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消費者契約法第9条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

コンメンタール消費者契約法

条文[編集]

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)

第9条  
次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
  1. 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの
    当該超える部分
  2. 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が2以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年14.6パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの
    当該超える部分

解説[編集]

参照条文[編集]

判例[編集]

  1. 学納金返還請求事件(最高裁判決平成18年11月27日) (1につき)民法第1編第5章第1節 総則,民法第540条1項,民法第420条学校教育法第6条
    1. 入学手続要項等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」等の記載がある大学の入学試験の合格者が当該大学との間で在学契約を締結した場合における入学式の無断欠席と在学契約の解除の意思表示
      入学手続要項等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」,「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」等の記載がある大学の入学試験の合格者が当該大学との間で在学契約を締結した場合において,当該合格者が入学式を無断で欠席することは,特段の事情のない限り,黙示の在学契約の解除の意思表示に当たる。
    2. 入学手続要項等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」等の記載がある大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料を返還しない旨の特約に対する消費者契約法9条1号の適用の効果
      入学手続要項等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」,「入学式を無断欠席した場合には入学を取り消す」等の記載がある大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は,入学式の日までに明示又は黙示に同契約が解除された場合には,原則として,当該大学に生ずべき消費者契約法9条1号所定の平均的な損害は存しないものとして,同号によりすべて無効となる。
  2. 不当利得返還請求事件(最高裁判決平成18年11月27日) 日本国憲法第29条
    消費者契約法9条1号と憲法29条
    消費者契約法9条1号は憲法29条に違反しない。
    • 消費者契約法は,消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすること等によって,消費者の利益の擁護を図り,もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的として制定されたものであり,上記のような消費者と事業者との間に存する格差に着目して,同法2条において,両者の間で締結される契約を広く同法の適用対象と定め,同法9条1号は,消費者契約の解除に伴って事業者が消費者に対し高額な損害賠償等を請求することによって,消費者が不当な出えんを強いられることを防止することを目的とするものであって,このような立法目的が正当性を有することは明らかである。
    • 同号は,損害賠償の予定等を定める条項をすべて無効とするのではなく,そのうち,解除される消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分を無効とするにとどまるのであり,このことからすれば,同号の規定が,上記のような立法目的達成のための手段として,必要性や合理性を欠くものであるとすることはできない。
  3. 不当利得返還請求事件(最高裁判決平成18年11月27日)
    1. 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約に関する消費者契約法第9条1号所定の平均的な損害等の主張立証責任
      大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約に納付済みの授業料等を返還しない旨の特約がある場合,消費者契約法9条1号所定の平均的な損害及びこれを超える部分については,事実上の推定が働く余地があるとしても,基本的には当該特約の全部又は一部の無効を主張する当該合格者において主張立証責任を負う。
    2. 大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約に対する消費者契約法9条1号の適用の効果
      大学の入学試験の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は,国立大学及び公立大学の後期日程入学試験の合格者の発表が例年3月24日ころまでに行われ,そのころまでには私立大学の正規合格者の発表もほぼ終了し,補欠合格者の発表もほとんどが3月下旬までに行われているという実情の下においては,同契約の解除の意思表示が大学の入学年度が始まる4月1日の前日である3月31日までにされた場合には,原則として,当該大学に生ずべき消費者契約法9条1号所定の平均的な損害は存しないものとして,同号によりすべて無効となり,同契約の解除の意思表示が同日よりも後にされた場合には,原則として,上記授業料等が初年度に納付すべき範囲内のものにとどまる限り,上記平均的な損害を超える部分は存しないものとして,すべて有効となる。
    3. 専願等を出願資格とする大学の推薦入学試験等の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約に対する消費者契約法9条1号の適用の効果
      入学試験要項等の定めにより,その大学,学部を専願あるいは第1志望とすること,又は入学することを確約することができることが出願資格とされている大学の推薦入学試験等の合格者と当該大学との間の在学契約における納付済みの授業料等を返還しない旨の特約は,上記授業料等が初年度に納付すべき範囲内のものである場合には,同契約の解除の時期が当該大学において同解除を前提として他の入学試験等によって代わりの入学者を通常容易に確保することができる時期を経過していないなどの特段の事情がない限り,消費者契約法9条1号所定の平均的な損害を超える部分は存しないものとして,すべて有効となる。

前条:
第8条の3
(事業者に対し後見開始の審判等による解除権を付与する条項の無効)
消費者契約法
第2章 消費者契約
第2節 消費者契約の条項の無効
次条:
第10条
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
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