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民法第702条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学民事法民法コンメンタール民法第3編 債権 (コンメンタール民法)

条文

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(管理者による費用の償還請求等)

第702条
  1. 管理者は、本人のために有益な費用を支出したときは、本人に対し、その償還を請求することができる。
  2. 第650条第2項の規定は、管理者が本人のために有益な債務を負担した場合について準用する。
  3. 管理者が本人の意思に反して事務管理をしたときは、本人が現に利益を受けている限度においてのみ、前二項の規定を適用する。

解説

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事務管理が成立する場合、管理のために生じた費用や負担した債務につき、管理者と本人との関係について定めた規定である。
「管理者」の定義については、民法第697条に規定がある。
委任と事務管理とは、後者は義務なくしてはじめられる行為であるとはいえ、関係者の利益状況は類似した状況にあるため、第2項のような準用規定(代弁済請求権の規定の準用)が設けられているが、本人の意思に反している場合には、本人の利益を考慮する必要が大きいため、第3項による制限が設けられている。
なお、当初から本人の意思に反していることが明らかであれば、事務管理は成立しないため(第700条ただし書参照)、3項は、当初の段階では、本人の意思が明らかでない場合を想定して規定されたものと解される。
  • 民法650条(受任者による費用等の償還請求等)
有益な費用の判断時期は、請求時では無く、管理の当時を基準として客観的に判断すべきと解されている。
また、本人の意思に反する事務管理の場合は、償還請求の時を基準として、現存利益の判断をすべきと解されている。

参照条文

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判例

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  • 所有権移転登記手続請求(最高裁判決 昭和36年11月30日)民法第697条
    事務管理者が本人の名でした法律行為の効果。
    事務管理者が本人の名でした法律行為の効果は、当然には本人に及ぶものではない。
    • そのような効果の発生するためには、代理その他別個の法律関係が伴うことを必要とする

前条:
民法第701条
(委任の規定の準用)
民法
第3編 債権
第3章 事務管理
次条:
民法第703条
(不当利得の返還義務)
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