教育基本法第5条
表示
条文
[編集](義務教育)
- 第5条
- 国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
- 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。
- 国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。
- 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。
旧教育基本法
[編集]- 第4条(義務教育)
- 国民は、その保護する子女に、9年の普通教育を受けさせる義務を負う。
- 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。
解説
[編集]本条は、日本国憲法第26条第2項にいう「義務教育」について具体化する規定である。旧教育基本法では、義務教育について9年という具体的な年数が規定されていたが、本条では「別に法律で定めるところにより」として、学校教育法により9年と規定されている。また、旧教育基本法と違い、第2項に義務教育の目的規定、第3項に国と地方公共団体の役割規定が設けられている。
第4項では授業料の無償について規定されている。日本国憲法に規定する義務教育の無償の範囲について、判例(最高裁判所大法廷判決昭和39年2月26日)は、「憲法26条2項後段の『義務教育は、これを無償とする。』という意義は、国が義務教育を提供するにつき有償としないこと、換言すれば、子女の保護者に対しその子女に普通教育を受けさせるにつき、その対価を徴収しないことを定めたものであり、教育提供に対する対価とは授業料を意味するものと認められるから、同条項の無償とは授業料不徴収の意味と解するのが相当である。」として、無償の対象は授業料のみとされており、本項の規定はこの判例を踏襲しているが、就学に関係する費用は全て無償にすべきであるという考え方(就学必需費無償説)もある。
参照条文
[編集]判例
[編集]- 傷害致死事件(最高裁判所第三小法廷決定昭和36年7月25日、昭和32年(あ)第2740号、最高裁判所裁判集刑事138号853頁)
- 実刑と教育基本法第4条第1項に規定する「その保護する子女に普通教育を受けさせる義務」。
- 論旨は違憲をいうが、憲法第26条第2項は「すべて国民は法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を追う」旨規定し、これに基き教育基本法第4条第1項は「国民はその保護する子女に、9年の普通教育を受けさせる義務を負う」と規定するところ、被告人の国民として負う右法律上の義務は、被告人が実刑に処せられると否とによつて何等の消長をも来すべきものではないこというまでもなく、被告人が実刑に服することによつて、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務履行上に事実上支障を与えるか否かの如きは右教育基本法の関知しないところといわなければならない。されば右違憲の主張はその前提を欠くものである。
- 義務教育費負担請求上告事件(最高裁判所大法廷判決昭和39年2月26日、昭和38年(オ)第361号、最高裁判所民事判例集18巻2号343頁)
- 公立小学校の教科書代の父兄負担と憲法第26条第2項後段。
- 公立小学校の教科書代を父兄に負担させることは、憲法第26条第2項後段の規定に違反しない。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 浪本勝年・三上昭彦編著 『「改正」教育基本法を考える ――逐条解説―― [改訂版]』 北樹出版、2008年10月15日。ISBN 9784779301346。
- 曽我雅比児著 『公教育と教育行政 改訂版 ――教職のための教育行政入門――』 大学教育出版、2015年4月20日。ISBN 9784864293006。
|
|
|