民法第104条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法民法コンメンタール民法第1編 総則 (コンメンタール民法)

条文[編集]

任意代理人による復代理人の選任)

第104条
委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。

解説[編集]

任意代理人が復代理人を選任する場合における復代理禁止原則を定めた規定である。「委任による代理」とは、起草者が委任契約によって代理権が与えられたと考えていた証拠であるが、現在では単に任意代理を意味すると考えられている。

2017年改正前、次条第105条には「復代理人を選任した代理人の責任」につき以下のとおり規定されていた。

復代理人を選任した代理人の責任)

  1. 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。
  2. 代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。

本来、代理人が本人との間に債務不履行責任が発生するはずであるが、任意代理において、復代理は本人の許諾を必須としており、本人が許諾した責任に応じ、旧第105条によって代理人の責任が大幅に緩和されていた。

  • 第1項において、復代理人の「選任及び監督」以外について代理人は本人から責任追及されず、
  • 第2項本文において、本人が選任したことにより、選任監督責任すら免除され、同項ただし書において、本人による復代理人の指名の場合においても、代理人に、復代理人が代理職務に対して執行の任に当たっていないことを知りながら本人に通知しないなど、一定の背信的な行為があった場合はなお責任を免じえないことを定めていた。

しかしながら、民法制定当時(明治中期)に比べ社会活動は格段に複雑化しており、委任代理は例外的なものではなくなっていることに鑑み、本人が代理人に委任した事項に関して代理人は債務履行義務を負うべきとされ、旧第105条は2017年改正で削除され、旧民法第106条の条数が繰り上がった。

なお、旧第105条第2項に定められていた復代理人を本人が選任した場合の責任関係については、過失相殺で解決されるものとされる。

参照条文[編集]


前条:
民法第103条
(権限の定めのない代理人の権限)
民法
第1編 総則

第5章 法律行為

第3節 代理
次条:
民法第105条
(法定代理人による復代理人の選任)
このページ「民法第104条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。