生活保護法第59条
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条文
[編集](譲渡禁止)
- 第59条
- 保護又は就労自立給付金若しくは進学・就職準備給付金の支給を受ける権利は、譲り渡すことができない。
改正経緯
[編集]改正前条文は以下のとおり。
- 被保護者は、保護を受ける権利を譲り渡すことができない。
解説
[編集]生活保護法の規定に基づき要保護者または被保護者が国から生活保護を受けるのは、単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく、法的権利であつて、保護受給権とも称すべきものと解すべきであるが、この権利は、被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に与えられた一身専属の権利であつて、他にこれを譲渡し得ない旨を定める。したがって、相続の対象ともなり得ない(朝日訴訟判決参照)。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 生活保護法による保護に関する不服の申立に対する裁決取消請求(朝日訴訟 最高裁判決昭和42年5月24日 第21巻5号1043頁)憲法第25条,民訴法208条(現・民訴法124条),行政事件訴訟法9条
- 被保護者の死亡と生活保護処分に関する裁決取消訴訟承継の成否
- 生活保護処分に関する裁決の取消訴訟は、被保護者の死亡により、当然終了する。
- 生活保護法の規定に基づき要保護者または被保護者が国から生活保護を受けるのは、単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく、法的権利であつて、保護受給権とも称すべきものと解すべきである。しかし、この権利は、被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に与えられた一身専属の権利であつて、他にこれを譲渡し得ないし(59条参照)、相続の対象ともなり得ないというべきである。また、被保護者の生存中の扶助ですでに遅滞にあるものの給付を求める権利についても、医療扶助の場合はもちろんのこと、金銭給付を内容とする生活扶助の場合でも、それは当該被保護者の最低限度の生活の需要を満たすことを目的とするものであつて、法の予定する目的以外に流用することを許さないものであるから、当該被保護者の死亡によつて当然消滅し、相続の対象となり得ない、と解するのが相当である。また、所論不当利得返還請求権は、保護受給権を前提としてはじめて成立するものであり、その保護受給権が右に述べたように一身専属の権利である以上、相続の対象となり得ないと解するのが相当である。
- 生活扶助基準の適否に関する最高裁判所の意見
- →憲法第25条判例の節参照
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