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刑事訴訟法第337条

出典: フリー教科書『ウィキブックス(Wikibooks)』

法学刑事法刑事手続法刑事訴訟法

条文

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【免訴の判決】

第337条
左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない。
  1. 確定判決を経たとき。
  2. 犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。
  3. 大赦があったとき。
  4. 時効が完成したとき。

解説

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ウィキペディア免訴の記事があります。

免訴とは、公訴権の消滅を理由に有罪・無罪の判断をせずに裁判を打ち切ることを言う。当罰的な公訴事実が無いことを判断したものではないので無実の判決とは異なるが、その公訴事実により被疑者を罰する根拠は失われるし、当然、逃亡等を回避するため拘置する根拠も失われる。

免訴判決は一事不再理の効力を有し、また、訴追側は上訴できる。一方、被告人側が無罪判断を求め上訴できるかについては、学説上争いがあり、無罪を求めることに利益がある旨の説も有力ではあるが、訴えの利益がないとするのが最高裁判所の判例(最高裁昭和23年5月26日判決)である。なお、免訴でも無罪と推定される場合は刑事補償を受けることはできる(刑事補償法第25条)。

免訴となる場合

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ウィキペディア一事不再理の記事があります。

被告人の行為に対して適用されるべき犯罪に関して以下の場合に当てはまるときには、免訴を言い渡し裁判を終結させなければならない。

  1. 確定判決を経たとき。
    同一の事件に関して他の裁判所で確定判決が存在していた場合は、憲法第39条後段の趣旨(一事不再理・「二重の危険」の回避)から、これを免訴とする。
  2. 犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。
    文字通り「刑罰」だけがなくなるケースを言うのではなく、「その行為を犯罪とする規定(処罰規定)そのものが廃止されたとき」を指す。罪刑法定主義の拡張概念の一つであり、訴追された法律が公判中に廃止された場合、そもそも当罰性がない行為であるのでこれを廃止したものと理解し、公訴権は消滅するとしたものである。ただし、廃止を定めた改正法の附則規定に経過措置として「この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。」と定められることが一般的であり、この場合本号の適用は無い。
  3. 大赦があったとき。
    恩赦法第2条及び第3条に適用される大赦の対象である場合、免訴となる。
  4. 時効が完成したとき。
    適用されるべき犯罪が起訴の段階で、公訴時効第250条)が成立していた場合、免訴となる。
    「迅速な裁判の保障条項に反する事態が生じた場合」に準用される(判例)。

参照条文

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判例

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  1. 不敬プラカード事件 最高裁判決昭和23年5月26日)
    1. 大赦のあつた事件につき實體上の審理をした違法と上告の適否
      原審は控訴審として本件を審理するにあたり、大赦令の施行にもかかわらず、依然本件公訴につき實體上の審理をつづけ、その結果被告人の本件所爲は刑法第74條第1項【不敬罪・昭和22年削除/廃止】に該當するものと判定し、その上で前記大赦令を適用して、その主文において被告人を免訴する旨の判決をしたのである。右の如く、原審が大赦令の施行にもかかわらず實體上の審理をなし、その判決理由において被告人に對し有罪の判定を下したことは、前段説明したような大赦の趣旨を誤解したものであつて、違法たるを免れず、その違法はまさに本判決をもつて、これを拂拭するところであるが、原判決がその主文において、被告人に對して免訴の判決を言渡したのは結局において正しいといわなければならぬ。
    2. 大赦の効力と控訴權の消滅
      そもそも恩赦は、ある政治上又は社曾政策上の必要から司法權行使の作用又は効果を行政權で制限するものであつて、舊憲法下でいうならば天皇の大權に基いて、行政の作用として、既に刑の言渡を受けたものに對して、判決の効力に變更を加えまだ刑の言渡を受けないものに對しては、刑事の訴追を阻止して司法權の作用効果を制限するものであることは、大正元年勅令第20號恩赦令の規定に徴し明瞭である。であるから、どの判決の効力に變更を加え又はどの公訴について、その訴追を阻止するかは、專ら、行政作用の定むるところに從うべきである前記大赦令(昭和21年勅令第511號)に、同日前に刑法第74條の罪を犯したものは赦免せられるとあるは、まだ刑の言渡を受けないものに對しては、前示刑法第74條の罪を犯したりとの嫌疑をもつて起訴せられ、その具體的公訴事實について、現に公訴の繋屬中なるものについて、その訴追を阻止するという趣旨に解しなければならぬ。しかして、大赦の効力に關しては前示恩赦令は大赦は、大赦ありたる罪につき、未だ刑の言渡を受けないものについては、公訴權は消滅する旨(恩赦令第3條)を定めている。即ち、本件のごとく公訴繋屬中の事件に對しては、大赦令施行の時以後、公訴權消滅の効果を生ずるのである。
    3. 大赦と公訴繋屬中の事件に對する裁判
      公訴繋屬中の事件について大赦があつたときは、裁判所は、單に免訴の判決をすべく、公訴事實の存否又はその犯罪の成否などについて實體上の審判を行うことはできない。
    4. 大赦を理由とする免訴の判決と無罪の判決を求めることの可否
      裁判所が公訴につき、實體的審理をして、刑罰權の存否及び範圍を確定する權能をもつのは、檢事の當該事件に對する具體的公訴權が發生し、かつ、存續することを要件とするのであつて、公訴權が消滅した場合、裁判所は、その事件につき、實體上の審理をすすめ、檢事の公訴にかかる事實が果して眞實に行われたかどうか、眞實に行われたとして、その事實は犯罪を構成するかどうか、犯罪を構成するとせば、いかなる刑罰を科すべきやを確定することはできなくなる。これは、不告不理の原則を採るわが刑事訴訟法の當然の歸結である。本件においても、既に大赦によつて公訴權が消滅した以上、裁判所は前に述べたように、實體上の審理をすることはできなくなり、ただ、刑事訴訟法第363條【現本条】に從つて、被告人に對し、免訴の判決をするのみである。從つて、この場合、被告人の側においてもまた、訴訟の實體に關する理由を主張して、無罪の判決を求めることは許されないのである。
  2. 住居侵入、暴力行為等処罰に関する法律違反等高田事件 最高裁判決 昭和47年12月20日)日本国憲法第37条
    1. 憲法37条1項の迅速な裁判の保障条項の趣意
      憲法37条1項は、単に迅速な裁判を一般的に保障するために必要な立法上および司法行政上の措置をとるべきことを要請するにとどまらず、さらに個々の刑事事件について、現実に右の保障に明らかに反し、審理の著しい遅延の結果、迅速な裁判をうける被告人の権利が害せられたと認められる異常な事態が生じた場合には、その審理を打ち切るという非常救済手段がとられるべきことをも認めている趣旨の規定である。
    2. 迅速な裁判の保障条項に反する事態に至つているか否かの判断基準
      具体的刑事事件における審理の遅延が迅速な裁判の保障条項に反する事態に至つているか否かは、遅延の期間のみによつて一律に判断されるべきではなく、遅延の原因と理由などを勘案して、その遅延がやむをえないものと認められないかどうか、これにより右の保障条項がまもろうとしている諸利益がどの程度実際に害せられているかなど諸般の情況を総合的に判断して決せられなければならず、事件が複雑なために、結果として審理に長年月を要した場合はもちろん、被告人の逃亡、出廷拒否または審理引延しなど遅延の主たる原因が被告人側にあつた場合には、たとえその審理に長年月を要したとしても、迅速な裁判をうける被告人の権利が侵害されたということはできない。
    3. 迅速な裁判の保障条項に反する事態が生じた場合の事件処理の方途
      刑事事件が裁判所に係属している間に、迅速な裁判の保障条項に反する事態が生じた場合においては、判決で免訴の言渡をするのが相当である。
      • 第一審において公訴時効が完成した場合に準じ刑訴法337条4号により被告人らを免訴すべきものとした判決を破棄した控訴審判決を、最高裁判決において棄却した(第一審判決を支持)。
  3. 建造物侵入,窃盗被告事件(最高裁判決平成15年10月7日)盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条
    前訴及び後訴の各訴因が共に単純窃盗罪であるが実体的には一つの常習特殊窃盗罪を構成する場合と前訴の確定判決による一事不再理効の範囲
    前訴及び後訴の各訴因が共に単純窃盗罪である場合には,両者が実体的には一つの常習特殊窃盗罪を構成するとしても,前訴の確定判決による一事不再理効は,後訴に及ばない。
    • この問題は,確定判決を経由した事件(以下「前訴」という。)の訴因及び確定判決後に起訴された確定判決前の行為に関する事件(以下「後訴」という。)の訴因が共に単純窃盗罪である場合において,両訴因間における公訴事実の単一性の有無を判断するに当たり,
      1. 両訴因に記載された事実のみを基礎として両者は併合罪関係にあり一罪を構成しないから公訴事実の単一性はないとすべきか,それとも,
      2. いずれの訴因の記載内容にもなっていないところの犯行の常習性という要素について証拠により心証形成をし,両者は常習特殊窃盗として包括的一罪を構成するから公訴事実の単一性を肯定できるとして,前訴の確定判決の一事不再理効が後訴にも及ぶとすべきか,
      という問題であると考えられる。
    • 訴因制度を採用した現行刑訴法の下においては,少なくとも第一次的には訴因が審判の対象であると解されること,犯罪の証明なしとする無罪の確定判決も一事不再理効を有することに加え,前記のような常習特殊窃盗罪の性質や一罪を構成する行為の一部起訴も適法になし得ることなどにかんがみると,前訴の訴因と後訴の訴因との間の公訴事実の単一性についての判断は,基本的には,前訴及び後訴の各訴因のみを基準としてこれらを比較対照することにより行うのが相当である(原則として、上記⒈の考え方に従う)。
      本件においては,前訴及び後訴の訴因が共に単純窃盗罪であって,両訴因を通じて常習性の発露という面は全く訴因として訴訟手続に上程されておらず,両訴因の相互関係を検討するに当たり,常習性の発露という要素を考慮すべき契機は存在しないのであるから,ここに常習特殊窃盗罪による一罪という観点を持ち込むことは,相当でない。
  4. 常習特殊窃盗被告事件(最高裁判決令和3年6月28日)盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律第2条
    前訴で住居侵入,窃盗の訴因につき有罪の第1審判決が確定した場合において,後訴の訴因である常習特殊窃盗を構成する行為が前訴の第1審判決後にされたものであるときの前訴の確定判決による一事不再理効の範囲
    前訴で住居侵入,窃盗の訴因につき有罪の第1審判決が確定した場合において,後訴の訴因である常習特殊窃盗を構成する住居侵入,窃盗の各行為が前訴の第1審判決後にされたものであるときは,前訴の訴因が常習性の発露として行われたか否かについて検討するまでもなく,前訴の確定判決による一事不再理効は,後訴に及ばない。

前条:
第336条
【無罪の判決】
刑事訴訟法
第2編 第一審

第3章 公判

第5節 公判の裁判
次条:
第338条
【公訴棄却の判決】
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