民法第526条
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法学>民事法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
条文
[編集](申込者の死亡等)
- 第526条
- 申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない。
改正経緯
[編集]2017年改正により、以下の条項のうち第1項を削除し(契約の成立時期に関する発信主義の特則の廃止)、第2項を第527条に移動、改正前第525条の規定内容から移動した。
改正前条項
- (隔地者間の契約の成立時期)
- 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
- 申込者の意思表示又は取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合には、契約は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に成立する。
改正後条項
- 2017年改正前第525条(申込者の死亡又は行為能力の喪失) には以下のとおり規定されていた。
- 民法第97条第2項の規定は、申込者が反対の意思を表示した場合又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合には、適用しない。
- (旧)民法第97条第2項
- 隔地者に対する意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、又は行為能力を喪失したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
- (旧)民法第97条第2項
- 民法第97条第2項の規定は、申込者が反対の意思を表示した場合又はその相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合には、適用しない。
- (改正の概要)
- 要件1
- 「申込者が反対の意思を表示した場合」を削除
- 旧.民法第97条第2項(現.第3項)は、申込みの場合以外であっても当事者の反対の意思表示によって適用を排除できると考えられるため、申込みの場面において特に明示する必要がない。
- 申込者が意思能力を喪失した場合を付加、一時的なものを除外するために「常況にある者」とした。
- 民法第97条改正とあわせ、「行為能力の喪失」を「行為能力の制限を受けたとき」とした。
- 「申込者が反対の意思を表示した場合」を削除
- 要件2
- 「申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき」を追加。
- 「相手方が申込者の死亡若しくは行為能力の喪失の事実を知っていた場合」を「相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったとき」とした。
- 効果
- 民法第97条適用排除から、端的に無効に。
- 要件1
解説
[編集]申込者が、申込後、相手方の承諾を受領するまでに死亡等をした場合の申込みの効力について規定する。
以下の、事情が発生した時は、申し込みを無効とする。
- 要件1 申込者に生じた事由
- 要件2 申込みに関する事由
- 申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき
- 相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったとき
参照条文
[編集]- 第97条第3項
- 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
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