民法第721条
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法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第3編 債権 (コンメンタール民法)
条文[編集]
- 第721条
- 胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。
解説[編集]
民法では第3条で「私権の共有は出生により始まる」と定められている。すなわち、原則として胎児には権利能力は認められない。
しかしながら、これでは例えば胎児である時に父親が事故で亡くなったというような場合に不当な結果を招いてしまう。つまり、父親の死がその胎児の出生より少しでも早かった場合に、その子は、父親の死亡よりわずかに遅く生まれてしまったという偶然的事情によって、加害者に対して父親を失ったことによる損害賠償請求権を取得できないという不公平が生じてしまうということである。
そこで民法では本条によって例外的に損害賠償請求について胎児を生まれたものとしてみなすとしている。
「胎児を…既に生まれたものとしてみなす」ということについては、解釈として法定停止条件説と法定解除条件説という2つの説がある。
まず法定停止条件説とは、胎児である間には権利能力が認められず、胎児が生きて生まれてきた場合にその不法行為時に遡って権利能力を認めるというものである(人格遡及説)。
次に法定解除条件説とは、胎児にも胎児である段階で権利能力を認め、胎児が死産であった場合には遡及的にその権利能力が消滅するというものである(制限人格説)。
現在の判例の立場としては、損害賠償請求権については法定解除条件説[要出典]が有力である。
参照条文[編集]
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