民法第196条
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第2編 物権 (コンメンタール民法)
条文
[編集](占有者による費用の償還請求)
- 第196条
- 占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
- 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
解説
[編集]占有物の返還の際の必要費・有益費についての規定。
- 回復者 - 物件的請求権を行使した者(民法第191条)
- 1項
- 請求可能時期は占有物の返還時。
- 2項
- 有益費は、必要費と違い必ず支出される費用ではないので、返還請求は、常には認められない。
- ただし書きは、悪意の占有者が故意に多額の有益費を支出して償還請求し、回復者の無資力に乗じての留置権の行使を防ぐためである。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 船舶引渡等請求(最高裁判決 昭和30年03月04日)民法第295条、民法第298条
- 民法第298条第2項但書にいわゆる留置物の保存に必要な使用
- 木造帆船の買主が、売買契約解除前支出した修繕費の償還請求権につき右船を留置する場合において、これを遠方に航行せしめて運送業務のため使用することは、たとえ解除前と同一の使用状態を継続するにすぎないとしても、留置物の保存に必要な使用をなすものとはいえない。
- 建物収去土地明渡等請求(最高裁判決 昭和48年07月17日)
- 賃借人が賃借建物に附加した部分が滅失した場合と有益費償還請求権
- 賃借人が賃借建物に附加した増・新築部分が、賃貸人に返還される以前に、賃貸人、賃借人いずれの責にも帰すべきでない事由により滅失したときは、特段の事情のないかぎり、右部分に関する有益費償還請求権は消滅する。
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