手形法第77条
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条文
[編集]【準用】
- 第77条
- 左の事項に関する為替手形に付ての規定は約束手形の性質に反せざる限り之を約束手形に準用す
- 第三者方にて又は支払人の住所地に非ざる地に於て支払を為すべき為替手形(第4条及第27条)、利息の約定(第5条)、支払金額に関する記載の差異(第6条)、第7条に規定する条件の下に為されたる署名の効果、権限なくして又は之を超えて為したる者の署名の効果(第八条)及白地為替手形(第10条)に関する規定も亦之を約束手形に準用す
- 保証に関する規定(第30条乃至第32条)も亦之を約束手形に準用す第31条末項の場合に於て何人の為に保証を為したるかを表示せざるときは約束手形の振出人の為に之を為したるものと看做す
現代語
[編集]- 左の事項に関する為替手形についての規定は、約束手形の性質に反しない限り、これを約束手形に準用する。
- 第三者にて又は支払人の住所地でない地において支払をするべき為替手形(第4条及び第27条)、利息の約定(第5条)、支払金額に関する記載の差異(第6条)、第7条に規定する条件の下にされた署名の効果、権限なくして又はこれを超えてした者の署名の効果(第八条)及び白地為替手形(第10条)に関する規定もこれを約束手形に準用する。
- 保証に関する規定(第30条乃至第32条)もこれを約束手形に準用する。第31条末項の場合において、何人の為に保証をしたかを表示しないときは約束手形の振出人のためにこれをしたものとみなす。
解説
[編集]参照条文
[編集]判例
[編集]- 約束手形金請求(最高裁判例 昭和29年04月02日)手形法第17条
- 融通手形の振出人が受取人に対し融通手形の抗弁をもつて対抗し得ない場合
- 金額および満期日を同じくする約束手形を融通手形として相互に交換的に振り出し交付するにあたり、相互にこれを対価とする合意がある場合において、一方の手形金の支払がなされたときは、反対の事情のないかぎり、他方の手形の振出人は、その受取人に対して融通手形の抗弁をもつて対抗し得ない。
- 約束手形金請求(最高裁判例 昭和30年05月31日)手形法第17条
- 手形法第77条、第17条但書に該当する一事例。
- 約束手形の裏書譲渡を受けた者が、その取得に際し、右手形は売買代金債務の支払確保のため振出されたものであり、かつ右売買は売主の不履行により結局解消されるに至るべきことを熟知していた場合は、手形法第77条、第17条但書にいわゆる「債務者ヲ害スルコトヲ知リテ手形を取得シタルトキ」に該当する。
- 約束手形金請求(最高裁判例 昭和35年10月25日)手形法第17条,小切手法第22条
- 手形所持人の過失の有無と手形法第17条。
- 債務者を害することを知らないで手形の所持人となつた者に対しては、重大な過失があると否とを問わず、前者に対する人的抗弁をもつて対抗することはできない。
- 約束手形金請求(最高裁判例 昭和43年12月25日)手形法第17条,民法第1条2項,民法第1条3項
- 自己の債権の支払確保のため約束手形の裏書を受けた手形所持人が右原因債権の完済後に振出人に対してする手形金請求と権利の濫用
- 自己の債権の支払確保のため約束手形の裏書を受けた手形所持人は、その後右債権の完済を受けて裏書の原因関係が消滅したときは、特別の事情のないかぎり、以後右手形を保持すべき正当の権原を有しないことになり、手形上の権利を行使すべき実質的理由を失つたものであつて、右手形を返還しないで自己が所持するのを奇貨として、自己の形式的権利を利用し振出人に対し手形金を請求するのは、権利の濫用にあたり、振出人は、右所持人に対し手形金の支払を拒むことができる。
- 約束手形金請求(最高裁判例 昭和45年07月16日)手形法第17条
- 振出および裏書の原因関係がともに消滅した場合における人的抗弁の対抗
- 手形振出人は、受取人から手形所持人に対する裏書の原因関係が消滅し、所持人が手形の支払を求めるなんらの経済的利益も有しないときは、受取人との間における振出の原因関係消滅の抗弁をもつて、手形所持人に対抗することができる。
- 損害賠償請求(最高裁判例 昭和46年06月10日)民法第644条,手形法第10条,手形法第75条
- 銀行が当座勘定取引契約に基づき手形の印影を照合するにあたつて尽くすべき注意義務の程度
- 銀行が、当座勘定取引契約に基づき、届出の印鑑と手形上の印影とを照合するにあたつては、銀行の照合事務担当者に対して社会通念上一般に期待されている業務上相当の注意をもつて慎重に行なうことを要し、右事務に習熟している銀行員が右のような注意を払つて熟視するならば肉眼で発見しうるような印影の相違が看過されて偽造手形が支払われたときは、その支払による不利益を取引先に帰せしめることは許されない。
- 印影照合についての銀行の注意義務と免責約款の効力
- 銀行が手形の印影と届出印鑑とが符合すると認めて支払をした場合は責任を負わない旨の当座勘定取引契約上の免責約款は、銀行が手形の印影照合にあたつて尽くすべき前項の注意義務を軽減する趣旨のものではない。
- 当座勘定取引契約に基づき手形の支払委託をうけた銀行が振出日欄白地の約束手形を支払つた場合における取引先に対する効力
- 当座勘定取引契約上の支払委託は、特段の事情のないかぎり、振出日欄白地の確定日払の約束手形の支払を含む趣旨とは解されず、銀行が、支払委託の有無を確認するための相当な方法をとることなく、右白地手形の支払をしたときは、その結果を取引先に帰属させることは許されない。
- 銀行が当座勘定取引契約に基づき手形の印影を照合するにあたつて尽くすべき注意義務の程度
- 転付預金債権支払請求(最高裁判例 昭和50年09月25日)民法第468条,民法第511条,民訴法第601条,手形法第39条,手形法第50条
- 金融機関が手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて転付された預金債権を相殺した場合と手形の返還先
- 金融機関が預金者から第三者に転付された預金債権を右預金者に対する手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて相殺した結果預金債権が転付前に遡つて消滅した場合には、金融機関は、手形貸付けについて振り出された手形又は買戻の対象となつた手形を右預金者に返還すべきであり、預金債権の転付を受けた第三者に返還すべきではない。
- 約束手形金(最高裁判例 昭和53年04月24日)手形法第11条2項
- 手形面上印刷された指図文句を抹消することなく指図禁止文句が併記された場合と裏書禁止手形
- 手形の振出人が、手形用紙に印刷された指図文句を抹消することなく、指図禁止文句を記載したため、手形面上指図文句と指図禁止文句が併記されている場合には、他に特段の事情のない限り、右手形は裏書禁止手形にあたる。
- 約束手形金(最高裁判決 昭和54年09月06日)民法第95条,手形法第12条第2項,手形法第17条
- 手形金額に錯誤のある裏書と悪意の取得者に対する償還義務の範囲
- 手形の裏書人が、金額1500万円の手形を金額150万円の手形と誤信し同金額の手形債務を負担する意思のもとに裏書をした場合に、悪意の取得者に対して錯誤を理由に償還義務の履行を拒むことができるのは、右手形金のうち150万円を超える部分についてだけであつて、その全部についてではない。
- 債務不存在確認本訴、約束手形金反訴(最高裁判例 昭和56年10月01日)手形法第11条2項
- 約束手形の受取人の氏名に続けて「限り」と明白に読みとれる記載がある場合と手形法11条2項
- 統一手形用紙を使用した約束手形の受取人欄に受取人の氏名に続けて「限り」と明白に読みとれる記載がある場合には、右記載は、手形法11条2項にいう指図禁止と同一の意義を有する文言の記載にあたる。
- 約束手形金(最高裁判決昭和57年07月15日)手形法第50条1項,手形法第70条1項,民法第1条2項
- 約束手形の裏書人が振出人の手形金支払義務の時効による消滅に伴い自己の所持人に対する償還義務も消滅したとしてその履行を免れようとすることが信義則に反し許されないとされた事例
- 約束手形の裏書人が、その所持人に対して、自己の償還義務について消滅時効の利益の放棄ないし債務の承認をしたうえ、専ら自己に対する信頼に基づいて右手形を取得した所持人本人及びその代理人である弁護士に対して、再三にわたり、しかも振出人の債務とは必ずしも関係なく自己固有の債務として手形金の支払義務があることを認めるような態度を示し、同人らに確実にその履行がされるものとの期待を抱かせながら、のちに右態度をひるがえし、その信頼を裏切つて償還義務を履行しようとせず、やむなく右所持人より提起された手形金請求訴訟においても当該手形の裏書自体を否認したりその他種々の主張を提出して引延しとみられる抗争をすることによりその審理に長期間を費やさせ、その間に所持人が専ら裏書人を信頼してその義務履行が確実にされるものと期待する余り振出人に対する手形金請求権についての消滅時効中断の措置を怠つたがために振出人の手形金支払義務が消滅したのに乗じ、これに伴い自己の償還義務も当然消滅するに至つたとしてその履行を免れようとする所為に出ることは、信義則に反し許されない。
- 約束手形金(最高裁判決昭和57年09月07日)民法第427条,民法第442条,民法第465条1項,手形法第17条,手形法第30条1項,手形法第47条1項,手形法第47条3項,手形法第49条
- 約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも保証の趣旨で裏書したものである場合に手形を受戻した第二裏書人に対し第一裏書人が負うべき遡求義務の範囲
- 約束手形の第一裏書人及び第二裏書人がいずれも振出人の手形債務を保証する趣旨で裏書したものである場合において、第二裏書人が所持人から手形を受戻したうえ第一裏書人に対し遡求したときは、第一裏書人は民法第465条1項の規定の限度においてのみ遡求に応じれば足り、右の遡求義務の範囲の基準となる裏書人間の負担部分につき特約がないときは、負担部分は平等である。
- 約束手形金(最高裁判決平成5年07月20日)手形法第10条,手形法第70条1項
- 白地手形の満期が補充された場合とその他の手形要件の白地補充権の消滅時効
- 満期及びその他の手形要件を白地として振り出された手形の満期が補充された場合は、右手形のその他の手形要件の白地補充権は、手形上の権利と別個独立に時効によって消滅することなく、手形上の権利が消滅しない限りこれを行使することができる。
- 約束手形金(最高裁判決平成7年07月14日)手形法第17条
- 貸金債権の未発生の利息の支払のために振り出された約束手形であることを知って右手形を取得した行為と手形法17条ただし書
- 約束手形の所持人が手形を裏書によって取得する際に当該手形が貸金債権の未発生の利息の支払のために振り出されたものであることを知っていたとしても、貸金債権の元本が弁済期より前に弁済されることによって右利息債権が発生しないであろうことを知っていたなどの特段の事情がない限り、手形法17条ただし書にいう「債務者ヲ害スルコトヲ知リテ手形ヲ取得シタルトキ」には当たらない。
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