民法第195条
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法学>民事法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)
条文
[編集](動物の占有による権利の取得)
- 第195条
- 家畜以外の動物で他人が飼育していたものを占有する者は、その占有の開始の時に善意であり、かつ、その動物が飼主の占有を離れた時から1箇月以内に飼主から回復の請求を受けなかったときは、その動物について行使する権利を取得する。
解説
[編集]- 家畜は動産であり[1]、盗難にあった場合は盗品、逸走(逃亡)した場合は遺失物(正確には準遺失物(遺失物法第2条))として扱われ、第193条及び第194条が適用される。一方、野生動物など家畜ではない動物は、無主物であれば捕獲により捕獲者の所有物となる(第239条。ただし、捕獲・狩猟を禁じられたものを除く)。本条は、その中間にあたる、通常は家畜ではない動物が飼育されていた時、飼育者の手を離れて占有した場合の取り扱いを定める。
- なお、家畜とは「その地方では飼育されることが普通で、野生でないもの[2]」をいい、農業用に飼育されているもののみではなく、犬や猫といった愛玩動物もこれに含まれる[3]。判例では、飼育された九官鳥は「家畜外ノ動物ニ非ラズ(=家畜)」と判定されている(判例)。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 大審院判決昭和7年2月16日大審院民事判例集11巻138頁(九官鳥事件)
- 「本条ニ所謂家畜外ノ動物ノ意義ハ即野生ニシテ通常ノ観念上無主物ト認メラルルモノヲ指スモノ」であり、「人ノ支配ニ服セスシテ生活スルヲ通常ノ状態トスル動物ヲ指称スルモノ」
脚注
[編集]- ^ 動物ト雖モ家畜ノモノハ毫モ他ノ動產ニ異ナルコトナシ何トナレハ他ノ動產ト違ヒ自ラ動移スル物ナルニ相違ナキモ人ヲ離レテ生活スヘキモノニ非ス且一旦逸走スルモ之ヲ捕フルコト極メテ容易ナルヲ常トスレハナリ(梅謙次郎『民法要義』)
- ^ 水本浩『注釈民法(1) 総則・物件 第2版』p.211 有斐閣 ISBN4-641-08725-3
- ^ 家畜外ノ動物トハ例ヘハ狐、狸、虎、熊、鶯、金絲雀、鯉、鮒、鯛等ノ如キ物ヲ謂フ之ニ反シテ牛、馬、犬、猫、家鴿、鷄、家鴨、金魚等ノ如キハ皆家畜ノ動物ナリ(梅謙次郎『民法要義』)
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