲法第37条
【刑事被告人の諸権利】
日本国憲法
第3章 国民の権利及び義務
次条:
日本国憲法第39条
【遡及処罰の禁止、二重処罰の禁止】
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