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民法第910条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法民法コンメンタール民法第5編 相続 (コンメンタール民法)

条文

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相続の開始後に認知された者の価額の支払請求権)

第910条
相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。

解説

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遺産分割協議は、共同相続人全員によって行われなければならず、これに反した協議は無効である。ここで、遺産分割協議の終了後に、認知の訴え(787条)によって共同相続人になった者が現れると、認知の効果は出生の時に遡るから(784条)、遺産分割協議は無効であるということになりかねない。民法はこの場合に、遺産分割協議の効果を維持しつつ、あらたな共同相続人の利益も保護するために、本条の規定を置いている。

参照条文

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判例

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  • 土地持分所有権確認等(最高裁判決 昭和54年03月23日)民法第784条
    母の死亡による相続につき遺産の分割その他の処分後に共同相続人である子の存在が明らかになつた場合民法第784条但書、本条の類推適用の可否
    母の死亡による相続につき遺産の分割その他の処分後に共同相続人である子の存在が明らかになつた場合と民法第784条但書又は本条の類推適用をすることはできない。
    (学説上有力な反対説がある)

参考

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明治民法において、本条には後見監督人の選任に関する以下の規定があった。趣旨は、民法第848条に継承された。

後見人ヲ指定スルコトヲ得ル者ハ遺言ヲ以テ後見監督人ヲ指定スルコトヲ得

前条:
民法第909条の2
(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
民法
第5編 相続

第3章 相続の効力

第3節 遺産の分割
次条:
民法第911条
(共同相続人間の担保責任)


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