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行政事件訴訟法第25条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学コンメンタール行政事件訴訟法

条文

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(執行停止)

第25条
  1. 処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
  2. 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。
  3. 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
  4. 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。
  5. 第2項の決定は、疎明に基づいてする。
  6. 第2項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。
  7. 第2項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
  8. 第2項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。

解説

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処分の執行または手続の続行によって目的を達することができなければ処分の効力の停止をする。

第一項は「執行不停止の原則」を定めた。これは行政の円滑な運営のためである。

第二項は、執行停止の一要件として、本案として取消しの訴えが提起されていることを定める。この取消しの訴えが管轄の裁判所に係属している間はとりたてて申立て可能な時機についての制限はない[1]。申立てに対する決定がなされる前に本案が係属することになった場合も認められる。また、却下決定後に再度申立てをすることも妨げられない。

執行停止による重大な損害を避けるために緊急の必要があると認める場合、行政不服審査法では「執行停止をしなければならない」と定めているのに対し、行政事件訴訟法では「執行停止をすることができる」と定めていることに注意したい。

第三項について、かつては「重大な損害」ではなく「回復の困難な損害」と定められていたが、回復の困難性が考慮要素の一つと改正された[2]

第四項の「疎明」とは、当事者の訴訟活動によって裁判官が「一応確からしい」という心証を得ることをいう。当事者は裁判官に確信(=証明)を抱かせる必要はない。疎明に失敗すると申立てが却下されてしまう。

第五項は「任意的口頭弁論」とよばれる手続きであり、処分の違法性を争うのに口頭弁論が必要でその中で当事者の主張立証に基づき判決が下るのに対して、任意的口頭弁論の場合争われているのは手続きそのものについてであり、裁判所はその口頭弁論に現れなかった資料に基づいても決定をすることができる。

裁判所は口頭弁論を経ず提出された資料だけで執行停止の申立ての却下決定をすることができる。

第七項について、口頭弁論を経て申立てが却下された場合抗告はできないという民事訴訟法の原則(民事訴訟法第328条)があるから、原告による即時抗告は口頭弁論を経ずに申立てが却下された場合と解しうる。

第八項は、即時抗告に執行停止の効力があるという原則(民事訴訟法第334条)の例外である。

脚注

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  1. ^ 控訴審で判決言渡し後であっても、執行停止の申立てをすることを認めた例がある(東京高裁 2009)。
  2. ^ ちなみに、別の仮の権利保護のものである、仮の義務付け及び仮の差止め(第37条の5)では、執行停止と比べてより要件が厳しく、「償うことのできない」損害となっていることも注意。損害が重大であるかどうかの判断は実務上最も大きな問題である。

参照条文

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行政不服審査法第25条

判例

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  • “執行停止申立事件, 決定, 平成21(行タ)5号”, 東京高等裁判所, (2009(平成21)-02-06) , “執行停止申立事件(本案・当庁平成21年(行ノ)第6号)”, 裁判所ウェブサイト , 判例時報 (327): 81. 

前条:
第24条
(職権証拠調べ)
行政事件訴訟法
第2章 抗告訴訟
第1節 取消訴訟
次条:
第26条
(事情変更による執行停止の取消し)


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