自然環境保全法第22条

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法学環境法自然環境保全法コンメンタール自然環境保全法

条文[編集]

(指定)

第22条

  1. 環境大臣は、原生自然環境保全地域以外の区域で次の各号のいずれかに該当するもののうち、自然的社会的諸条件からみてその区域における自然環境を保全することが特に必要なものを自然環境保全地域として指定することができる。
    一 高山性植生又は亜高山性植生が相当部分を占める森林又は草原の区域(これと一体となつて自然環境を形成している土地の区域を含む。)でその面積が政令で定める面積以上のもの(政令で定める地域にあつては、政令で定める標高以上の標高の土地の区域に限る。)
    二 優れた天然林が相当部分を占める森林の区域(これと一体となつて自然環境を形成している土地の区域を含む。)でその面積が政令で定める面積以上のもの
    三 地形若しくは地質が特異であり、又は特異な自然の現象が生じている土地の区域及びこれと一体となつて自然環境を形成している土地の区域でその面積が政令で定める面積以上のもの
    四 その区域内に生存する動植物を含む自然環境が優れた状態を維持している海岸、湖沼湿原又は河川の区域でその面積が政令で定める面積以上のもの
    五 その海域内に生存する熱帯魚、さんご、海藻その他の動植物を含む自然環境が優れた状態を維持している海域でその面積が政令で定める面積以上のもの
    六 植物の自生地、野生動物の生息地その他の政令で定める土地の区域でその区域における自然環境が前各号に掲げる区域における自然環境に相当する程度を維持しているもののうち、その面積が政令で定める面積以上のもの
  2. 自然公園法第二条第一号に規定する自然公園の区域は、自然環境保全地域の区域に含まれないものとする。
  3. 環境大臣は、自然環境保全地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の長及び中央環境審議会の意見をきかなければならない。この場合においては、次条第一項に規定する自然環境保全地域に関する保全計画の案についても、あわせて、その意見をきかなければならない。
  4. 環境大臣は、自然環境保全地域を指定しようとするときは、あらかじめ、環境省で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。
  5. 前項の規定による公告があつたときは、当該区域に係る住民及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された案について、環境大臣に意見書を提出することができる。
  6. 環境大臣は、前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があつたとき、又は当該自然環境保全地域の指定に関し広く意見をきく必要があると認めたときは、公聴会を開催するものとする。
  7. 第十四条第四項及び第五項の規定は自然環境保全地域の指定及び指定の解除並びにその区域の変更について、第三項前段の規定は自然環境保全地域の指定の解除及びその区域の変更について、同項後段及び前三項の規定は自然環境保全地域の区域の拡張について、それぞれ準用する。

    

解説[編集]

本条から自然環境保全地域にかかる章となり、本条は、その指定についての規定である。

第1項は、原生自然環境保全地域以外の区域に存し、「自然的社会的諸条件からみてその区域における自然環境を保全することが特に必要なもの」を、列挙している。本項各号の「政令」は、次のものである。

  • 自然環境保全法施行令

(自然環境保全地域の最低面積等) 第4条

  1. 法第二十二条第一項第一号 の政令で定める面積は千ヘクタールとし、同号 の政令で定める地域は北海道とし、同号 の政令で定める標高は八百メートルとする。
  2. 法第二十二条第一項第二号 の政令で定める面積は、百ヘクタールとする。
  3. 法第二十二条第一項第三号 から第五号 までの政令で定める面積は、十ヘクタールとする。
  4. 法第二十二条第一項第六号 の政令で定める土地の区域は植物の自生地、野生動物の生息地若しくは繁殖地又は樹齢が特に高く、かつ、学術的価値を有する人工林が相当部分を占める森林の区域とし、同号 の政令で定める面積は十ヘクタールとする。

第2項で、自然公園の区域は、自然環境保全地域の区域に含まれないものとしている。これは、本法が利用を前提としてなく、自然公園法と目的が異なることがある[1]

第3項は、自然環境保全地域の指定をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の長及び中央環境審議会の意見をきかなければならない、としている。なお、原生自然環境保全地域の指定の場合は、「関係都道府県知事及び中央環境審議会の意見をきかなければならない」とされている(第14条)。

第4項から第6項にかけては、自然環境保全地域の指定の案の縦覧に関する規定である。

第7項では、第14条の該当する規定の準用により、指定の解除、区域の変更に関する手続きも指定と同様となることとなる。また、区域の指定、指定の解除、区域の変更は、官報公示及びその公示により指定の効力が発生すること、となる。

脚注[編集]

  1. ^ 環境省 「国立・国定公園の指定及び管理運営に関する検討会」の資料

参照条文[編集]


前条:
自然環境保全法第21条
(国等に関する特例)
自然環境保全法
第4章 自然環境保全地域
第1節 指定等
次条:
自然環境保全法第23条
(指定)


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