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手形法第10条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法商法コンメンタールコンメンタール手形法

条文

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第10条  
未完成ニテ振出シタル為替手形ニ予メ為シタル合意ト異ル補充ヲ為シタル場合ニ於テハ其ノ違反ハ之ヲ以テ所持人ニ対抗スルコトヲ得ズ但シ所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ為替手形ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ

解説

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未完成にて振出した為替手形にあらかじめした合意と異なる補充をした場合においては、その違反は、これによって所持人に対抗することができない。但し、所持人が悪意又は重大な過失によって為替手形を取得したときは、この限りでない。

判例

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  1. 損害賠償請求(最高裁判決 昭和46年06月10日)民法第644条,手形法第75条,手形法第77条2項
    1. 銀行が当座勘定取引契約に基づき手形の印影を照合するにあたつて尽くすべき注意義務の程度
      銀行が、当座勘定取引契約に基づき、届出の印鑑と手形上の印影とを照合するにあたつては、銀行の照合事務担当者に対して社会通念上一般に期待されている業務上相当の注意をもつて慎重に行なうことを要し、右事務に習熟している銀行員が右のような注意を払つて熟視するならば肉眼で発見しうるような印影の相違が看過されて偽造手形が支払われたときは、その支払による不利益を取引先に帰せしめることは許されない。
    2. 印影照合についての銀行の注意義務と免責約款の効力
      銀行が手形の印影と届出印鑑とが符合すると認めて支払をした場合は責任を負わない旨の当座勘定取引契約上の免責約款は、銀行が手形の印影照合にあたつて尽くすべき前項の注意義務を軽減する趣旨のものではない。
    3. 当座勘定取引契約に基づき手形の支払委託をうけた銀行が振出日欄白地の約束手形を支払つた場合における取引先に対する効力
      当座勘定取引契約上の支払委託は、特段の事情のないかぎり、振出日欄白地の確定日払の約束手形の支払を含む趣旨とは解されず、銀行が、支払委託の有無を確認するための相当な方法をとることなく、右白地手形の支払をしたときは、その結果を取引先に帰属させることは許されない。
  2. 約束手形金(最高裁判決 平成5年07月20日)手形法第70条1項,手形法第77条1項
    白地手形の満期が補充された場合とその他の手形要件の白地補充権の消滅時効
    満期及びその他の手形要件を白地として振り出された手形の満期が補充された場合は、右手形のその他の手形要件の白地補充権は、手形上の権利と別個独立に時効によって消滅することなく、手形上の権利が消滅しない限りこれを行使することができる。

参照条文

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前条:
第9条
手形法
第1章 為替手形ノ振出及方式
次条:
第11条
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